税制全体の見直しが必要。消費増税先行には反対!
消費増税法案の国会審議に対する公明党の対応は?
石井啓一政務調査会長 衆院では社会保障と税の一体改革に関する一連の法案審議を行うため、連日審議ができる特別委員会を設置する方向です。公明党は特別委員会で法案の問題点や政府の姿勢を厳しく追及していく決意です。公明党は消費増税に絶対反対なのか。
石井 少子高齢化が進み、社会保障を支える現役世代が減っている中でも、社会保障制度を持続可能なものにしていかなくてはなりません。また、ほころびが目立つ今の制度を充実させていく必要もあります。これに必要な財源を確保するため、消費税を含む税制の抜本改革は必要だと考えています。消費税率引き上げに絶対反対するわけではありません。しかし、政府の対応には問題が多く、今のままでは消費増税法案に賛成することはできません。
公明党は消費増税について五つの前提条件を主張してきました。具体的には(1)社会保障制度の全体像を示す(2)景気回復の実現(3)行政改革の徹底(4)消費税の使途を社会保障に限定(5)税制全体で社会保障の財源を生み出すこと―の五つです。ただ、現状では5条件のほとんどが満たされておらず、増税先行です。
条件が満たされていないとは。
石井 まず、民主党が言う最低保障年金の創設などを柱とする年金の抜本改革は、いまだ具体化されず、社会保障制度の将来像が不明確です。また、消費税率を引き上げる前に景気が良くなったかどうかを確認することにしましたが、肝心の判断基準が示されていません。国会議員の定数削減などの行政改革もあいまいで不十分です。
消費税の使途を社会保障に限定することは法案に明記されていますが、税制全体で社会保障財源を生み出す点では問題があります。所得税の最高税率を引き上げるとしていますが、今回の政府案で生み出せる財源はわずかです。格差是正にも役立ちません。
消費増税には低所得者ほど負担が重くなる問題もある。
石井 消費税率は一律に所得に関係なく上がりますから、低所得者の人ほど負担が重くなる「逆進性」への対策が不可欠です。法案では、共通番号制度の導入を前提に減税と給付を合わせた「給付つき税額控除」で対応する方針を示していますが、実施時期などは不明確です。当面は「簡素な給付措置」を実施するようですが、その内容もはっきりしません。