公的バンクを後押し、公明党の主張実る
参考写真 2012年度の診療報酬改定を受け今年4月から、白血病などの血液疾患の治療に有効な造血幹細胞移植に関わる保険点数が引き上げられた。中でも、さい帯血移植は2万2150点(1点=10円)の大幅加算となり、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と同じ6万6450点になりました。
 これにより、国からの補助金と診療報酬で運営されている、全国の公的さい帯血バンクの安定運営と、さい帯血移植のさらなる普及が期待される。また一つ公明党の主張が結実したました。
 へその緒や胎盤に含まれるさい帯血は、血液をつくる造血幹細胞を多く保有しており、骨髄や末梢血幹細胞とともに血液疾患の治療に使用されています。
 さい帯血は、採取する際、提供者となる母親と新生児に危険がない上、移植の拒絶反応が起こりにくいのが特徴。また、常時冷凍保存されているため、患者への迅速な提供が可能です。
 治療効果は他の造血幹細胞移植と変わらないとされ、移植件数も毎年同程度行われているにも関わらず、診療報酬は骨髄移植などと比べ約2万点も低い状況が続いてきました。
 こうした状況を受け公明党は、党造血幹細胞移植法整備検討(旧さい帯血法整備推進)プロジェクトチーム(PT、渡辺孝男座長=参院議員)の会合などで厚生労働省に対し、「同種の医療行為で報酬の差があってはいけない。骨髄移植に合わせるべき」と強く訴えてきました。
 現在、公明党は(1)国による造血幹細胞の提供促進(2)採取、移植時の安全性確保(3)バンクの安定運営―などをめざす「造血幹細胞移植法(仮称)」の実現に全力で取り組んでいます。
さい帯血バンクは新体制へ
(さい帯血バンクNOW64号より転載させていただきました)

診療報酬改定でさい帯血移植は骨髄と同額に増点

 2年に一度見直されている診療報酬は今年4月に改定されますが、さい帯血移植術は大幅に増額されることになりました。日本さい帯血バンクネットワークではかねてより診療報酬点数の増点を要望していましたが、これが認められたことになりました。
 これまでさい帯血移植は4万4300点(1点=10円)で、骨髄移植の6万5600点と大きな差がありましたが、この4月からは双方とも6万6450点に増額され、同額になることになりました。診療報酬は移植医療機関の収入になりますが、さい帯血移植に関してはその一部が移植医療機関からさい帯血を提供したさい帯血バンクに費用が支払われます。今回の改定で増額された額のすべてがさい帯血バンクの収入になる予定で、これにより移植1件につき39万5500円がさい帯血バンクの収入になります。さい帯血バンクではこれまで恒常的に脆弱な財政的課題をかかえてきましたが、そのすべてを解決するには至らないものの、経営面では大きく改善されることが見込まれます。

宮城さい帯血バンクが事業終了

 かねてより財政難で経営に苦しんできた宮城さい帯血バンクは、毎年続く赤字のために平成23年度をもって、さい帯血の採取、調製、保存、提供に関する事業を終了することになりました。これまでに保存されてきた宮城さい帯血バンクのさい帯血とその記録類、設備類の管理について、他のさい帯血バンクとの間で調整が行われ、保存さい帯血については北海道さい帯血バンクに移管され、今後の出庫業務が引き継がれることになりました。
 また、宮城さい帯血バンクはNPO法人ですが、組織としては今後も存続させ、さい帯血バンクの普及啓発等の活動を続けることにしています。

日赤系さい帯血バンクは新体制に

参考写真
 これまで日本赤十字社の各地血液センターの自発的な事業として運営されてきた日赤系さい帯血バンクは、平成24年度からは正式に血液事業の関連事業(会計も含む)として位置づけらわが国におけるさい帯血バンク事業はこれまでと大きく様相を変え、今年4月から新たな体制で運営されることになりました。日赤の血液事業は平成24年度から広域事業運営体制が導入されることになり、これにともない全国7カ所にブロック血液センターが新設されます。このうち4カ所のブロック血液センターにさい帯血バンクを置き、さい帯血バンク事業を実施することになります。
 今後は、これまでの血液事業で蓄積した技術を活用して、調製・保存等における技術手順等の統一化をはかって、さい帯血の品質の向上を目指すことになります。このため、各さい帯血バンクに品質部門と調製保存部門を置くことになりました。
 なお、これまでに11バンク体制で運営されてきた日本さい帯血バンクネットワークのさい帯血バンク事業は、別表のように8バンク体制に移行することになります。