参考写真 ゴールデン・ウィーク開けから、国会では「社会保障と税の一体改革関連7法案」の審議が始まりました。
 ここで、7法案について確認した上で、県議会公明党の考え方を整理しておきたいと思います。
<7つの法案について>
 社会保障と税の一体改革関連7法案は、年金関連2本、子ども・子育て関係3本、消費増税2本となっています。
  1. 「最低保障機能強化国民年金法改正案」
    低所得者への月額6,000円の加算年金、公的年金の受給に必要な納付期間を25年から10年に短縮する。納付期限を10年に短縮することは、公明党が以前から提案している内容です。まさに公明党案のパクリです。
  2. 「被用者年金一元化厚生年金保険法等改正案」
    厚生年金と公務員の共済年金を一元化する法案。自公政権時代に公明党が提出した内容とほぼ同じです。その当時、民主党の猛反発で審議未了のまま廃案になりました。ぬけぬけと同様の法案を提出してくる民主党の厚顔ぶりに呆れます。
  3. 「子ども・子育て支援法案」
    子ども・子育て支援給付や良質な子育て環境を整備する「子ども・子育て新システム」の政策を規定する法案です。
  4. 「総合子ども園法案」
    幼稚園と保育所の機能を一体化した「総合こども園」を創設あうるための法案です。
  5. 「子ども・子育て支援法及び総合こども園法整備法案」
    上記両法案の施行に伴う関係法の整備するための法案です。
    上記3つの法案をあわせて「子ども・子育て新システム」といわれています。しかし、これは、自公政権時代に行った「認定こども園」の単なる延長に過ぎません。現場の声を無視して複雑な制度設計で新法をつくる必要性があるかどうか理解できません。
  6. 「税制抜本改革消費税法等改正案」
    国の収入となる消費税率を、2014年4月に6.3%、2015年10月に7.8%に引き上げるための法案です。
  7. 「税制抜本改革地方税法及び地方交付税法改正案」
    消費税増税に伴う地方消費税の税率を2014年4月に1.7%、2015年10月に2.2%に引き上げるための法案です。国と地方を合わせると、消費税は14年に8%に15年に10%に引き上げられます。
<消費増税関連2本案について>
参考写真 多くの人が「社会保障の全体像が全く見えないままだ。これでは、“ただ単なる増税法案”だ」「一体改革では全くない」「名称自体に偽りあり」「全ての年金を一元化し、最低保障年金7万円はどうした」「高齢者医療制度はどうした」と厳しく指摘しています。全くの欠陥法案です。
 さらに、所得税法附則第104条にある低所得者層への配慮、複数税率の検討など全くされていません。ただ単なる税率を上げるだけの法案に過ぎず、現状では公明党は絶対に認められないという立場です。
<消費増税の5つの条件>
 公明党の太田昭宏前代表は、消費増税法案について次のように語っています。
 「公明党がそれだけ経済・財政について真剣に考えて消費税について5条件を主張しているとは知らなかった。認識不足でした」「消費税について国民は、ただ賛成、・反対とマスコミが色分けしていることをそのまま受け取っている。大事なことは、どう考えて結論に至っているかということ。所得税法附則第104条にあるなどということは初めて聞いた」「5条件を言っているのは公明党の見識だ。もっと広く強く言ってほしい」等々――今週の初めに日本有数の金融・経済のトップを務めた方たち数十名に1時間余、私が講演をした時に寄せられた感想です。
 正直、集まっていた人が、そうそうたる方たちだったので、反応の大きさに私自身驚きました。
 「この国の経済・デフレも危機、財政も危機、欧州も金融危機、米も不安定な経済運営の危機含み、そうしたなかで、日本の経済・財政再建をどう考えているか」――こうした誰しも持っている危機。そして直面している消費増税法案に、公明党が、真正面から考えてブレないで戦っている。そうした印象を強く持っていただいたようで、「ブレないで、しっかり考えている公明党が頑張ってほしい」という声でした。
 それが端的に現れているのが5つの前提条件です。
 2009年に成立した所得税法附則第104条に盛り込まれている5条件は、(1)社会保障の全体像を示す(2)3年以内の景気回復に向けた集中的取り組みにより経済状況を好転させることを前提(当時はリーマン・ショック直後で全治3年をめざした)(3)不断に行政改革を推進し歳出のムダの排除を徹底する(4)使途を社会保障に限定(5)消費税を決め打ちせずに税制全体の一体的改革――の5つです。複数税率の検討や低所得者への配慮、給付付き税額控除の検討なども法律に書き込まれています。
 第一の社会保障の全体像については、もうこの場で言うこともないほど、皆さん周知の事実。民主党のでたらめな最低保障年金案。何時まで経っても明示されない後期高齢者医療制度の見直し案等々、社会法の全体像は全く示されていません。
 第二の「景気・経済の好転」――急所は「3年以内の景気回復に向けた集中的取り組みにより経済状況を好転させることを前提」ということです。全く、この2年8カ月、景気に無関心、デフレにも手を打たず、成長を犠牲にしてバラマキ政治を行ってきた民主党の「ただ単なる増税」は許せない、いきなりの増税はダメということです。
 第三の行革――2004年8月15日、大阪・堺市の野田現首相は次のように演説しました。「シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ消費税を引き上げる話はおかしいんです」――。財源は組み替えれば16.8兆円は出てくると豪語していた民主党全員。行革も結局できないで、なぜ、増税先行かと国民が怒るのも当然です。
 あの大田節が聞こえてくるような明確な論調です。
 自民党の一部には、民主党野田政権と組んで消費増税案を可決して、話し合い解散に雪崩れ込むことを目論む勢力もいると聞き及んでいます。
 井手よしひろ県議ら公明党茨城県議会議員会は、まず、民主党は2009年の総選挙マニフェストをすべて撤回し、その不誠実さを国民の謝罪すべきです。そして、改めて国民の信をとるために、衆議員を解散し総選挙を行うべきだと主張します。消費増税の議論は、それで初めて入り口に立てると確信します。