参考写真 太陽光や風力など再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」が7月1日から導入されます。
 これに先立ち、経済産業省の第三者委員会「調達価格等査定委員会」が電力会社による買い取り価格案を4月末に発表。政府が今月中に一般の意見公募などを経て正式決定されます。
 固定価格買い取り制度は、昨年8月に成立した「再生可能エネルギー特別措置法」に基づき創設。(1)太陽光(2)風力(3)地熱(4)中小水力(5)バイオマス(生物資源)―の5分野を対象に、新規設備でつくった電気の全量を電力会社が固定価格で買い取ることを義務付けます。 
 制度の大きなカギを握るのが、買い取り価格と買い取り期間の設定です。毎年見直しが行われるが、民間企業などの新規参入を促すためには採算が取れる価格設定が求められます。その一方、電力会社が買い取る費用は電気料金に上乗せされ、一般の電気利用者が使用電力量に応じて賦課金を負担することになります。
 経産省の第三者委員会がまとめた2012年度の買い取り価格は、太陽光が1キロワット時当たり42円、風力が23.1〜57.75円などで、買い取り期間は10〜20年です【表参照】。これに伴い、標準家庭(電気料金が月約7000円)の場合、月70〜100円程度が電気料金に上乗せされると経産省は試算しています。
 住宅用の太陽光発電については全量買い取りではなく、余剰電力を買い取る現行制度が維持されます。
参考写真 再生可能エネルギーの普及と、その具体的手段である固定価格買い取り制度の創設は、公明党が低炭素社会の実現をめざし、環境・エネルギー関連産業を育成する観点から一貫して提唱してきました。昨年3月の原発事故を受け、国のエネルギー政策の見直しが最重要課題になる中、「原子力に依存しない社会への移行に今こそ本格的に取り組むべきだ」と訴え、省エネルギー、化石燃料利用の高効率化と併せて再生可能エネルギー導入の加速を政府に促してきました。
 制度創設をめぐっては昨年夏、政府提出の特措法を民主、自民両党との3党協議で修正。価格と期間の設定に関する国会報告の義務化のほか、買い取り価格が国民の過度な負担とならないよう、関連事業者がコスト削減に努める責務などを明記しました。中小企業を含むエネルギー多消費事業者の賦課金を減免し、東日本大震災の被災地では来年3月末まで免除することも勝ち取りました。
 制度開始で大きな一歩を踏み出す半面、政府が積み残している課題も多くあります。原発事故を契機とした新しいエネルギー政策の全体像がまだ描けず、再生可能エネルギー導入の目標と戦略は不明確なままです。
 太陽光発電や風力発電など天候に左右されやすく、地域に分散する電力の安定供給に必要な送電網などの整備も急ピッチで進めなければなりません。
 先月27日には、公明党の総合エネルギー政策委員会と地球温暖化対策本部が枝野幸男経産相あてに申し入れを実施。再生可能エネルギーの中長期的な導入目標の早期設定と法定化や、送電網整備の計画策定を求めています。
 さらに、電力事業者の料金体系、いわゆる総括原価方式の見直しを早急に進める必要もあります。自然エネルギーへの以降が、過度の電力料金の値上げに繋がれば、日本の産業力を低下させてしまうことにもなるからです。