参考写真 5月16日、井手よしひろ県議ら県議会保健福祉委員会は県外調査を行い、福島原発事故に関する住民の健康調査について、福島県庁と福島市内の小学校を訪れました。
 福島県では、福島第1原発の事故による放射能汚染を踏まえて、長期にわたり県民の健康を見守り、安心と安全を確保するために、「県民健康管理調査」を行なっています。福島県庁で、この調査を受託している福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターの山下俊一センター長(副学長)から直接、説明を聴取しました。
 健康管理調査は、県民全員を対象とする「基本調査」と、18歳以下の子どもを対象とする「甲状腺検査」、国が指定した避難区域の住民を対象とする「健康調査」、「こころの健康度・生活習慣に関する調査」、「妊産婦に関する調査」などの詳細検査からなっています。
 「基本調査」は、原子力発電所の事故後、空間線量が最も高かった時期における放射線による外部被ばく線量の推計等を行うため、全福島県民を対象に実施しています。原発事故が発生した3月11日〜25日の行動記録を中心に、問診票により調査を行います。
 直接被曝した線量を測ったり、血液などを検査するのではなく、「いつ」、「どこに」、「どのくらい居たか」、「どのように移動したか」などを聴きとることによって、被ばくした線量などを推計するものです。
 福島県民205万7千人に対して、今年3月末までの回収状況は21.9%です。原発周辺の相双地域でも50%程度であり、決して回収率は高いとはいえません。
 また、18才以下の子供たちを対象する甲状腺検査は約36万人が対象です。平成23年度は、原発事故の避難区域に住んでいた47,766人を対象として、3月末までに79.8%が受診しました。直ちに2次検査が必要と判定されたもの(C判定)は一人もいませんでした。今後、平成26年3月までに、全対象者の検査を行います。
 更に、26年度以降は全県本格検査として、対象者全員を20歳までは2年ごとに、それ以降は5年ごとに検査を実施します。
参考写真 山下副学長は、事故発生直後(3月21日)に、福島市での講演で、「ニコニコすれば放射能はこないよ」と語り、一部マスコミやネットなどで辛辣な批判を受けた人物で、直接説明が聴けるこの機会を待ち望んでいました。約1時間に渡る山下学長の説明と意見交換、質疑応答は非常に有意義で、ケレン味のない同氏の対応にも好感を抱きました。
 説明の冒頭、山下副学長は、写真のようなチャートを示し、県民の健康不安に如何に答えていくか、科学性や論理性を重要視しながら、行政・保健・医療機関が信頼を回復し、価値観を共有できるよう努力したいと語りました。
 茨城県の健康調査についても、実施を望む声が多い中、福島県の健康調査の動向は非常に大事な資料となります。福島県の粘り強い調査の継続とその情報の全面公開、有効活用を大いに期待したと思います。