Operation Tomodachi [Image 30 of 120] 東日本大震災では、消防関係者にも多くの犠牲者が出ました。消防職員の被災者は27名(死亡23名、行方不明4名)。そのうち任務中の25名が殉職、参集途上の死亡者が1名でました。
 また、消防団も自らも被災者であったにも関わらず、水門等の閉鎖や住民の避難誘導、救助活動などを献身的に行いました。一方で、活動中に多数の犠牲者が生じました。死者は・行方不明者は254名に達し、その内、公務中の消防団員198名が殉職しました。
 こうした消防職員や消防団員などの震災時の活動については、住民の安全を守るという任務と消防関係者の安全・生命の確保という2つの命題をいかに達成させるかが大きな課題となっています。
 結論から先に述べると、消防であっても大規模な災害が発生して、自らの生命の危険がある場合は退避をする。危険区域内での出動を要請しても、出動できない場合や活動中であっても中断することがあるということです。
 したがって、助けを受ける側の一般の住民も、その意識を変えなくてはいけません。
 地震や津波の際は、消防関係者や警察関係者であっても、必ず助けに来てくれるとは限らないということを肝に命ずることです。まず、自分の命は自分で守る、家族の生命は家族で守る、ご近所の生命はご近所で守る(共助=近助)、この大原則を改めて確認する必要があります。
 具体的の現在の議論を見てみると、消防庁の「大規模災害発生時における消防本部の効果的な初動活動のあり方検討会」(2012年2月27日)では、以下のような議論が行われています。

『津波に対する消防職員の安全管理について』
  • 危険が迫れば「消防職員も退避する」ことを住民に周知しておく必要がある。また、退避行動の開始を知らせるサイレンなど、消防職員が退避行動を開始したことを住民にわかる方法を考えておく必要がある。
  • 消防職員においても安全確保の行動は当然であり、その目的は、「職員の安全を確保し、消防活動を継続することである」と言うことについては、明記すべきである。
  • 東日本大震災では想定に基づき活動を実施し、退避先で被災した例もあることから、安全を繰り返し確認するといった一文を追記する必要がある。
  • 救助活動、消火活動、避難誘導など、それぞれに必要な時間があると考えるが、緊急時であるため、「活動可能時間の判断例」から算出した時間に応じた活動を可能な限り実施し、退避すると言う考え方を示すことで、全国的にも参考になる。
  • 消防職員も退避することを基本的な考え方とすることに意義がある。
  • 退避する場合、消防だけではなく、周辺にいる人を一緒に連れて退避すると言う考え方が非常に良い。
  • 退避を判断する事は非常に重要なことであり、しっかりとした指揮体制を整えておくことが必要と考える。
  • 火災の場合は危険が迫れば自分で退避する判断ができるが、津波の場合は見極めが難しいため活動を途中でやめて退避する指揮命令のシステムが必要である。
  • 消防は住民の方と一緒に退避するのだと言うことを強調して発信する必要がある。
  • 消防職員も命を守られるべきであり、被災経験のある方は、消防が退避する事への抵抗は大きくないと考える。退避については、被災経験とともに伝える事で住民理解は得やすくなると考える。
  • 水門の開閉、要介護者の避難に関する対策など、緊急時に消防が担う活動はたくさんあるが、消防だけが担うものではなく、市町村や地域との連携が必要である。
  • 津波到達予想時間には、幅があると言うことを記載しておく必要がある。