参考写真 5月27日、公明党茨城県本部主催の政経懇話会を鹿嶋市内の勤労福祉会館で開催しました。
 この日の政経懇話会には石井啓一党政調会長(茨城県本部代表)が、NHKの日曜討論の放送を終え駆けつけました。石井政調会長は、防災・減災対策や老朽化した道路や堤防、港湾などの社会資本に集中的に投資することで、日本経済を活性化させるべきだと、「防災・減災ニューディール政策」の重要性を強調しました。
日本経済を襲う“需給ギャップ”
参考写真 日本経済が本格的な回復軌道に乗るには「需給ギャップ」の解消が欠かせません。需給とは需要と供給のことです。需給ギャップは、企業の生産設備や労働力などをフル稼働した場合の潜在的な供給力に対し、実際の需要がどれだけ離れているかを示す指標です。「GDP(国内総生産)ギャップ」とも言います。【棒グラフ参照】。
 需要とは個人や企業がモノやサービスを購入しようとすることなので、需給ギャップが大きくなると、生産設備の稼働率が低くなり、失業率も高くなって不況が深刻化する。逆に、需給ギャップが小さい場合は好況の状態で、設備がフル稼働し、企業の人手不足感も強くなります。
 今の日本経済にとって、この需給ギャップの拡大が大きな課題でなのです。
 内閣府の試算によれば、1990年代前半から需要が供給を下回る状態が続き、2011年10〜12月期の需要不足のGDP比は3.4%と7〜9月期(3.0%)から拡大。不足額は年約15兆円程度にも上っています。
需給ギャップの経済への影響は?
 需給ギャップの拡大が続けば、経済への悪影響は避けられません。最も懸念しなければならないのがデフレです。デフレとは物価の下落が続く状態のこと。需要が少なく、モノやサービスが売れないため、それを提供する企業は価格を下げざるを得ません。物価の下落は消費者に利益があるように見えますが、経済全体で見れば弊害が大きくなります。
参考写真 具体的には、モノやサービスの価格低下は、企業収益を圧迫し、労働者の賃金低下や失業など経済の縮小をもたらします。その結果、さらに需要が低下し、企業収益や従業員の賃金低下を招くという連鎖(デフレスパイラル)に陥りかねません【イラスト参照】。
 日本経済は90年代後半からデフレに陥っているといわれています。物価の状況を示す指標である全国消費者物価指数は、下落基調が長く続いた。最近は上昇傾向にありますが、主な要因は原油高などです。原油高などに伴う物価上昇は、賃金増加を招くどころか、コスト増を嫌って、消費を冷やす効果があるため、楽観視できません。
需給ギャップ解消には、国の積極的な公共事業が必要!
 需給ギャップの解消のカギは、当然、いかに需要を拡大していくかです。供給力の縮小でも需給ギャップは縮まりますが、供給力が縮小すれば、労働者の賃金低下や失業を招き、需要拡大の障害になりかねません。また、生産技術なども衰退し、国際的な競争力の低下をもたらします。
 ただ、デフレ下で、すぐに民間需要が伸びていくのは難しいことも事実です。そこで、まず国が公共投資を積極的に行い、需要を掘り起こすことが必要なのです。
 公明党は防災、経済対策の大きな柱として「防災・減災ニューディール」を提唱。東日本大震災を教訓に、震災などから国民の生命を守る公共事業として、老朽化した橋や道路などの社会資本の再整備を10年間で100兆円をかけて集中的に行うことで、100万人超の雇用増をはじめ、幅広い経済波及効果を訴えています。
 年間10兆円の公共投資を行えば、需給ギャップの多くを埋めることが可能となります。最近の日本のGDPが500兆円規模であることを考えれば、防災・減災ニューディールの実施で年間2%程度のGDP押し上げの効果が期待できます。