6月4日午前中、井手よしひろ県議は、日立市内で中小企業の経営者と懇談。デフレ克服政策について、大要以下のように語りました。
参考写真 資本主義経済では、需要と供給のバランスでものの価格が決まります。
 ものやサービスを欲しいという消費者の「需要」が、ものやサービスの「供給」を大幅に上回ると、「もの不足」の状態となって物価は高くなります。この「物価上昇・貨幣価値の低下」の経済状況を「インフレ」といっています。
 反対に、ものやサービスの「供給」が、ものやサービスを欲しいという消費者の「需要」を大幅に上回ると、「もの余り」の状態となって物価は安くなります。この「物価下落・貨幣価値の上昇」の経済状況を「デフレ」といいます。バブル崩壊以降の日本の経済情勢は基本的にデフレ傾向にあることは衆目の一致するところです。
 デフレは19世紀から20世紀前半にかけて、しばしば見られましたが、第2次世界大戦後、先進国で日本のような長期のデフレが続いているケースは世界中どこにもないと言われています。戦後の資本主義経済で先進国は、一貫して経済成長を続け、物価も賃金も上昇してきました。
 にもかかわらず、日本は先進国でいち早く巨大なバブルが崩壊、デフレ状態に陥りました。今、アメリカでも、ギリシャ問題などで揺れるヨーロッパでも、いつ同じように日本と同じように、デフレによる“失われた10年”に近い状態が起きるのではないかと懸念されています。
 このデフレを克服するためには、二つの手法が考えられてきました。一つは政府の投資です。デフレでは、民間がお金を使わないので、政府が公共事業を行うことによって、需要を喚起し、需給ギャップを埋めることです。
 もう一つは、デフレでは、お金の流通量が少なくなっていますので、通過の供給量を増やすことが有効です。中央銀行(日本銀行)が民間に対し、金利を引き下げるなどして資金供給を拡大する手法です。
 民主党政権になって、こうしたデフレを克服する具体的な政策がほとんど打たれてきませんでした。
 特に「コンクリートから人へ」との合い言葉で、公共事業をすべて否定した民主党の罪は重いといわざるを得ません。民主党政権は、デフレであるにもかかわらず、「土建国家はいけない」という名の下に公共事業費が削減されてきました。先進国でも日本は公共事業費が格段に低い状況にあります。
 社会資本整備は政府しかできないものが多く、今でもその重要性は高い。例えば、交通網の整備は物流の輸送コストを引き下げ、経済を成長させる上で重要です。東日本大震災を見ても、バックアップとしての道路があったことが被災地の復旧に重要な役割を果たしました。反対に、高速道路である三陸自動車道が全面開通していたら、震災復興がもっとスムーズに進んでいただろうと言われています。港湾整備も経済成長、防災対策両面から必要な公共投資です。
 しかし、公共投資には国債発行が必要で、無限にできるわけではありません。すでに、1000兆円を超える借金大国日本にあって、その投資先は慎重に選ばなくてはなりません。また、経済がグローバル化した結果、原材料などを海外から調達する機会が増え、お金が海外に逃げていくことのも、充分注意しなければならないと思います。
 目的を明確にした公共投資。これが公明党の主張する「防災・減災ニューディール政策」なのです。
 近い将来、首都直下地震や東海・東南海・南海3連動地震が起きる確率が高いと言われています。茨城県では、茨城沖地震、房総沖地震などの津波地震も懸念されています。
 防災は個人<自助>と地域共同体<共助>、国家<公助>と、それぞれのレベルでの対策が、かみ合ったときに真に、その効果を発揮することができます。
 インフラ整備は政府や自治体がやっていくべき仕事です。これにより地域に雇用を生むことで、地域経済を再生させることができます。公共投資で地域経済を活性化することは、共同体の防災機能を一層高めることにもつながります。
参考写真 デフレ脱却は政治課題の最上位に位置付けられるべきです。デフレ対策無しに消費増税などの増税政策をとれば、税収増どころか、デフレの深刻なスパイラルに陥り、日本経済は失速してしまいます。
 消費が増えるかどうかは国民の心理に依存するものです。デフレが長期に続くという期待が一度形成されてしまうと、簡単にお金は使わなくなってしまします。企業も物価が下がり続けるという長期の予想が一度できてしまうと、国内でモノをつくったり、国内市場を開拓しようとしなくなります。その結果、企業が海外に移転する「産業の空洞化」が進みかねません。
 一番大事なのは、政府がデフレ退治を宣言し、一定の額を公共投資に充てる強い姿勢を示すことでデフレの雰囲気を払拭することです。
 さらに、一度だけの花火ではなく、10年程度のスパンで公共投資を継続させることで、企業の投資マインド、雇用拡大マインドを刺激することが出来ます。
 だから、公明党は「1年間に10兆円、10年間投資し続ける」と、確信を持って主張しているのです。
 こうした意味で、増税一辺倒の野田政権は一刻も早く退陣することが、最大のデフレ対策といえるでしょう!