天井材や照明など 今年度中に全校点検完了を
参考写真 学校は、いざ災害が起こったとき、子どもたちだけでなく、地域の住民の命を守る重要な防災拠点となります。
 それだけに、発生が懸念される首都直下地震や東海・東南海・南海の3連動地震などに備え、全国の学校施設の耐震性を高め、防災機能の強化を急がなければなりません。
 この学校の耐震化については、体育館や校舎といった構造体の改善が大きく進んだ半面、天井材や照明器具、窓ガラスなどの非構造部材の耐震化の遅れが目立っています。
 文部科学省の調査によると、東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島3県を除く全国の公立小中学校の耐震化率(構造体)は、昨年4月1日時点で80.3%。今年度末には約90%にまで達する見込みで、調査を始めた2002年の44.5%(3県を含む)から倍増しています。
 学校耐震化について公明党は、2001年に党女性委員会に立ち上げたプロジェクトや、02年に党文部科学部会に設置した学校施設耐震化推進小委員会などを中心に一貫して対策をリード。特に2008年には耐震改修費の国の補助率を2分の1から3分の2に引き上げ、これが学校耐震化の向上に大きく寄与したといえます。
 その一方で、天井材などの非構造部材の耐震化については全公立小中学校の29.7%(昨年5月1日時点)と、3割にも達していないのが現状です。しかも、非構造部材は全体の34.7%に当たる1万校以上で耐震点検すら行われていません。
 財政難が続く自治体にとって、建物本体の改修に比べ、非構造部材の耐震化は後回しになりがちです。しかし、東日本大震災では多くの学校で天井や照明、壁などが落下し、避難所として使用できないケースがありました。これでは防災拠点の意味をなさないばかりか、地震発生日時によっては子どもたちの大惨事をも招きかねません。
 公明党首都直下地震対策本部の太田昭宏総合本部長(全国代表者会議議長)らが先月18日、(1)今年度中に非構造部材の耐震点検を全て完了させ、市区町村別の耐震化率を公表(2)点検にかかる費用を国で支援する仕組みづくり―などを平野文科相に要請したのも、こうした危機意識からです。
 これを受けて文科省は先月末、非構造部材の耐震対策を推進する調査研究事業をスタートさせました。対策強化につながる成果を期待したい。
 公明党は今後、各地方議会の6月定例会で、非構造部材の耐震点検や耐震対策の実施を全力で促進していく方針です。天井材や照明など今年度中に全校点検完了を強く求めたいと思います。