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 公明党は、社会保障と税の一体改革の議論の中で、消費増税の前提には「5条件+1」を呈示し、社会保障を置き去りにした増税先行、景気回復に配慮しない安易な増税には絶対反対の立場を貫いてきました。
 この「5条件+1」は今回の消費増税の議論の中で、初めて主張したものではありません。自公政権当時、2008年から公明党が一貫して強調してきた内容です。
 連立政権に参画して以来、公明党は消費税を引き上げずに歳出削減で年金、医療、介護の財源を捻出する闘いに全力で取り組んできました。しかし、急速な高齢化の進展に伴って、国の社会保障費が毎年1兆円規模で自然に増えていく中で、2008年に安定的な財源を確保する観点から「消費増税」を求める声が政府と自民党内で高まってきました。
 08年10月に当時の麻生太郎首相が「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と明言。また、政府の社会保障国民会議は年金、医療、介護などを支える財源として消費税率を2015年度に3.3〜3.5%程度、25年度には6%程度引き上げる必要があるという試算を示しました。
 年末に閣議決定する社会保障と財政の「中期プログラム」で、消費税率引き上げを含む税制抜本改革の時期を明記するかどうかが、最大の論点となってきました。公明党は、自民党との協議で景気回復を最優先すべきであり、消費増税の時期を明記すべきではないと強く主張しました。
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 12月25日付けの朝日新聞政治面には、以下のような記事が掲載されています。
消費増税、玉虫色の決着 「3年後」幾重も条件 中期プログラム
朝日新聞(2008/12/25)
 「11年度」盛り込みにこだわる政府側に対し、公明党は時期明記を容認する一方で、「増税ありき」の印象を薄めるため、景気回復に軸足を置くよう主張した。
 結局、「11年度より実施」とした政府原案を「11年度より実施できるよう」に改め、「努力目標」ともとれる内容に修正。政府原案で「経済状況の好転後」とした部分も「3年以内の景気回復に向けた集中的な取り組みにより経済状況を好転させることを前提」と書き込み、前提条件を膨らませた。
 与謝野氏が「多くの人が修文にかかわると、表現が丸くなっていくが、今回はとがっている部分がたくさん残っている」と語れば、公明党側は「景気回復出来なければ(増税は)当然先送りになる。11年度はフィックス(固定)されたというより、目標にやっていく」(太田代表)。
 首相の体面を保ちつつ、決着した表現は玉虫色。「3年後の消費増税」には、何重にも条件が付けられ、実現は一層難しくなったのが実態だ。
 最初のハードルは同プログラムの立法化だ。消費増税に向けた道筋を法制化するプログラム法は見送られ、来年の通常国会に提出する税制改正関連法案の付則に盛り込むことが決まった。総選挙を控える与党内では、付則とはいえ、抵抗感が強い。関連法案の衆院再議決の際に、造反が出ない保証はない。
 11年度に消費増税するための消費税法改正は、政府原案では「10年にあらかじめ講じておく」と時期が明示されていたが、最終合意では「10年」を削除し、「あらかじめ」講じる。いずれにせよ、来年秋までにある総選挙で与党が政権を維持することが前提だが、3分の2の議席を失えば、消費税法改正の見通しは立たなくなる。
 10年夏には参院選があり、消費増税の「封印」圧力が強まるのは間違いない。自民党の閣僚経験者はこう語った。「3年後にどういう政権になっているか分からん」
 緊迫した交渉を積み重ねた結果、中期プログラムには消費税を含む税制改革の20121年度からの実施に際しては「経済状況を好転させること」が前提条件として明記されました。さらに行政改革の推進とムダの排除、消費税の使途を社会保障に限定するといった原則なども盛り込まれました。これらの前提条件が後に「5条件+1」と呼ばれるようになり、2009年3月に成立した改正所得税法の付則104条に明文化されました。政権交代後も法律上の規定として民主党政権に責任が課され、今回の一体改革をめぐる民主、自民、公明の3党修正協議でも大枠の方向性を示すものとなりました。
 3党協議に公明党が参加したことによって、「5条件+1」が確認され、それに基づいて合意がなされました。仮に公明党が協議に参加しなかった場合、消費増税の時期や税率だけが決まり、低所得者対策などが置き去りにされる恐れがありました。一体改革関連法案は衆院で可決され参院に送付されました。これからが本当の闘いです。公明党は、関連法案の早期成立を促すとともに、行政改革、国会議員の身を切る改革など残された課題に全力で取り組みます。
改正所得税法の付則104条に明文化された『5条件+1』
(1)社会保障の具体案を示す
(2)景気回復の実現
(3)消費税の使い道を社会保障に限定
(4)税制全体の抜本改革
(5)行政改革の徹底
+1 消費税の低所得者対策