「増税先行はダメ」「増税の前にやることがある」――あなたには言われたくない!
参考写真 社会保障と税の一体改革という、国民の生活に最も影響のある議論の真っ最中に、国会は2週間近く空転しています。連日流される小沢一郎元民主党代表の離党・新党、そして民主党の内紛のニュースに、多くの国民から聞こえるのは「もう!うんざり」という声です。
 ところで、小沢G、鳩山Gなど民主党政権の中で「増税先行はダメ」「増税の前にやることがある」などと言っている人には、あきれるばかりです。
 今頃何を言っているんだ!そんなことを言うなら、この2年10カ月の間にやっておけ。いくらでもできたのではないか。何をしていたのだ、という怒りの気持ちがわいてきます。この2年10カ月、成長戦略を犠牲にしてバラマキ政策をとり、アンチ企業ともいうべき姿勢をとり、円高・デフレを放置し、景気・経済に無関心とも思える経済無策だったのは、小沢元代表であり、鳩山元総理であったはずです。そんなこと今言う資格はありません。
 つくづく、この2年10カ月の経済無策が本当に痛い。普天間と同様、民主党は経済・財政運営でも取り返しのつかない失政をしてきました。日本を壊したと言っても過言ではありません。
 7月4日、公明党の石井啓一政務調査会長は、国会内で記者会見し、民主党を離党した小沢元代表のグループが離党理由として「消費増税先行」を挙げていることについて、「これは見過ごせない。公明党は(民主、自民、公明の)3党協議の中で『増税先行』にならないよう歯止めをかけてきた。協議の成果を学んでもらいたい」と厳しく批判しました。具体的には、今回の3党協議の中で「社会保障改革は、新たに国民会議をつくって1年間議論し、消費税引き上げまでに改革を進めることが確認されている」と力説。さらに「景気対策、低所得者対策も、きちんと増税先行にならないよう歯止めをかけている」と強調しました。現在、衆院で可決した「社会保障と税の一体改革」関連法案が成立すると、2014年4月から8%、2015年10月から10%に消費税率が上がることになりますが、それまでの2年弱、この間に、景気・経済対策と社会保障の中身を更に詰めていく作業などに公明党が全力を注ぐことになります。

【民主党政権―2年10カ月の経済無策についてのまとめ】
(1)逆噴射政策
●民主党政権となった2009年9月。その年の4月、ロンドンでのG20で「財政出動等あらゆる行動をとる」ことを確認した世界の動きの中で、民主党は誕生しました。しかし、民主党政権はすでに成立した景気への補正予算を削減したり、執行停止するという逆噴射政策をとりました。さらに事業仕分け等でも削減のパフォーマンス。学校耐震化の予算が約2700億円のはずが約1700億円も削られたのは、その象徴的な出来事でした。世界が財政出動、成長戦略をとるなかで、逆噴射政策の急ブレーキをかけた国は日本だけです。その後も成長戦略なき姿勢がずっと続けられてきました。
(2)成長を犠牲にしたバラマキ政策
●その民主党が編成した予算は、まったく成長につながらないものでした。ご存知のバラマキ予算です。この10年間の各年度の当初予算の一般会計予算を見ます。15年度81.7兆円、16年度82.1兆円、17年度82.1兆円、18年度79.6兆円、19年度82.9兆円、20年度83.0兆円、そしてリーマン・ショックのあった翌年の21年度当初予算が景気対策を入れて88.5兆円。それが民主党政権になって22年度92.2兆円、23年度92.4兆円、24年度90.3兆円(交付国債を加えると92.9兆円)です。平均すると民主党政権は、それまでに比べて約11兆円増の水ぶくれ予算です。国債費3兆円増を除いたとしても8兆円増の水ぶくれ予算。消費税3%分に当たります。それが、成長につながらない人気取りの水ぶくれ予算の実態です。手当、手当のバラマキではなく、投資がない、仕事がない、雇用がしぼむということを直視した景気・経済対策、成長戦略を進めるべきでした。これが、民主党政権の取り返しのつかない経済無策です。
(3)円高・デフレへの無策
●「リーマン・ショックの余震やまず」「欧州不況からくる世界金融危機の第二幕」といわれる今日までの民主党政権の2年10カ月。民主党政権は円高、デフレに全く無策。日本が全く景気・経済に力を入れていないから世界から標的にされ、円高をもたらし、中小企業などに大きなダメージを与えてきました。
●この間、個人消費は名目1〜2%減、特に公共投資は名目10〜12%減、GDPデフレーターはマイナスから脱却できず、デフレに深く浸ってきました。1937年、ニューディールと呼ぶ不況対策、景気刺激策を打ち続けて世界恐慌を脱しつつあった時、ルーズベルト米大統領は反転して緊縮財政と増税に舵を切り、ルーズベルト不況といわれる景気悪化の状況をもたらし、第2次世界大戦に突入します。歴史の教訓です。今日本は、金融政策、財政政策(防災・減災ニューディールなど)、産業支援政策などに総合的に力を入れなければなりません。民主党政権にはできません。