7月10日、公明党の山口那津男代表は、首都直下地震や東海・東南海・南海の3連動地震(南海トラフ巨大地震)などに備え、防災・減災対策を加速させる「防災・減災ニューディール推進基本法案」の骨子を発表しました。
参考:「防災・減災ニューディール推進基本法案」について(PDF約70KB)
参考:「防災・減災ニューディール推進基本法案」法案骨子(PDF約150KB)

 記者会見に臨んだ山口代表は、防災力強化で国民の生命と財産を守ることに加え、公共投資による経済対策にも資する「防災・減災ニューディール」を公明党が掲げた経緯に触れ、「対策を加速させる基本法の制定が必要」と強調。法律の位置付けを、法案を国会提出予定の「首都直下地震対策特別措置法」(仮称)と、6月21日に公明党が自民党と法案を共同提出した「南海トラフ巨大地震対策特別措置法」の二つの個別法を束ねる「基本法」とし、正式名称を「大規模自然災害の防災・減災のための地域防災・減災体制及び社会基盤施設等の再構築推進基本法案」(仮称)と紹介しました。
 基本法の特徴としては、全国のインフラ(社会資本)や主要な建築物などを対象とした「防災・減災総点検」の実施を定める点を強調。対策の基本計画は国が一方的に策定するのではなく、「地域からの積み上げが重要」として、防災・減災総点検を実施した地方自治体などの意見を十分尊重することと定め、24項目にわたって規定する基本的施策は、防災教育や防災訓練の推進を含めて「公共事業というハード面のみならず、ソフト面とのバランスを重視する」と指摘しました。
 また、基本理念は施設・設備を一から造り直す発想ではなく、予防的な改修や増改築を実施することで「費用の低減を図る」と明記したほか、施設・設備の効率的な維持管理の手法「アセットマネジメント」の概念、地球環境の保全・文化への配慮、女性や高齢者、障がい者の視点を重視した施策の策定・実施などを盛り込むことを強調しました。
 一方、財源の考え方については、10年の集中期間で100兆円の事業規模という目標に対し、建設国債と地方債、復興債の仕組みを応用した「ニューディール債」(仮称)の選択肢に加え、民間資金の積極的な活用を図ることを強調。推進体制は、全閣僚で構成する推進本部を設置し、政府全体で施策を総合的かつ計画的に推進する一方、併せて一元的で迅速な災害対応を担う「危機管理庁」(仮称)を設置することとしました。
 山口代表は記者団との質疑で、法律に規定する各事業について「波及効果を考慮に入れ、経済成長と連動した施策」と指摘。今後の法案の取り扱いについては「与野党の理解を求めながら最終的な合意形成を図りたい」と述べました。