総額約15兆円に上る2011年度の東日本大震災復旧・復興関係予算のうち、約4割もが年度内に使われていなかったことが明らかになりました。民主党政権の実行力の無さの裏付けに他なりません。数字の向こうから被災者の憤怒の声が聞こえてくるようです。大失政というほかありません。
 震災復興に対する政府の「遅い、鈍い、心がない」姿勢と、民主党政権の限界があらためて浮き彫りになった格好です。民主党政権下で進む「政治劣化」が、いよいよ危険水域に入ったと断じざるを得ない結果です。
 平野復興相は、巨額の未執行予算が生じた理由を「被災自治体にあった『予算は大丈夫か』との不安に応えようと、予算を前倒し的に計上したため」と説明しています。各省庁も「国に責任なし」と言わんばかりに、「地元自治体による復興計画の策定の遅れ」を強調してはばからない状況です。
 しかし、どう開き直っても、巨額の予算が未執行に終わった事実に変わりはありません。苦しい弁明を繰り返す前に、政府は予算執行のありようを真摯に反省し、国民に、被災した住民に謝罪すべきです。復興予算は25年にわたる国民の血税で賄われることを、夢々忘れてはなりません。
 6兆円弱にも上る未執行予算は、1兆1000億円余りが「不用額」として国庫に返納され、残りは12年度に繰り越されました。
 皮肉なことに、繰り越し額が最も多いのは「使い勝手のよさ」が売りだった復興交付金です。1兆5600億円のうちの8割超、実に1兆3100億円が執行されませんでした。
 政府はここでも、「自治体側が復興計画をなかなかまとめなかったから」と責任を被災地に押し付けています。
 しかし、それは違います。自治体の計画策定が遅れたのは、元をただせば国の対応のスピード不足のゆえではなかったのではないでしょうか。
 公明党が復興交付金を盛り込んだ本格予算の早期成立をどれだけ訴えても、あるいは交付金の査定・配分を担う復興庁の設置を急ぐよう再三求めても、政府は杳として反応しなかったではないか。これは、誰もが指摘する事実です。
 それだけではありません。震災に伴う仕事量増大にどの自治体も苦しんでいるというのに、国は終始「自治体任せ」で、人材派遣など復興計画の策定を後押しする態勢を一向に強化しなかったではないでしょうか。
 何より驚くべきは、復興の前提であり、国の責任で行うことになっているがれき処理や除染などの事業費までもが繰り越しとなったことです。
 「民主党政権の無責任さ、極まれり」という怨嗟と怒りの声が、震災500日を過ぎた被災地に広がっています。