8月8日、野田総理大臣は、消費税率引き上げ法案を巡って、自民党の谷垣総裁と会談し、自民党が求めている、法案の採決前に衆議院の解散を確約することには応じられないとしたうえで、法案の早期成立に向けて、改めて協力を求めました。このあと、公明党の山口代表も加わり、3党による党首会談が行われ、一体改革関連法案については、早期に成立を期すこと、関連法案が成立したあかつきには、近いうちに国民に信を問うと2点で、3党が改めて合意に至りました。
 解散時期については絶対に明示できないという野田首相と、早期の解散を確約しなければ消費税関連法案に賛成できないという谷垣総裁との、国民不在のチキンレースの結果は下けっぷちでお互いが急ブレーキを掛けて決着したという感があります。
 この合意の要にも、公明党の山口代表がいたことは事実です。政局優先の民主・自民の対応に、ぶれない公明の姿勢が光りました。8日の3党協議の内容について、NHKニュースからまとめてみました。

野田首相:解散の時期は明示せず
8月8日20時54分
参考写真 会談のあと、野田総理大臣は、記者団に対し、「3党合意を踏まえて、採決の寸前まで来ている段階で、大変、重大な局面を迎えていた。これは、民主党のため、自民党のために、公明党のためにというよりも、日本のためにまさに局面打開しなければいけない。そういうなかで、真摯(しんし)に意見交換させてもらった。いろいろな意見交換はあったが、2つのことを確認した。第1は、3党合意を踏まえて、一体改革関連法案については、早期に成立を期すこと、2つ目は、関連法案が成立したあかつきには、近いうちに国民に信を問うことについてお互いが確認した」と述べました。
 また、衆議院の解散の時期を明示したかどうかについて、「そういうやり取りはしていない。総理大臣として、解散の時期を具体的に明示するということは控えなければならない。そういう立場について理解してもらった」と述べました。
また、野田総理大臣は、赤字国債発行法案や衆議院選挙制度改革の取り扱いについては、「これから真摯に協議していきたい」と述べました。
 さらに、野田総理大臣は記者団に対し、「私も政治生命を懸けていると言ったが、自民党の谷垣総裁も公明党の山口代表も大変、重たい厳しい決断をしたなかで、3党合意をした。そして、このギリギリの局面のなかで、決めなければならないときに、先送りをしない政治というものについて、改めてお互いに議論し、確認することができた。野党が、内閣不信任決議案や問責決議案をしないというのは大変、重たい判断だ。心から感謝を申し上げたい」と述べました。
谷垣総裁:近いうちは近いうちだ
8月8日21時10分
参考写真 自民党の谷垣総裁は党本部で記者会見し、消費税率引き上げ法案を3党合意に基づいて早期に成立させ、成立ののち、近いうちに国民の信を問うことで合意したことについて、「『近いうちに』は、近いうちであり、それ以上でもそれ以下でもない」と述べました。
 また、谷垣総裁は、「今回の合意については、党から対応を一任されているので、理解を得られると思う」と述べました。
さらに、国民の生活が第一などが参議院に提出している問責決議案への対応については、「参議院の議院運営委員会でどう処理されるかだ」と述べました。
衆院の早期解散確約と認識
 谷垣総裁は、「野田総理大臣を信頼しているし、必ず信頼に応える行動をしてもらえると思っている。『近いうちに』というのは重いことばだと受け止めており、これが確約でなければ何なのか」と述べ、衆議院の早期解散が確約されたという認識を示しました。
不信任決議案など当面提出せず
 谷垣総裁は、自民党が提出を検討していた、内閣不信任決議案や野田総理大臣に対する問責決議案の取り扱いについて、「当面は出さないということだ」と述べ、当面、提出しない考えを示しました。
 一方、国民の生活が第一などが提出した不信任決議案などへの対応については、「これから党内で相談しなければならないが、消費税率引き上げ法案などを処理するのに支障のない対応を取りたい」と述べました。


山口代表:谷垣総裁の判断を評価
8月8日21時10分
参考写真 公明党の山口代表は、記者団に対し「大きな合意が決裂をしないで出来上がるということは、日本の政治史上においても大きな意味があると思う。自民党は、いろいろ意見がありながら、最終的にこういう結論になったということは、やはり自民党総裁の大きな政治判断だと、前向きに評価したい」と述べました。
 公明党の山口代表は、3党の党首会談で、衆議院の解散・総選挙の時期を、「消費税率引き上げ法案の成立のあかつきには、近いうちに国民に信を問う」という表現で合意したことについて、「いろいろ話し合った結果なので、『近いうちに』とは、それ以上でも以下でもないと受け止めている」と述べました。
 また、山口代表は、国民の生活が第一などが提出した内閣不信任決議案などへの対応について、「こういう結果になった以上、否決の姿勢で臨みたい」と述べました。