野田政権は、今後の日本のエネルギー政策の基本となる2030年の原発比率をめぐり、国民から広く意見を聴く「エネルギー・環境戦略に対するパブリックコメント(意見公募)」を行っていました。
火力、水力などを合わせた発電量全体に占める原発の比率は、2010年時点で26%です。政府は、2030年までに原発の比率を「0%」「15%」「20〜25%」とする3案を示し、国民の声を聴いてきました。
意見聴取会は福島市など全国11都市で実施されました。討論や学習によって意見がどう変わるかを探る「討論型世論調査」と呼ばれる手法も、今回初めて取り入れられました。
電子メールやファクス、郵送での意見公募には、約8万9000件が寄せられており、政府の特設ホームページでも閲覧できます。
意見聴取会で出された意見をまとめてみると、約7割が原発比率「0%」を支持しているといわれています。大規模なデモの動きなども考慮すれば、世論は脱原発へと大きく動いていることを想定できます。
火力、水力などを合わせた発電量全体に占める原発の比率は、2010年時点で26%です。政府は、2030年までに原発の比率を「0%」「15%」「20〜25%」とする3案を示し、国民の声を聴いてきました。
意見聴取会は福島市など全国11都市で実施されました。討論や学習によって意見がどう変わるかを探る「討論型世論調査」と呼ばれる手法も、今回初めて取り入れられました。
電子メールやファクス、郵送での意見公募には、約8万9000件が寄せられており、政府の特設ホームページでも閲覧できます。
意見聴取会で出された意見をまとめてみると、約7割が原発比率「0%」を支持しているといわれています。大規模なデモの動きなども考慮すれば、世論は脱原発へと大きく動いていることを想定できます。
しかし、ここに来て電気事業者や経済団体から強い反論も寄せられています。
発電事業社でつくる電気事業連合会は、8月10日、政府が示した原発比率は「実現可能性の点から問題が極めて大きく、算定根拠の開示も不十分。拙速な議論は避け、選択肢そのものを再考すべきだ」との意見を提出しました。電事連は、現行のエネルギー基本計画を上回る省エネや再生可能エネルギーの導入目標は技術面から実現可能性に疑問があると指摘。また、原発比率が下がり化石燃料の購入量が増えれば調達価格が上昇するのに、3つの選択肢が前提にする燃料価格が同じであることなどを問題視しています。3つの選択肢は不適切だとしたものの、原発比率については「20〜25%」が必要な水準だと主張しています。
また、経団連は7月27日、政府3案について「いずれも実現可能性に乏しく経済への悪影響など問題が多い」と再構築を求める意見書を発表しました。日商の岡村正会頭も27日、官邸に見直しを求める要望書を提出しています。
経団連の意見書では、政府3案は2010年代に実質1.1%、20年に0.8%の成長が前提で、実質2%、名目3%を目指す政府の成長戦略と整合性がないと強調。省エネや再生可能エネルギーの導入目標も現行のエネルギー基本計画を上回り実現可能性や対策が不透明だと指摘しています。電気料金が上昇し雇用が減るなどの悪影響が出ると批判しています。
そのうえで石油や天然ガスなどの化石燃料、太陽光や風力など再生可能エネルギーに加え、原発を「エネルギー源のひとつとして維持すべき」と明記。原発に対する信頼回復と安全性向上に努力する一方、省エネや再生エネの導入見通しを現実的なものに変更すべきと表明。再生エネの固定価格買い取り制度の見直しも求めています。
こうした事業者や経済団体の批判を背景に、8月20日付けの読売新聞社説には、少し驚くような記事が掲載されました。その後半部分を引用します。
読売新聞が、はじめからゼロシナリオは実現不可能であるという前提で、論じていることに大いに違和感を持つのは、私一人ではないと思います。ただし、政府の3つのシナリオが余りにも唐突であることも事実です。
更に指摘すれば、死に体=レームダックの状況に陥っている民主党政権に、こうした大事な日本の基本政策を論じてもらいたくないというのが私の本音です。
原発ゼロを目指すことの国民的合意を目指せ
公明党は、「原発ゼロの日本を目指す」ということをまず基本姿勢に掲げています。そして、原発の稼動期間を原則40年に限定して、1年でも、5年でも、10年でも前倒しで原発ゼロを実現することを約束しています。それを実現するために、省エネ、再エネ(再生可能ネルギーの活用)、火力発電の効率化などの技術革新や普及拡大を図ることにしています。
そもそも、政府の呈示した2つのシナリオは到達が明示されていません。2030年に何%にするかという問いは、将来ゼロにするために何%にするのか、将来的にも原発を維持ていくのかという、最も根本的な問いかけが含まれていません。
だから、国民の多くは2030年原発ゼロを選択しているのです。しかし、2030年にゼロシナリオは、確かに実現が難しいかもしれません。だからこそ、原発ゼロに国民的合意を得ることが一番重要なのではないでしょうか!
参考:「エネルギー・環境戦略に対するパブリックコメント」の特設ホームページ
発電事業社でつくる電気事業連合会は、8月10日、政府が示した原発比率は「実現可能性の点から問題が極めて大きく、算定根拠の開示も不十分。拙速な議論は避け、選択肢そのものを再考すべきだ」との意見を提出しました。電事連は、現行のエネルギー基本計画を上回る省エネや再生可能エネルギーの導入目標は技術面から実現可能性に疑問があると指摘。また、原発比率が下がり化石燃料の購入量が増えれば調達価格が上昇するのに、3つの選択肢が前提にする燃料価格が同じであることなどを問題視しています。3つの選択肢は不適切だとしたものの、原発比率については「20〜25%」が必要な水準だと主張しています。
また、経団連は7月27日、政府3案について「いずれも実現可能性に乏しく経済への悪影響など問題が多い」と再構築を求める意見書を発表しました。日商の岡村正会頭も27日、官邸に見直しを求める要望書を提出しています。
経団連の意見書では、政府3案は2010年代に実質1.1%、20年に0.8%の成長が前提で、実質2%、名目3%を目指す政府の成長戦略と整合性がないと強調。省エネや再生可能エネルギーの導入目標も現行のエネルギー基本計画を上回り実現可能性や対策が不透明だと指摘しています。電気料金が上昇し雇用が減るなどの悪影響が出ると批判しています。
そのうえで石油や天然ガスなどの化石燃料、太陽光や風力など再生可能エネルギーに加え、原発を「エネルギー源のひとつとして維持すべき」と明記。原発に対する信頼回復と安全性向上に努力する一方、省エネや再生エネの導入見通しを現実的なものに変更すべきと表明。再生エネの固定価格買い取り制度の見直しも求めています。
こうした事業者や経済団体の批判を背景に、8月20日付けの読売新聞社説には、少し驚くような記事が掲載されました。その後半部分を引用します。
原発ゼロ発言 無責任な楽観論を振りまくな
2012/8/20読売新聞社説
政府は2030年の原発比率について「0%」「15%」「20〜25%」という三つの選択肢を示している。このうち、「0%」が最も非現実的なのは明らかだ。
政府の試算によると、国内総生産が約50兆円減少するなど、日本経済への打撃は甚大だ。
民間の見通しも厳しい。経団連は、失業者が200万人も増えると警告している。電力多消費産業の鉄鋼業界は、電気料金が最大で約2倍に上がることから、「廃業勧告に等しい」と訴えた。
野田首相は「0%」とした場合の課題やその克服策の検討を関係閣僚に指示している。原発ゼロを正当化する“理論武装”が狙いとすれば、看過できない。
懸念されるのは、経済界の悲痛な声をよそに、原発ゼロでも何とかなるとする安易な考えが、政権内に出ていることである。
特に、電力安定供給と産業振興に責任を負う枝野氏が、楽観論を振りまいているのは問題だ。
枝野氏は「0%」を実現可能な選択肢としたうえで、「やり方を間違えなければ、むしろ経済にプラスだと思う」などと述べた。原発の代わりに再生可能エネルギーを導入すれば、内需拡大につながるはず、というのだ。
現実はそれほど甘くはない。再生エネで先行したドイツでは電気料金の上昇で家計負担が急増し、太陽光パネルのメーカーが安い中国製に押されて倒産するなど、悪影響が顕在化している。
国の浮沈にかかわるエネルギー戦略を、不確実な期待を根拠に決めるのは、極めて危険である。
読売新聞が、はじめからゼロシナリオは実現不可能であるという前提で、論じていることに大いに違和感を持つのは、私一人ではないと思います。ただし、政府の3つのシナリオが余りにも唐突であることも事実です。
更に指摘すれば、死に体=レームダックの状況に陥っている民主党政権に、こうした大事な日本の基本政策を論じてもらいたくないというのが私の本音です。
原発ゼロを目指すことの国民的合意を目指せ
公明党は、「原発ゼロの日本を目指す」ということをまず基本姿勢に掲げています。そして、原発の稼動期間を原則40年に限定して、1年でも、5年でも、10年でも前倒しで原発ゼロを実現することを約束しています。それを実現するために、省エネ、再エネ(再生可能ネルギーの活用)、火力発電の効率化などの技術革新や普及拡大を図ることにしています。
そもそも、政府の呈示した2つのシナリオは到達が明示されていません。2030年に何%にするかという問いは、将来ゼロにするために何%にするのか、将来的にも原発を維持ていくのかという、最も根本的な問いかけが含まれていません。
だから、国民の多くは2030年原発ゼロを選択しているのです。しかし、2030年にゼロシナリオは、確かに実現が難しいかもしれません。だからこそ、原発ゼロに国民的合意を得ることが一番重要なのではないでしょうか!
参考:「エネルギー・環境戦略に対するパブリックコメント」の特設ホームページ