官民一体となった研究・開発を公明党がリード
参考写真 今年のノーベル医学・生理学賞が、京都大学の山中伸弥教授らに贈られることが決まりました。山中教授の受賞は「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を世界で初めて開発した業績が高く評価されたものです。
 iPS細胞は、体中のさまざまな組織や臓器の細胞になる能力がある万能細胞です。人の皮膚細胞などから作ることができ、生命倫理の問題が少なく、拒絶反応の心配もないことから、病気などで失われた組織や臓器の再生をめざす「再生医療」の“切り札”になると期待されています。
 例えば、将来、脊髄を損傷した患者にiPS細胞から作った神経細胞を移植して治療できるようになるかもしれません。難病対策や新薬開発なども含めて、実用化に向けた研究を進めていくべきです。
 一方、こうしたiPS細胞や、受精卵から作る「胚性幹細胞(ES細胞)」などを使った再生医療をめぐる国際競争は激しさを増しつつあります。
 日本の再生医療は、iPS細胞の研究では世界でトップレベルに位置しているものの、培養皮膚などの再生医療製品の実用化件数は、欧米や韓国に比べて著しく少ないのが現状です。
 これは、実用化に対する規制の違いが影響しているからです。
 欧米や韓国は、再生医療製品への優先審査制度など柔軟な規制を設けていますが、日本では行われていません。そのため、例えば培養皮膚の場合、再生医療製品の治験申請から製造販売承認までにかかる期間が、韓国では1年9カ月で済んだのに対し、日本では約7年もかかったケースがあります。
 安全性は厳しく確保されなければなりませんが、研究者などからは、再生医療の実用化を促す規制緩和や新たな法整備を求める声が上がっており、対応が急がれます。
 また、欧米は多額の研究資金を投じており、研究者の層も厚い。日本も、そうした面での支援をさらに強化していく必要があります。
 経済産業省によれば、再生医療の世界市場規模は2010年の約650億円から、10年後の20年には約8700億円に急拡大すると予測されています。再生医療は新たな成長分野であり、日本も産官学が一体となって研究の推進に取り組まなければなりません。
 公明党は、自公政権下で科学技術振興予算の大幅増額を実現し、iPS細胞の研究などを後押ししました。以下その経緯をまとめてみました。

  • 国として「再生医療研究」に予算がつけられたのは2003年。5年間で3億円というものでした。2007年で、この予算は打ち切りに。

  • 山中教授が、受賞の決め手となった論文が出されたのは2006年8月。世界から山中教授に「是非来てください。研究費も出します」と、いわば引き抜きが始まっていた時期です。自公政権では、「経済財政諮問会議」と「総合科学技術会議」を戦略の2本柱としており、「総合科学技術会議」は、日本の未来のために「選択と集中」――まさに先端技術開発に力を入れようとしており、公明党が推進力となりました。

  • 2008年、「2003年〜2007年の5年間で3億円」だったものを、この年から一気に毎年40億円。さらにiPS研究所をつくることを決定。さらに2009年には、今後5年間で50億円を、それに加えることを決定。公明党の科学技術振興の大きな柱の一つに、このiPS細胞研究があり、当然、iPS細胞など再生医療に力を入れることになりました。

  • 2009年9月、民主党政権に政権交代。科学技術予算は容赦なく事業仕分けの対象となりました。蓮舫議員のスーパーコンピューターを巡り、「2番ではダメですか」という言葉に象徴されるように、科学技術予算に大ナタが振るわれました。山中教授のプロジェクトもその一つに挙げられました。山中教授たちはこれに激しく抗議、結果的に削減は免れました。

  • 科学技術関係を減らそうとした民主党政権。自公政権(麻生)の時の2009年度補正予算で「最先端研究開発プログラム」を創設し、2700億円の予算としたが、それを民主党政権では1000億円に大幅減額してしまいました。山中教授のプロジェクトは、最大枠の50億円が確保されたが、もし以前のままなら、150億円が充てられた可能性があります。結果的に3分の1減額されしまったと言っても過言ではありません。

  • 公明党は2009年衆院選のマニフェストに、「わが国発のiPS細胞(人工多能性幹細胞)による再生医療などの先端医療技術開発の実現に向けた研究に取り組みます」と、明確に謳っています。2010年参院選マニフェストにもそれは掲げられています。

  • 民主党政権や田中真紀子文科大臣が、「おめでとう。国としてさらに力をいれます」などと言っているのを聞くと、憤りとともに本当にあきれてしまいます。情けないとしか思えません。公明党は、9月には党再生医療推進プロジェクトチームも発足させました。“夢の医療”前進へ、今後も全力を挙げていきたいと思います。