参考写真 脳脊髄液減少症患者支援の会子ども支援チームは、今年8月21日、取手市で「健康セミナーinとりで・脳脊髄液減少症を理解しよう!」を開催し、教育関係者や一般市民など138名が参加しました。10月17日、子ども支援チームの代表鈴木裕子さんらが茨城県庁を訪れ、県教育庁と保健福祉部にセミナーの開催結果報告並びに橋本昌知事宛の要望書を手渡ししました。県議会で一貫して脳脊髄液減少症の啓発と治療法の確立を主張してきた井手よしひろ県議も同席しました。
 脳脊髄液減少症は、脳脊髄液漏出症ともいわれ、交通事故やスポーツ外傷等、身体に強い衝撃をうけることにより、脳脊髄液が漏れて発症し、頭痛、首や背中の痛み、腰痛、めまい、吐き気、視力低下、耳鳴り、思考力低下、うつ症状、睡眠障害、倦怠感等のさまざまな症状が複合的に発現する病気です。これまでこの病気については、なぜこのような症状が発現するのか、どのように脳脊髄液が漏れるのか等の基礎的な研究が大きく立ち遅れているため、「怠け癖」あるいは「精神的なもの」と判断されるケースが多く、患者やその家族の苦しみは計り知れないものがありました。
参考写真 昨年(2011年)5月、厚生労働省研究班により「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」の中間報告がありました。その総括研究報告書には「交通事故を含む外傷が約1/3・5例に認められ、外傷が契機になるのは、決して希ではないことが明らかとなった」と明記され、今までの医学界の常識を覆す結果となりました。
 また、昨年10月13日、第70回脳神経外科学会学術総会にて、整形外科学会を含む関連学会8学会の承認のもと、「脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症の一部)の診断基準」が発表され、さらに、研究班は保険適用に向けての次善の策として本年6月から「先進医療」を開始し、全国で15の病院で保険医療が適用だれるようになりました。今後も確実に増加するものと思われます。早期診断、早期治療の体制確立と保険適用の早期実現に向けて、大きな期待が寄せられるようになりました。
 さらに、今年9月5日には、文部科学省より「学校におけるスポーツ外傷等による脳脊髄液減少症への適切な対応について」と題して、脳脊髄液減少症に対して、より一層の理解と適切な対応を行うよう通知が出されました。
 こうした現状のもと、鈴木代表らは「脳脊髄液減少症の認識を学校関係者や現場の医師に深めていただくことが緊急の課題。そのために養護教諭や学校医への周知徹底をお願いしたい。また、県主催で専門医や患者・患者家族を招いた勉強会を是非開催していただきたい。また、患者・家族にとって出来るだけ多くの情報を提供する必要があり、県の脳脊髄液減少症のHPに患者団体へのリンクを張っていただきたい」などと、要望しました。
 一行は、教育庁、保健福祉部担当課長との意見交換の後、県保健福祉部森戸久雄次長に橋本県知事宛の要望書を提出しました。
脳脊髄液減少症の治療推進等に関する要望
  1. 県内公立病院において先進医療の申請と診療の開始

  2. 県主催で専門医(患者含む)を招き勉強会の開催及び患者救済のための意見交換を実施

  3. 県内交通事故担当の警察官に対し脳脊髄液減少症の勉強会実施

  4. 専門の相談窓口の設置及び就業支援・生活支援の確立

  5. 子どもの脳脊髄液減少症の実態調査及び教師・保護者への啓発(勉強会・広報活用等)
参考:脳脊髄液減少症患者支援の会子ども支援チームのHP
参考:茨城県内で脳脊髄液減少症の診療が可能な医療機関について