破綻した2009年公約、また民主党は国民をだますのか?
参考写真 民主党の辞書には「反省」という言葉がないようだ。民主党は、このほど、野田首相の指示を受け、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)作りを本格的に開始しましたが、政権交代の原動力となったとされる2009年マニフェストの主要政策を実現できなかった原因や破綻の構造について、国民への十分な説明責任を、全く果たしていません。
 2009年マニフェストでは、中学卒業まで1人当たり月額2万6000円を支給する子ども手当、月額7万円の最低保障年金、ガソリン税などの暫定税率廃止、高速道路無料化など、華々しい政策が並びました。民主党は、これらに必要な16.8兆円の財源も確保できると明記し、消費税増税も不要と喧伝しました。
 しかし、政権奪取後、財源は調達できず、これらの政策も実現不可能になりました。
 民主党は、昨年発表した中間検証で、マニフェストを実現できなかった要因として、リーマン・ショック後の景気の落ち込みなど経済状況の変化や、ねじれ国会、東日本大震災などを挙げています。しかし、国民はそんな民主党の言葉を誰も信じていません。
 それは、国の予算を組み替え、税金の無駄遣いを根絶することで財源を捻出するというマニフェストの基本構造に欠陥があったのです。政策の裏付けになる財源を確保できない以上、政策実現は不可能であり、マニフェスト破綻は必至でした。
 民主党が政権獲得に当たって、国民と交わした「契約」であるマニフェストが虚構であったのですから、もはや民主党政権の正当性は失われています。また、財源を見誤ったことは、国家運営の柱である財政についての見識のなさを示し、政権政党として失格です。
 民主党は、党内にあまりにも異なった意見を持つ人々が多く、今なお、綱領を策定できていません。綱領に代わって、選挙のたびに、その時々の政策を束ねて、マニフェストに仕上げ、政党らしさを演じてきたといっても過言ではありません。
 このため、政権を担う政党が党内で共有しているような国家像や外交戦略がまったく浮かび上がって来ていません。
 本来、政策とは、財源とセットであることはもちろん、政党がめざす不動の軸を中心に、さまざまな分野で討議を重ね、党員や議員が地域での対話を継続し、練り上げられるものであるはずです。
 民主党が、2009年マニフェストの根本的な欠陥に目をふさいでいるかぎり、国民はもはや、この党のどんな政策にも期待することはないでしょう。