国民を欺いた2009マニフェストをやっと謝罪
参考写真 11月11日〜18日、民主党の「政策進捗報告会」が開催されました。その冒頭、細野豪志政策調査会長のビデオが放映されました。「できなかったことは真摯に反省し、お詫びし、その理由を明らかにして、次につなげ、“検証”というプロセスを踏み、これからやるべきことをはっきりさせていきます」という内容だったそうです。その上で、「前回はマニフェストで、政権を取れば何でもできるという傲慢さ、政権運営の厳しさを知らない未熟さがありました」と、公式にマニフェストの破綻をようやく認め、謝罪しました。
 民主党の2009年マニフェストでは、中学卒業まで1人当たり月額2万6000円を支給するとした子ども手当をはじめ、月額7万円の最低保障年金、ガソリン税などの暫定税率廃止、高速道路無料化など華々しい政策が並びました。しかし、これら主要政策の多くを実現できず、実質的に破綻しました。
 その最大の要因は、これらの実現に必要な16.8兆円の財源を税金のムダ遣い根絶と予算の組み替えで確保できるとし、消費税増税も不要とした財源対策の甘さにあります。いわば、マニフェストの基本構造そのものに致命的欠陥があったわけです。
 にもかかわらず民主党政権は、これまで国会で何度となくマニフェストのずさんさを追及されても、「着実に実現していきたい」と居直り、一向に見直そうとしませんでした。
 そうした姿勢から一転して全面謝罪に踏み切ったのは、国民からの批判に耳を傾ける姿勢を示すことで衆院選への地ならしとすることを狙ったパフォーマンスと言わざるを得ません。「“おわび行脚”の名を借りた選挙運動」(11月11日付 読売「社説」)と指弾されたのも当然です。
 民主党の発表によると、野田首相が出席した福岡市の報告会は参加者163人のうち4分の3を党員・サポーターが占め、一般の参加者はわずか41人だした。各報告会で空席も目立ちました。主要全国紙に全面広告を出して参加者を募ったにもかかわらず、有権者の関心がこれほどまで低かったこと自体、民主党が国民にそっぽを向かれていることを如実に物語っています。(蛇足ですが、新聞各紙に掲載された全面広告。あの巨額の予算は政党助成金、国民の税金から出されたと思われます)
 野田首相は解散直前の衆院予算委でも「過ちは素直におわびする」と陳謝しましたが、国民との「契約」であるマニフェストが虚構であった事実は「過ち」では済まされません。マニフェスト総崩れで国民の政治不信を増大させた責任は極めて重大であり、「政権の正当性」は完全に失われています。
民主党政権公約 原発ゼロでは反省に値しない
(読売新聞社説2012/11/11)
民主党が、2009年衆院選の政権公約(マニフェスト)についてようやくこう反省した。
「政権を取れば何でもできるという傲慢さ、政権運営の厳しさを知らない未熟さがありました」
打って変わったような低姿勢ぶりである。次期衆院選を戦えないとの危機感があるからだろう。
民主党は10日、大阪と福岡でマニフェストの検証結果を報告するための集会を開いた。野田首相は「反省しながら、より現実感のある、約束を守れるものを作り上げたい」と語った。18日まで全国計11か所で展開する方針だ。
子ども手当やガソリン税の暫定税率廃止、高速道路無料化、16・8兆円の財源確保など、マニフェストのずさんさは、次々と明らかになった。だが、民主党は「マニフェストの着実な実現」を掲げ続け、見直そうとしなかった。
それを衆院解散を目前にして反省し、出直すというのは遅きに失している。“おわび行脚”の名を借りた選挙運動と言えよう。