参考写真 12月1日より、東京医科大学茨城医療センター(阿見町)は、診療報酬の不正請求により、保険医療機関の指定を取り消されました。国民健康保険や健康保険組合の保険、共済保険などそべての健康保険での診療が受けられなくなりました。
 そのため、病院での診療を受ける場合は、医療費が全額自己負担になります。茨城医療センターは、地域の中核医療機関であり、救急医療やがんの拠点病院であることから、本来保険が適用される部分を自治体などが特例として支払う「療養費制度」を活用して、当分の間、保険を使った場合と同じ負担割合で診療が受けられるようになります。
 1日は土曜日であったために、外来の診療は午前中に終わり、100人ほどの患者が訪れましたが、大きな混乱はありませんでした。
 正面玄関には保健医療機関指定取り消しの説明が貼り出され、 患者が訪れると、 出入り口から職員が声がけして案内しています。 予約のない患者は外来ロビーで初診受付の後、 特設窓口で説明を受けながら署名・捺印などの療養費払いの手続きを行います。診療科近くにも手続きのコーナーが設けられた。 同病院職員、 看護師、 同大学他病院の職員が対応に当たっていました。
参考:東京医科大学茨城医療センターのお詫び
 今回の問題対して、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、地元の八島功男県議を中心に素早く対応。病院の責任を厳しく追求するとともに、保険医療機関の早期再指定や患者・地域住民に負担や不安をかけない体制整備を求める署名運動を展開しました。その数は、厚生労働大臣と知事に提出した署名の合計で、16,696筆に達しました。この署名が呼び水となり、地域での署名合計は5万人を超えました。
 11月22日、橋本昌知事は厚労省に三井辨雄(わきお)大臣を訪ね、早期再指定などを求める要望書を提出しました。
 橋本知事は、「東京医科大学茨城医療センターは、本県南部の中核病院として極めて重要な役割を果たしている。救急医療でみると、例えば稲敷市には病院もなく、茨城医療センターがなくなってしまうと間に合わなくなってしまう。また、県内各地域に医師を派遣している。こうしたことから、消防や医師会からも何とかしてほしいとの声が多数上がっている。県では、茨城医療センターに対し、再発防止に向け体制をしっかりとるよう言っている。この病院は昭和23年に発足し、地域にしっかり根付いており、茨城医療センターの早期再指定に対する要望の署名は、5万人を超えている。県としては、できるだけ早い時期に再指定をされ、これまで同様、地域の中核病院として必要な医療の提供や医師確保のための十分な役割を果たせるようご配慮を是非ともお願いしたい」と語りました。
 三井厚生労働大臣は、「よく事務方と相談して検討したい」と応えるにと止まりました。
 通常は、再指定まで5年間かかるため、医療機関としての運営はできなくなります。過去においては、国立病院や市立病院が、その公的な重要性を斟酌され、1ヶ月程度に短縮された事例もあります。しかし、茨城医療センターの場合は、不正請求の内容が悪質であり、医師を育てる医科大学の付属病院で発生した事案であるため、国の対応が注目されます。