「自衛隊」は国民に定着、政府解釈 「行使認めず」は妥当
参考写真 自民党は衆院選公約で、憲法を改正して自衛隊を「国防軍」に変えることを主張しています。また、集団的自衛権の行使を認めるように政府解釈を変更することも掲げています。
 安倍晋三自民党総裁は、「国防軍」の実現について、(1)憲法改正手続きを規定した96条の改正(2)それに基づき9条を改正し「国防軍」にする―の2段階で進める考えを表明しています。これは中長期にわたる議論が必要なテーマであることから、直ちに「国防軍」を創設するのではないと理解すべきです。
 私共、公明党は「自衛隊」という名称について、「専守防衛」という日本の安全保障に対する姿勢が端的に示されている上、国民にも長年定着して理解されていることから、ことさら変更する必要性はありません。
 また、政府の憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使を認めるべきだと自民党が主張していますが、公明党は「日本は海外で武力行使しない」というのが憲法9条の精神であり、「集団的自衛権の行使は自衛のための必要最小限度を超えるものであって認められない」という、従来からの政府解釈は妥当だと判断しています。集団的自衛権は認められていないと考えています。
 こうしたことから、衆院選後に自民党と公明党が協力できるのかと指摘する声も出ていますが、自公連立政権は安定した政権運営で10年間続きました。なかんずく2006年に安倍政権が発足した時も、連立政権合意を交わし現実に政権を運営しています。
 したがって、当面の政権運営については、自民党とも協調的に現実的な運営ができると考えています。
 とわいえ、安倍総裁のこうした公約が、いたずらに中国や韓国、アメリカなどとの外交関係を刺激することにも十分配慮すべきだと考えます。そう選挙区以降の政権の枠組みを議論する時期ではありませんが、いずれにせよ、公明党は平和憲法を守り世界の平和に貢献する姿勢を堅持して参ります。
自民党の政権公約<自民党政策BANK>に盛り込まれた安全保障にかかわる項目
  • 官邸の司令塔機能を強化するため、「国家安全保障会議」を設置します。

  • 日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定します。

  • 防衛大綱・中期防を見直し、自衛隊の人員・装備・予算を拡充します。

  • 憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます。

  • 統合運用を進め、自衛官と文官の混合組織への改編、部隊運用組織の統合など防衛省改革を推進します。

  • 米国の新国防戦略と連動して自衛隊の役割を強化し、抑止力を高めるため、日米防衛協力ガイドライン等を見直します。