参考写真 東日本大震災で被災した中小企業の設備や施設の復旧などを支援する「震災復旧のための中小企業等グループ等補助金」の第6回(茨城県では4回目)の募集が行われています。
 このグループ補助金制度は、中小企業が必要とする復旧資金の4分の3を国と県が負担する大変有利な補助金です。しかし、その使い勝手は、極めて悪い制度であり、真に事業を立て直し、継続させる企業が利用できないという現状があります。
 これまで、主に東北3県でグループ補助金を受け取ることができた企業の多くは、資本関係のある「縦系列」の企業グループでした。グループ補助金の募集要項には、サプライチェーンを組むグループが例示されていますが、まさに東京に本社を持つ企業グループの子会社の工場、その仕入先、物流を任された企業、関連会社などが優先的に補助金が受けられる仕組みになっています。
 一方、茨城県内では、こうした縦系列の企業グループより、地域に密着した「横系列」のグループが数多く存在し、それらは申請に大変に苦労してきました。多くのグループ構成企業は、資本関係はもとより、業種・業態・規模もまちまちでした。津波被害を受けたひとつの地域の小売業がグループを作って、グループ補助金制度に申請することは非常に敷居が高い現実がありました。
 その上、このグループ補助金の所管は、復興庁でがなく中小企業庁でした。中小企業庁は、純然たる震災復旧という視点よりも、この助成金を活用することで、補助金を受けたグループ企業が、地域の復興にどのような貢献ができるかという視点を重視するようになりました。
 これによって、津波で店舗が流された小売業グループを立て直すより、壁や柱に多少のヒビが入った程度でも、様々なイベントや地域活動を提案した被害が少ないグループが重用されるようになってしまいました。本来の政策目的とは異なった結果が生じてしまったのです。
 また、グループ補助金は年度内の復旧事業の完了を条件付けしていたため、単年度内の普及が見込めない壊滅的な影響を受けた事業者は、申請自体をしなかったと言う事例も発生しています。
 地域ごとの配分にも疑問が残ります。グループ補助金は、被災地全体では今まで6回募集が行われ、その総予算は3,700億円に上ります。
 しかし、東北3県に並ぶ被害を被った茨城県は、第一回目の予算配分がありませんでした。今回の配分が15億円も、全体の予算800億円余からすると、あまりにも小規模であると言わざるをえません。ちなみに茨城県では、5回目の申請の積み残しが約80億円以上もあります。
 被災地全体を俯瞰したバランスある配分は、どこで誰が決めているのか、極めて不透明です。
 様々なグループ補助金制度の不備を見る時、民主党政権の政治指導の稚拙さを指摘せざるをえません。
 茨城県へのグループ補助金予算獲得を語る時、野党である自民党と公明党の国会議員の働きを無視することはできません。特に、昨年9月の公明党石井啓一政調会長(党県本部代表)の予算委員会での野田総理への質問は出色でした。
 12月16日投票の総選挙では、3年3ヶ月にわたる民主党政権に終止符を打ち、一刻も早くグループ補助金を含めた復興諸政策の総見直しを行うきです。