制度への不信払拭を急げ、国民を安心させる議論を
 自営業者やアルバイトなどの非正規労働者などが加入する国民年金の保険料を納めていない人が増えています。
 経済的に厳しい、健康を害しているなどの理由で保険料が払えない人がいるのも事実です。しかし、年金制度への不信から払っていない人も多く見られます。
 国民年金(基礎年金)は、年金給付の財源の半分を税金で賄うような制度設計に変わっています。保険料を納めずに年金の受給資格が得られなければ、この税金分の年金も受け取れなくなることに注目しなければなりません。
 つまり「税金の払い損」になってしまうのです。年金保険料の未納は、大きな損であることを、あらためて強調しなくてはなりません。
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 厚生労働省が先週発表した調査結果によれば、2009年、10年度の2年間、国民年金の保険料を全く納めていない人は約455万人。調査対象とした加入者(約1737万人)の26.2%に上り、過去最高となっています。
 未納の理由は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が74.1%を占めていますが、世帯の年間総所得が1000万円以上であっても、この回答が半数を超えています。一方、「年金制度の将来が不安・信用できない」と答えた人は10.1%となっています。
 まず景気の好転に全力を挙げていくことは当然として、年金制度への不信払拭を急がなければなりません。
 現在の年金制度は公明党が主導した2004年改革で安定した制度になっています。選挙目当てで年金不信をあおっていた民主党も、政権に就いてからの国会答弁では「年金制度は破綻しない」と繰り返しました。
 社会保障と税の一体改革では、基礎年金の国庫負担分の安定財源が確保されるとともに、無年金対策として年金の受給資格期間の大幅短縮や、低年金対策として保険料の納付実績に応じた給付額の加算などが実施されます。厚生年金の適用基準も拡大され、一定の条件を満たす非正規労働者の厚生年金加入が進むことになります。
 公明党は低年金対策の充実など、現行制度の機能強化をさらに進めていきます。
 先の衆院選では、維新の会など一部の政党が「積み立て方式」への移行(現行制度は「仕送り方式」)を訴えていましたが、実際に移行する際には、現役世代は自分への積み立てと高齢者への仕送りの「二重の負担」を強いられる。巨額になる積立金の運用も課題で、とても現実的とは言えません。こうした現実的でない考え方を、一部マスコミが“年金破綻”といった形容詞でセンセーショナルに煽ることも、年金不信の大きな要因となっています。
 年金は老後の生活を支える基盤です。党利党略に年金問題を語るのではなく、与野党は真摯に向き合い、国民を安心させる議論を深めていくべきです。