参考写真 昨年11月に国家公務員退職手当法が改正されたことに伴い、地方自治体の職員、教員、警察官などの退職金も段階的に引き下げられることになっています。
 民主党政権は公務員と民間の格差是正を目的に、法律を改正し国家公務員の退職金削減を決定しました。これに伴い総務省は、全国の自治体に地方公務員の退職手当の引き下げを要請しています。地方公務員の退職手当は、自治体毎の条例で決められているため、現在全国の自治体が条例の改正を始めています。
 埼玉県は2月1日から段階的に県職員の退職金を引き下げる条例を定めましたところ、110人の教職員が条例施行前の1月末日までに、早期退職をすることがわかりました。110人の先生の内、教頭が4名、学級担任が30名含まれていることが分かり、学期途中での自己都合退職に批判の声が上がっています。
 埼玉県によると、早期退職をする教職員らは条例の成立で平均で150万円、退職金が減額される見通しだということです。マスコミ等の報道によると、埼玉県の上田知事は「世間的にも批判があるだろうし、特に担任を持っている先生が辞めるのは不快な思いだ。担任の先生が3月まであと2か月のところで辞めてしまうのは、間違いなく困ってしまうので、無責任のそしりを受けてもやむをえない」と述べ、早期退職の意向を示している教職員を批判しています。
 勤続35年以上、月給41万円の標準的な教職員の場合、1月末に早期退職した場合、退職金は月給の59.28か月分で2430万円も支給されます。
 一方、通常通り3月末に定年退職した場合、3.42か月分減額され月給の55.86月分となり、退職金は2290万円となります。このため早期退職した方が、退職金が140万円多くなり、退職して失った2月と3月の2か月分の給与、合わせて82万円を差し引いても58万円、手取りが多くなります。
 現場の教員からは、「突然去年暮れに校長から退職金の減額について話があった。住宅ローンもまだ残っている。今回の突然の減額決定は、30年以上勤めてきた教師に対するひどい仕打ちだと思う」との声が寄せられています。
 同じような問題は全国各地で起こっており、佐賀県などは一旦退職した公務員を、年度末まで任期付きの臨時職員として再採用するなど、早期退職をいわば“公認”している自治体さえあります。(写真は埼玉県の事例を報道するフジテレビのニュース番組)

 茨城県の対応は、3月定例県議会に条例を提出する方向で、他県の状況を見ながら慎重に検討を続けています。県議会で審議を経て可決されれば、定年退職日の3月31日直前の3月下旬に施行される見通しです。
 井手よしひろ県議は、1月23日、県総務部長から退職手当の問題について状況を聴取。意見交換を行いました。
 それによると、条例改正により退職手当は、2011年度に比べて12年度は約140万円、13年度は約280万、14年度は約400万円の減額となる見込みです。茨城県は、条例施行日と定年退職日の間が短いため、自己都合で早期退職しても給与月額の目減り分が少ないため、現場での混乱は他県より少ないとみられます。
 退職手当は自己都合の場合、通常は支給割合が2割ほど減る規定になっていますが、県では60歳以上の自己都合退職は定年退職と同じ扱いとしているため、早期退職にブレーキを掛けることは出来ない、との説明でした。県は、議会への条例提出に先立って、1月25日に県職員組合との交渉を行い予定です。
 なお、今年3月末に退職を迎える県職員は、知事部局約190人、教職員約460人、県警約150人の約800人。県職員の退職手当は1人平均約2740万円です。