参考写真 牛久市では、次世代を担う子供たちの健康を守るとともに、内部被ばくに対する不安軽減のためホールボディカウンタによる内部被ばく線量測定を実施しました。その結果、検査した7468人全員が、放射性セシウム不検出となりました。
 受検者の内訳は、男子3532人、女子3936人。4歳児から中学校3年生までの児童・生徒が6630人。未就学児の保護者が838人となっています。
 ホールボディカウンタは一般用に保有する病院が限られているため、茨城県内で受け入れている施設はありません。
 牛久市は、福島県にある医療法人誠励会ひらた中央クリニックと協定を交わし、18 歳以下の市民を無料で健康調査を実施することにしました。
 ホールボディーカウンターは、測定した時点で体内に存在している放射性物質(放射性セシウムのみ)の量を測定する機器です。体内に取り込まれた放射性セシウムは約90日で半分が体外へ排出されるため、体内の状況は日々変化します。そのために、測定日の「放射性物質の量」から「被ばく量」を推定します。また、原発事故から 1 年以上過ぎた現在では、当時の影響を推定することは困難であるため、毎日の食事などからの摂取として推定することになります。
 なお、今回使用したホールボディカウンターは、FASTSCAN2251(CANBERRA製)です。検出限界Cs134、Cs137とも300Bqです。
 今回の結果を踏まえ、牛久市では、内部被ばく・外部被ばくの実態や影響について講演会を開催します。
◎内部被ばく検査(ホールボディカウンタ検査)最終報告会
「放射線測定から見えてきた過去・現在・未来」
  • 日 時:平成25年2月3日(日)開演13:30〜

  • 場 所:市中央生涯学習センター

  • 主 催:牛久市放射能対策会議

  • 講 師:早野龍五先生(東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授)

  • 定 員:1,200名

  • 入場料:無料

 今回の健康調査は、牛久市議会公明党の提案で実現したものです。
 福島第1原発事故が原因で、県内でも比較的放射線量が高かった牛久市を含む茨城県南地域の親たちは、子どもに放射能の影響が出ないかと不安を抱えていました。2011年11月、県南地域の母親らを中心とする48のグループが、子どもの被ばくの健康調査を求める要望書を連名で県に提出しました。しかし、県は(1)健康被害があるほど高い空間線量を示す地域はなく、かえって不安をあおることになりかねない(2)県にもホールボディカウンターが17台あるが、全て研究機関や緊急事故用であり、一般使用は認められていない等の理由により、検査は実施されませんでした。
 こうした実情や不安の声を聞いた牛久市公明党は、2011年12月議会で「健康に影響が出るレベルではないとしているが、やる必要がないと言い切っていいのか疑問が残る」とした上で、子どもの被ばくに関する健康調査について、市の見解をただしました。また、12年3月議会でも、政府が「被ばく対策は子ども優先」と提言したことも踏まえ、調査の実施を市に求めました。
 これに対し、池辺勝幸市長は「市民の安心のためには、安全への裏付けが必要」と述べ、健康調査の内容や対象、期間、評価方法などを検討すると前向きな姿勢を示し、福島県にある「ひらた中央クリニック」で、ホールボディカウンター検査を実施することになりました。
 7000人を超える受診者全員が、検出限界以下との結果は市民の不安解消に大いに役立つと思われます。
参考:放射能汚染地図の最新版(群馬大学教授:早川由紀夫先生)

より大きな地図で Dose rate contour map of the Fukushima Daiichi accident, March 2011 (8th edition) を表示