参考写真 2月10日、井手よしひろ県議は、福島県鮫川村に環境省が建設中の「指定廃棄物焼却施設」を、現地確認しました。
 この日は、工事は行われておらず、施設の入り口は頑丈な鉄の門で閉鎖されていました。空間線量を示す電光掲示板は、1時間当たり0.11マイクロシーベルトを示していました。
 この焼却施設は、福島県鮫川村青生野地内の放牧地に建設されています。敷地の面積は約1600平方メートル。村役場のある中心部から南へ約15キロ離れた山中の丘陵地で、北茨城市と隣接しています。北茨城市の関本町小川地区で最も近い住宅は、わずか約1.5キロの距離です。 環境省は2月9日、北茨城市小川地区の住民を対象に説明会を開きましたが、住民から反対や不安の声が上がりました。
 環境省の計画では、鮫川村で出た放射性セシウム1キロあたり8000ベクレルをこえる、牛ふん堆肥8トンや、堆肥原料の落ち葉20トンをはじめ、8000ベクレル以下の稲わらや牧草など計600トンを、焼却処分します。
 排ガス処理装置を設置し、排ガス中の微粒子の灰を、99.9%除去できる、としています。焼却した灰は、セメントと混ぜて固形化し、敷地内の仮置場に一時保管する計画です。

より大きな地図で 鮫川村指定廃棄物焼却実証プラント を表示
放射性廃棄物焼却施設、国が北茨城で説明会
朝日新聞(2013/2/10)
 環境省が、堆肥(たいひ)など放射性物質に汚染された指定廃棄物の焼却施設を福島県鮫川(さめがわ)村青生野(あおの)地区に建設している問題で、同省は9日、建設地に隣接する北茨城市関本町小川地区で初めて説明会を開いた。同省は説明の遅れを陳謝し、2月下旬からの試運転と3月からの本格運転の日程を住民側に示した。
 放射性セシウムが1キロあたり8千ベクレルを超える指定廃棄物の処分は国に責任がある。施設は、敷地約1600平方メートル。農林業関係で村内から出た放射性セシウム1キロあたり8千ベクレル超の牛ふん堆肥や堆肥原料の落ち葉計28トンを含め、8千ベクレル以下の稲わらなど計600トンを焼却する。廃棄物を焼却灰にすることで減量化し保管しやすくするのが目的。焼却期間は2014年9月までの予定だ。
 地元住民や、鮫川村など福島県内の住民ら約100人が参加。環境省の山本昌宏・廃棄物対策課長らと施工会社などが出席した。
 山本課長は冒頭、「説明が遅れて大変申し訳なく思う」と陳謝。「汚染された廃棄物を除染して環境を改善していく。放射性セシウムが大量に残っている。一日も早く処理をするための事業だ」と理解を求めた。
 同省は、「なぜ、青生野なのか」という豊田稔市長の問いかけに、「村と相談し、村から提示されたのがあそこだった」と答えた。
 市民が反対しても強行するのかと、豊田市長に問われると、「持ち帰って上司に報告し、来週中にも回答したい」と述べた。
 放牧地だった青生野地区の地権者の半数の9人と今住んでいる72世帯のうち、48世帯が、説明会終了間際に白紙撤回を求める署名を同省に提出した。
 説明会後、小川地区の畜産業、山氏(やまうじ)徹さん(63)は「地元に説明をしたという環境省のアリバイ作りだけには、してほしくない」と話した。
 同省は昨年3月、焼却施設の建設を鮫川村に持ちかけた。村は4月に前向きな姿勢を見せ、5月に地権者からの合意を得たという。