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 3月2日、日立市の新しい庁舎の設計コンペが開催され、最優秀案に世界的な建築家妹島和世(せじま・かずよ)さんの設計案が選らばれました。
 日立市役所は、東日本大震災で被災し、市民サービスに支障をきたしており、全面的な建替えが計画されています。
 この日のコンペでは、一次審査を通過した5つの業者が、一般市民も見守る中、プレゼンテーションを行いました。日立市新舎庁建設設計提案競技審査委員会の6人の専門家、学識経験者による総合的な審査の結果、妹島さんが代表を務める有限会社SANAA事務所の設計案が採用されることになりました。
 妹島さんは、日立市出身の世界的にも署名な建築家です。JR日立駅の設計も手がけ、高い評価を得ています。
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 妹島さんの設計案は、行政サービスの機能性と防災拠点やにぎわいの中心としての役割を融合させた点が特徴です。新舎市は地上8階建て、地下1階の鉄骨造り。延べ床面積は2万7960平方メートル。市民サービスの窓口を1階と2階に集約しました。事務・執務室は高層階に、市議会は最上階に配置しています。防災拠点として屋上には太陽光発電のパネル、防災無線のアンテナなどが置かれ、地下には備蓄倉庫と自家発電装置が設置されます。建物全体を免震構造とします。
 市民の利便性向上のため、駐車場は500台分が確保されました。庁舎から6号国道の間に広がるスペースには、妹島さんの設計の特徴ともいえるガラス張りの巨大な屋根付き広場が設けられます。この広場には円形劇場やレストランのほか、庁舎と一体となった多目的ロビーや待合スペース、総合案内所などが整備されます。市民の憩いの場となるとともに、災害時には地域住民の一時避難場所として活用されます。
 マスコミの取材に対して審査委員会の古谷誠章委員長(早稲田大学教授)は「(妹島さんの案は)防災拠点性、行政サービスの向上、周辺を活性化する役割を果せる設計案」と、選定理由を説明しました。
 一方、最優秀案に選ばれた妹島さんは、「新庁舎からは海も見ることできます。国道6号線から屋内広場を通って新庁舎に入れるようなデザインにしました」「いろいろな機能を疑縮しました。選んで良かったと思われる庁舎にしていきたい」
などと語りました。
 今回の妹島さんの設計案をみると明るく伸びやからなデザインに圧倒されます。5つの案から選ばれたのも、当然と思われます。
 しかし、前面の屋内広場は、その活用法いかんでは、大きなデッドスペースとなってしまいます。全面がガラス張りですので、維持管費の問題も無視できません。当然こうした課題にも検討が進められていくものと思いますが、充分に議論してもらいたいと要望します。
 さらに省エネにも十分な配慮を期待します。全ての照明をLED化するなどの取組みを期待します。
 新市庁舎の総議業費は約95億円。来年度詳細設計を行い、26年度工事着工、28年度中の完成を目指します。
参考:日立市新庁舎建設設計提案競技審査委員会(2次審査)を開催しました(日立市のHPより)