参考写真
 3月27日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、県立こころの医療センター(土井永史院長)を訪れ、この4月から導入される最新機器・光トポグラフィーも視察しましました。
 光トポグラフィー(近赤外光脳機能計測装置)は、脳の活性化の状況を近赤外線によって計測する装置です。うつ病の診断などに威力を発揮し、県内では初めての導入になります。うつ症状の診断はこれまで医師の問診だけで行われてきましたが、この装置による客観的な脳機能の数値評価が加わり、より正確で早期の診断が可能となりました。患者の負担軽減、治療精度の向上が図られるとされています。
 光トポグラフィは、頭部に近赤外線を当て、反射してくる光から脳血流の変化を読み取り、脳の活動状態を数値化・画像化します。これにより、うつ病、躁うつ病、統合失調症、睡眠障害などの他の病気などとの鑑別診断がしやすくなります。
 うつ症状などの精神疾患の診断はこれまで医師の問診を中心に行われてきました。しかし、それぞれの鑑別は難しく、例えば、そううつの患者にうつの薬を処方して、そう状態が一層高まり、自殺のリスクが生じた事例もありました。
 光トポグラフィー検査には、赤外線よりもやや波長が短い近赤外光(きんせきがいこう)と呼ばれる光線が使われます。この光を頭部に当て、反射してくる光を計測し、頭皮から3cmほど内側にある大脳皮質の血液のヘモグロビン量の変化を読み取ります。これで脳の活動状態を数値化して、その波形をリアルタイムで画像化するのです。
参考写真 光トポグラフィーは、公明党の田村けい子議員(つくば市選出)の予算特別委員会での提案がきっかになって導入されました。この日は、実際に田村県議が装置の端子(ホルダー)を実際に装着し、検査を体験しました。ホルダーを装着し、光ファイバーの端子を取り付けるまでに約10分間。実際の測定は、3分間程度。全体でも15分程度検査が完了します。
 装置をかぶった被験者は、医師の質問に答えます。質問の内容は、最初に「あ、い、う、え、お、をくり返し言う」(1分間)、次に「ある一文字で始まる言葉を言う」(例えば、“い”で始まる言葉。始まりの一文字を変えて3通り、各20秒の間に言う=合計1分間)、最後に再び「あ、い、う、え、お、をくり返し言う」(1分間)といった内容です。
 最初の1分間の質問は、大脳を使っていないときの脳波を見るものです。次の質問により、大脳を使い始めたとき、血液量がどのように、どれくらいまで増加してくるのかを波形でチェックすることができます。
 この血流の変化の波形には一定のパターンがあります。波形は、健常者、うつ病、躁うつ病、統合失調症で特有のパターンを示すことがわかっています。このパターンから、被験者の病名を特定する手助けとします。
 もちろん、患者にとっては、全く苦痛や危険性はありません。服を脱いだり、特定の薬を飲むなどの必要もありません。
 検査を受けた田村県議は「痛みや苦痛もなく、自然な感覚角で検査を受けることができました。患者さんにとっても負担がかからず、症状への理解も画像や数値で進むことから、画期的な検査法だと実感しました」と語りました。
 県立こころの医療センターの土井医院長は、光ポトグラフィーやMRIといったハイテクの医療機器と私達精神科医の問診を中心とするローテクの診療方法を組み合わせて、全国でも最先端の精神科医療をこの病院に構築したい」と、意気込みを語っていました。