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 4月12日、東日本大震災から得た教訓を生かし、災害対策を強化する災害対策基本法改正案が閣議決定されました。
 この改正案には、現場の声を充分に活かした公明党の主張が随所に反映されています。
 改正案のポイントの第1点目は、災害弱者(災害時要援護者)対策の強化です。有病者や高齢者、障がい者など避難支援が必要な人の名簿作成を市町村に義務付けました。本人の同意を得た上で、消防など関係機関にあらかじめ提供するとともに、災害発生時には同意がなくても必要な個人情報を提供できるとしています。
 災害では、自力で避難できない要援護者が犠牲になる割合が高くなっています。国は自治体に対し、平時から要援護者の状況を把握して個別の支援計画を策定するよう求めてきました。しかし、個人情報保護の観点から、名簿作成をためらう自治体もあります。国の明確な指針を求める声を踏まえた対策です。
 ただ、個人情報を知り得た人に対しては、秘密保持の義務も併せて求めています。
 2点目は、災害が発生し自治体の業務遂行が困難になった場合、自治体に代わって、被災者の救助活動や道路の障害物除去などの応急措置を国が代行する仕組みを創設することです。
 東日本大震災では、庁舎が津波に流され、職員の多くが犠牲になった自治体もありました。しかし、自治体が被災したため、義援金の多くが被災者の元に迅速に届けることが出来ませんでした。こうした緊急事態への即応力の強化をめざすものです。
 3点目は、災害による住宅などの被害状況を示す罹災証明書を自治体が速やかに発行すると明記した点です。
 罹災証明書は、住宅が全壊や大規模半壊など著しい被害を受けた世帯に支給される「被災者生活再建支援金」を受ける際に必要となります。しかし、東日本大震災の被災自治体では、罹災証明書を発行する職員が不足したため手続きがスムーズに進まず、被災者の生活再建が遅れました。そのため、専門的な知識を持つ職員の育成も提示しています。
 大規模災害は、いつ起こるか予測は困難です。今後、首都直下地震や南海トラフを震源とする巨大地震などの発生も懸念されています。平時からの防災対策の強化は“待ったなし”の緊急課題です。
 改正案は対策強化の確かな一歩と期待されています。今国会での一刻も早い成立が強く望まれます。