参考写真 4月19日、東京電力福島第1原発事故の影響で発生した指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、橋本昌知事は、22日に開催される国の有識者会議までに、県内市町村長の意見を取りまとめ提出することを明らかにしました。有識者会議は第2回会合が予定されており、候補地の選定手順、評価項目、評価基準、候補地の詳細調査の方法などについて話し合われる予定です。
 県によると19日までに44市町村中、12市町村から回答が寄せられています。「国の責任で早期解決を図ること」(2自治体)と国の責任を強調する意見や、「拡散させない観点から国内一カ所で処理すべき」、「東電の福島第2原発敷地を指定すべき」、「福島県で最終処分場の候補地を検討することが望ましい」など、福島県内での最終処分を求める提案が出されています。また、3つの自治体は処分場の場所には言及せず、「住民の安心と理解を得られる説明をしてほしい」、「科学的見地に基づいた安全性のPRをお願いしたい」などと求めています。
 こうした福島県への集約案について、橋本知事は「地域の住民の意向を十分忖度(そんたく)していく必要があるのだろう」と慎重な姿勢を示しました。
 地域住民にとって、県内に1箇所の最終処分場を建設することの同意を得ることは、不可能であるといわざるを得ません。先の市町村長会では、知事から「放射性セシウムの半減期から試算すると、現在3000トンある指定廃棄物は、約13年で0.6トン程度に減衰する」との発言がありました。
 そこで現実的には、以下のような考え方もあると思います。
  1. 今後10年程度各市町村での一時保管を延長し、指定廃棄物の減量化を図る。
  2. その期間中に福島第2原発を廃炉とし、敷地内に最終処分施設を建設する。
  3. 一時保管した指定廃棄物で1キロ当たり8000ベクレル以上の数値を示すものは、最終処分施設に移動する。
  4. 国は市町村の一時保管施設に対して、その安全性確保のために充分な技術的、資金的な支援を行う。
(写真は4月12日、県市町村長会議で発言する橋本知事)
橋本昌知事の記者会見の一問一答(2013/4/19)

  • 毎日(幹事社): まず、幹事社を代表して毎日新聞から質問をさせていただきます。
    先週、指定廃棄物に関する市町村長会議が行われました。週明けの22日に、今度は国で有識者会議が予定されていますが、先日の市町村長会議で、一部の市町村長から、福島県内に集約すべきという意見もありました。現状、週明けの有識者会議に向けて、各市町村からどのような意見が挙がっているかをまずお聞かせいただけますでしょうか。

  • 知事: 昨日までに回答してくれるようにお願いしていたのですが、若干遅れておりまして、これまでに12市町村からの回答が出てきていると聞いております。
    その中には、先日の指定廃棄物処理促進市町村長会議の際にも出されましたように、福島の1カ所に集約できないのかという意見もいくつか出されているようです。今日中に何とかまとめていきたいと思っておりますが、全体像はまだはっきりしておりません。意見を取りまとめて環境省に伝え、22日に開催される第2回指定廃棄物処分等有識者会議に反映してもらいたいと考えております。

  • 毎日:指定廃棄物に関連した質問です。国の基本方針としては、指定廃棄物を排出した各県ごとに集約をしてほしいということなのですが、福島県内に集約を求める意見もある中で、県としては、今後、各市町村にどのような理解を図っていくかをお聞かせいただけますでしょうか。

  • 知事:これから市町村の意見を聞いたうえで考えてまいります。いずれにしましても、福島県のそれぞれの地域の住民感情もしっかり考え、いろいろな意見を聞きながら、トータルの中で環境省が方針を出されていくのではないかと思っています。

  • 共同:最終処分場の件です。福島に集約すればいいという多数の首長さんの声があるのですが、知事ご自身はその案についてはどのように思われますか。

  • 知事:福島県民、地元の住民の方々の気持ちを十分に酌みながら、理解を得られるのであれば、実際問題として、その地域の放射性物質濃度よりも濃度が低いものでありますから、集約することも考えられるかもしれませんが、その場合には、地域の住民の意向を十分忖度(そんたく)していく必要があるのだろうと思います。