参考写真 4月19日、衆院の政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会は、衆院小選挙区の「1票の格差」を是正するため「0増5減」して区割りを変更する公職選挙法改正案(区割り改定法案)を自民、公明の与党両党の賛成多数で可決しました。みんな、共産両党は反対。民主、日本維新の会、生活の3党は、審議拒否し、採決を欠席しました。
 この法案は、2009年衆院選の「1票の格差」をめぐり、最高裁から「違憲状態」との判決が下されたのを受け、昨年11月に自民、公明のほか、当時与党だった民主党などの賛成で成立した緊急是正法に基づくものです。
 与党側は、違憲状態を一刻も早く解消するため、衆院選挙制度改革をめぐる議論のうち、定数削減と選挙制度改革の議論とは切り離し、0増5減法案を先行処理するよう野党側に協力を求めてきましたが、野党側は一体での議論を要求し審議入りに抵抗。18日の審議を拒否し、伊吹文明衆院議長に事態打開のあっせんを要請していました。このため、19日の特別委に先立ち、与野党の幹事長らは、伊吹議長の呼び掛けに応じて会談しました。
 会談で、伊吹議長は与野党の主張を踏まえ、「区割り法案は25日までの衆院可決を期す。その前提として『選挙制度や定数の問題について各党間で協議し早期に結論を得る』との趣旨の付則を法案に付けてはどうか」との提案を行いました。
 これに対し、与党側は「それ(25日までの可決)が確実に実行されるならば異存はない」と受け入れましたが、民主、維新、みんな、生活の野党各党は「基本的にはいいが、『今国会中に結論を得る』に直してもらいたい」と主張。これを受け、伊吹議長は「今国会中に結論を得るべく努力する」との譲歩案を示し、与党側も「誠心誠意、今国会中に結論を得るよう努力する。柔軟に対応する」と配慮する姿勢を示しましたが、野党側が譲らず、協議は決裂しました。
 この改正案で定数が見直されるのは、定数が3から2に減る福井、山梨、徳島、高知、佐賀5県15選挙区。さらにその結果、人口が最も少なくなる新鳥取2区(29万1103人)に比べて、人口が2倍未満に収まるよう選挙区を見直す青森、岩手、宮城、茨城、千葉、東京、神奈川、和歌山、鳥取、愛媛、長崎、熊本の12都県の27選挙区です。
緊急是正法と―区割り改定法案
 「1票の格差」について、2011年3月の最高裁判決で指摘された違憲状態を解消するため、昨年11月16日に小選挙区を「0増5減」して格差を2倍以内に縮小する緊急是正法が自民、公明、民主など多くの政党の賛成で成立しました。
 この緊急是正法に基づき、区割り画定審議会が区割り改定案を政府に勧告。政府が4月12日に区割り改定法案を国会に提出しています。したがって緊急是正法に賛成した政党には、是正法と一体の区割り改定法案に賛成する責任があります。一刻も早く成立させ、違憲状態を解消するのは、立法府としての責務です。
 したがって、野党が今になって、区割り改定法案に反対するのは、全く理解できません。わずか4カ月余りでの方針転換は、ご都合主義も甚だしいと言えます。
野党が違憲状況を放置するならば、衆院で再可決
 違憲状態を早く解消するためには、区割り改定法案は必ず今国会中に成立させる必要があります。会期末は6月26日ですが、参院では野党が多数を占めています。同法案が参院で否決されたり、審議されない可能性も考慮しなければなりません。
 衆院を通過した法案は、参院が60日間のうちに採決しない場合、否決されたとみなす規定があります。仮に「みなし否決」となった場合、衆院で3分の2の賛成を得れば、法案を成立させることができます。そこで与党としては、今国会成立を担保するためにも、来週中に衆院本会議で可決し、参院に送付する必要があるのです。
 みんな、共産党を除く野党が審議拒否する中で、採決という事態となったことは残念ですが、違憲状態の早期解消には、19日に委員会採決をせざるを得ませんでした。