硬性憲法の性格維持が妥当
 先週末、憲法96条の改正に関して、公明党幹部の発言がテレビ番組などで大きく取り上げられました。このブログでは、山口那津男代表との北側一雄副代表(憲法調査会長)の発言を掲載します。
山口代表:4月27日、テレビ東京「週刊ニュース新書」

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  • (憲法改正への公明党の考えについて)現憲法が戦後果たしてきた役割、特に基本的人権の尊重や国民主権、恒久平和(主義)の3原則を踏まえ、現憲法を大事にしながら新しい価値を加えていく「加憲」を打ち出している。例として環境権やプライバシー権、国際貢献をしていく規定を加えることを議論しようと言っている。

  • (憲法96条を見直して改憲の発議要件を衆参両院それぞれの総議員の3分の2から過半数に緩和すべきとの主張があることに関して)一律に過半数で変えてもいいという、法律を作る時と似たような憲法の改正を認めることは、数によって動きやすくなり、軟らかくなり過ぎる。だから、(96条は)ある程度「硬い憲法」の性質を重視している。
    憲法の中身によって、硬く守るべきものと、もう少し軟らかくしてよいものがあるかもしれない。どこをどう変えるのがふさわしいかという議論がないまま、3分の2か過半数かと問われても、戸惑う国民は多いのではないか。
    憲法の中身も手続きもどうあるべきかについて国民が十分に成熟することが大事で、その議論が足りない。

  • (憲法9条に関して)自衛隊は国民に定着している。その存在を憲法に位置づけたり、自衛隊の国際(貢献)的な任務を憲法に加えたりすることを議論してもいいというのが公明党の考え方だ。
    憲法改正は政府ではなく、国会で与野党が合意を作るべきテーマだから、連立政権合意の外にある。(政権合意では)経済再生や被災地復興のスピードアップなどをやると決めた。それをひたすら実行し期待に応えることが、連立政権の使命だから、それは憲法の課題で崩す必要はまったくない。
北側副代表(憲法調査会長):4月29日、TBS「Nスタ」

  • (憲法改正への考え方について)戦後、憲法が施行されて66年、時代も大きく変化している中で、制定時には想定していないような状況もある。そういう意味では、憲法を今日的に改正をすべきところはあると思っている。

  • (憲法96条を見直して、改正手続きを緩和することに関して)硬性憲法の(一般の法律よりも改正しにくいという)性格は維持すべきだが、現行の改正要件でなければいけないとは思っていない。手続きの緩和というのは、議論をしっかりしたらいいと思う。
    ただ、96条改正がまずありきというのは、国民から見て非常に分かりにくいのではないか。96条は手続きを規定しているから、やはり(改正の)中身の問題をしっかり議論すべきではないか。

  • (96条が定める改憲の発議要件を衆参両院それぞれの総議員の3分の2から過半数に緩和すべきとの主張があることに関して)過半数というのは、いかがなものか。憲法には(基本的人権を守ることを目的に公権力の行使を制限する)立憲主義に根差した本質、そして最高法規性がある。法律や条例などさまざまな法規範がある中の最高法規が憲法であり、法律の規定が憲法に違反していれば、それは無効となる。
    そういう意味で、(国民投票の前提となる)発議とはいうものの、一般の法律と同様の過半数による議決でいいのかどうか。そこは議論した方がいい。
    そもそも、96条を改正することそのものが、現行の96条の改正規定でやる。だから(改憲手続き緩和には)3分の2が必要だ。だったら、96条の改正もいいが、中身の改正の議論と並行して議論した方が、国民から見て分かりやすいのではないか。

  • (これまで憲法が改正されなかった背景について)残念ながら日本政治は、保守と革新のイデオロギー闘争がある中で、例えば自衛隊がどういう役割を持つという実質的な論議が、まったくできない時代が長かった。
    だから、(発議に続き、改正に必要な)国民投票法も過半数でできるのに作らなかったわけだが、第1次安倍内閣の時代にやっとできた。ようやく憲法改正について真正面から論議できる環境になってきた。

  • (地方自治と憲法について)国と地方の役割を明確にして、それぞれの権限を明らかにしていくことには賛成だ。特に地方自治(を定める第8章)の4条(92条〜95条)は非常に抽象的で具体的な規定がない。ここは改正の余地が十分にあるのではないか。

  • (自民、公明の連立与党の間で、憲法改正をめぐる見解に異なる部分があることについて)自民党と公明党はもともと政党が違うわけで、考え方も意見も当然違いがあって当たり前の話だ。ただ、そうは言いながらも、この十数年、一定の信頼関係をもってやってきている。大事なことは合意を作っていくことだと思っているので、しっかり一定の合意が形成できるよう努力したい。