歩道拡幅などを推進。課題改善へ専門家の派遣も
130515met1 昨年4月に京都府亀岡市で集団登校中の小学生ら10人が死傷した事件は、日本中に衝撃を与えました。
 警察庁によると、通学路での交通事故による小学生の死傷者数(2011年)は、約2500人に上っており、通学路の安全対策は喫緊の課題です。
 そこで政府は、2012年度補正予算と13年度予算案のいわゆる「15カ月予算」に、「防災・安全交付金」(1兆6000億円)など交通事故から子どもを守るための財源を盛り込んでいます。
 この交付金は、地方自治体が実施する歩道の拡幅や路側帯のカラー舗装、電線の地中化などに活用されます。
 また、文部科学省は通学路安全推進事業として1億5000万円を計上。これにより、通学路の安全に関する助言を自治体に行う専門家「通学路安全対策アドバイザー」(計280人)の派遣が今年度からスタートしています。
 さらに、警察庁も交通安全対策推進事業(180億円)を活用し、横断歩道の高輝度化や信号機の増設を推進しています。
 公明党は、通学路での児童・生徒の事故が相次いだ事態を重く見て、昨年4月に党内に対策プロジェクトチームを設置。現地調査などを精力的に展開した上で、政府に対し二度の政策提言を行いました。
 この結果、政府は全国で小学校通学路の緊急点検を実施し、7万4483カ所で安全対策が必要との報告を発表しました。現在、順次対策が進められています。
登下校時にヘルメットの着用を
130515met2 一方、登下校時にヘルメットの着用を進める広がっています。
 茨城県内では、那珂、坂東、五霞の3市町の全小学校、茨城町は2校などで既に導入しており、常陸大宮市も近く全小学校で取り入れる方針です。登下校時のヘルメットは、帽子よりも安全性が高いばかりでなく、震災・防災にも活用できる“一石二鳥”の効果があります。県教委は「有効性は十分に分かっており、導入を進めていきたい。課題は費用の問題」と説明しています。
 真っ先にヘルメットを導入したのは那珂市。1979年、交通事故をきっかけに旧瓜連町の瓜連小で導入されました。2005年にヘルメットをかぶった同小児童が乗用車にはねられながらも一命を取り留めた事例などもあり、2007年から市内全小学校に導入されました。
 購入費の半額は市が補助し、各家庭の自己負担は千円未満です。夏場は暑さで蒸れる場合もありますが、「ヘルメットには通気穴もあり、登下校の時間は我慢できる範囲。それよりも安全確保の有効性が高い」と学校関係者は強調しています。
 東日本大震災時には校内でもヘルメットを着用させました。防災用としての機能も高く評価されています。
 茨城県議会には、今年特別委員会として「通学児童生徒の安全確保に関する調査特別委員会」が設置されました。1年間にわたり児童生徒の通学の安全確保のために集中的な審議を行います。