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 5月17日、茨城県教育委員会では、体罰の未然防止と根絶に向け、新たに作成した体罰防止マニュアルを公表しました。いかなる体罰も許さない姿勢を県教委として強調。過去の体罰事例や発生要因、行動に問題ある児童生徒の指導法なども盛り込み、各学校で研修できるような事例も紹介しています。
 体罰について、新たなマニュアルでは“全面否定”をしています。体罰による影響として、子どもの心に深い傷を負わせ信頼関係が崩れる、いったんは指導に従ったように見えるが、実は痛みから逃れるだけの行動を取るようになる、など詳細な事例を挙げ、「体罰は暴力以外の何ものでもない」と断言しています。
 また、「子どもたちの身勝手な態度を何度口頭で注意しても効果がないことから、つい体罰に走った場合、肯定的な態度を示す教職員と、それを否定する教職員との間に相互不信という状況が発生してしまいます。肯定派の教職員は、否定派を『体罰はやむを得ない場合もある』『一定の限度内であればよい』『法律は法律、教育は別』『身体を張っていない』という言葉で非難し、反対派は『教育の営みではない』という言葉で反論します。教育理念や教育観の違いに関する議論は大切ですが、体罰に肯定か否定かという議論は成り立ちません」と指摘し、ある程度の体罰は必要であるとの意見(立場)についても全面否定しています。
 一方、児童生徒に対する「懲戒」の範囲や具体例を明記したのも特徴です。学習課題や清掃活動を課す、練習に遅刻した生徒を試合に出さず見学させる、教員の足を蹴った生徒の体を強く押さえる、他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為を制止したり押さえつける、などは正当な行為として例示しました。
 県教委は、新マニュアルと「在り方」を市町村教委などに配布。「各種研修会を通じて体罰根絶を徹底させたい」としています。
参考:体罰防止マニュアル
 体罰は、学校教育法第11条において禁止されており、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員等及び学校への信頼を失墜させる行為です。
 県教育委員会では、教職員の体罰に関する意識向上をねらいとして、「学校の生活全般における体罰の実態把握に関する調査」を実施しました。その結果を体罰防止に向けた意識改革の機会と捉え、今後の指導方法改善のために、「体罰防止マニュアル」を作成しました。