意欲促す「就労給付金」創設
福祉事務所の調査権限拡大 不正受給の罰則引き上げ

イメージ 5月17日、政府は就労による自立の促進や不正受給対策の強化などを盛り込んだ生活保護法改正案と、生活保護に至る前段階にある人々への支援を強化する生活困窮者自立支援法案を閣議決定し、国会に提出しました。
 近年、高齢化や長引く景気の低迷で生活保護受給者は増加を続けています。特に高齢者だけではなく、まだ働ける若い世代が失業などにより受給者となるケースが増えています。
 こうした現状を踏まえ、受給者が保護から脱却できるよう制度を見直すとともに、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化などが盛り込まれました。
 現行制度では、働いて収入を得た場合、保護費からその分が減額されていましたが、就労による自立を促すため、就労収入の一部をポイント制度のような形で仮に積み立て、保護廃止時に支給する「就労自立給付金」を創設します。
 また、不正・不適正受給対策として、福祉事務所の調査権限を拡大し、罰則を引き上げます。現行の罰則「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」のうち、罰金を「100万円以下」に引き上げるなどとしています。背景には不正受給が増え続けていることがあります。厚生労働省によると、2011年度は前年度より約44億円増の約173億円と過去最悪となりました。
 さらに、指定医療機関制度を改善するとともに、一般住民と同様に後発(ジェネリック)医薬品の使用促進などで医療扶助の適正化を図ります。
 生活保護の「申請」が厳格化され、との指摘がありますが、これまで政省令などで定めていた規定を法律条文に盛り込んだだけで、現行の取り扱いと変わりはありません。もちろんこれまで通り、緊急時の「口頭による申請」を認めています。必要とする人々への支援は確実に行われます。
 公明党としても無用な誤解を招かないよう政府に周知を求めるとともに、行政が入り口を絞るような行為は厳しく監視していきたいと思います。

生活困窮者自立支援法で生活保護に至る前段階にある生活困窮者への自立・就労支援
 生活困窮者を対象に、訪問支援を含め、自立に向けた総合相談支援を実施します。この相談を踏まえ、個別に計画を作り、住居確保のための家賃補助、生活・就労訓練、子どもへの学習支援などを提供します。また、借金を抱える生活困窮者には、家計を再建できるよう、きめ細かく相談に応じます。
 公明党は、国民に信頼される生活保護制度とするため、不正・不適正受給対策の強化や医療費の適正化が必要だと主張してきました。また、保護制度の見直しと併せ、生活困窮者への自立・就労支援を強化し、第2のセーフティーネット(安全網)を構築するよう、一貫して要請してきました。とりわけ自立支援法案に盛り込まれた支援策は、公明党の主張が反映されたものです。
 公明党は引き続きデフレ脱却や経済再生に取り組み、雇用の安定化を図るとともに、2法案の今国会成立に全力で取り組みます。