5月23日、J−PARC内(茨城県東海村白方)の日本原子力研究開発機構のハドロン実験施設で、金(Au)に陽子ビームを照射して素粒子を発生させる実験中に、装置の誤作動でごく短時間に計画の約400倍のビームが当たり、金の一部が蒸発して発生した放射性物質が施設外に漏洩しました。
事故当時この施設には、55人が出入りしていて、原子力機構が調べた結果、女性2人を含む30人が内部被ばく(放射性物質を体内に取り込んで被ばくすること)していたことがわかりました。当初、22歳から34歳の男性研究者4人が放射性物質を体内に取り込んで内部被ばくし、最大の被ばく量は1.7ミリシーベルトだと伝えられていましたが、詳細な検査の結果、被ばくした研究者の数が増えています。55人の内14人は被ばくしていなかったことが確認されました。
被曝量は、日本人が1年間に自然界から浴びるのと同レベルの0.6〜1.7ミリ・シーベルトで、被ばくした人たちは自宅などに戻っており、健康への影響はないとみられます。
30人もの人が被ばくした事故は、福島第一原発事故やJCO臨界事故につぐ規模の事故となりました。
事故が起こったJ−PARCは「大強度陽子加速器」と呼ばれる実験施設です。
直径約500メートルの大型加速器など3台の加速器を組み合わせた最先端の実験施設。日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構でつくるJ−PARCセンターが運営にあたっています。加速器の中で陽子のビームをほぼ光速にまで加速し、金(Au)などの標的にぶつけて飛び出る中性子やニュートリノを研究に利用します。金(Au)などの原子核に強いエネルギーの陽子がぶつかると放射性物質に変化します。事故のあった建物は幅約60メートル、長さ約50メートルで、陽子ビームを使って特殊な原子核や素粒子の性質を調べる実験が行われていました。
事故当時この施設には、55人が出入りしていて、原子力機構が調べた結果、女性2人を含む30人が内部被ばく(放射性物質を体内に取り込んで被ばくすること)していたことがわかりました。当初、22歳から34歳の男性研究者4人が放射性物質を体内に取り込んで内部被ばくし、最大の被ばく量は1.7ミリシーベルトだと伝えられていましたが、詳細な検査の結果、被ばくした研究者の数が増えています。55人の内14人は被ばくしていなかったことが確認されました。
被曝量は、日本人が1年間に自然界から浴びるのと同レベルの0.6〜1.7ミリ・シーベルトで、被ばくした人たちは自宅などに戻っており、健康への影響はないとみられます。
30人もの人が被ばくした事故は、福島第一原発事故やJCO臨界事故につぐ規模の事故となりました。
事故が起こったJ−PARCは「大強度陽子加速器」と呼ばれる実験施設です。
直径約500メートルの大型加速器など3台の加速器を組み合わせた最先端の実験施設。日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構でつくるJ−PARCセンターが運営にあたっています。加速器の中で陽子のビームをほぼ光速にまで加速し、金(Au)などの標的にぶつけて飛び出る中性子やニュートリノを研究に利用します。金(Au)などの原子核に強いエネルギーの陽子がぶつかると放射性物質に変化します。事故のあった建物は幅約60メートル、長さ約50メートルで、陽子ビームを使って特殊な原子核や素粒子の性質を調べる実験が行われていました。
事故当時の状況は以下の通りです。
茨城県や東海村は、今回の放射性物質の漏洩事故が、今後の研究開発に大きな期待を掛けるJ−PARCで起こったことに、大きなショックを受けています。原子炉とは違って、重大な事故は起こらないという安易な姿勢が、30人もの被爆者を出すという重大な事故に繋がりました。
また、連絡報告の遅れも大きな問題です。放射性物質の汚染や被曝が判明した時点で速やかに県や東海村には報告すべきでした。県と周辺自治体が機構と結んでいる原子力安全協定では、放射能漏れなどの際に連絡に時間の規定はありませんが、連絡報告体制の見直しが必要です。
テレビでの報道をみると、放射性物質の屋外への漏洩の原因となった排気ファンは、放射性物質のフィルター装置などは設置されていませんでした。こうした簡易な形式の排気ファンで良いのか、抜本的な安全基準の再検討も必要です。
(茨城県のHPより:2013年05月28日更新)
J−PARCハドロン実験施設における放射性物質の漏えいについて
概要:
平成25年5月23日(木曜日)午前11時55分頃に東海村の日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同運営する大強度陽子加速器(J-PARC)ハドロン実験施設において、ビームの取出装置の誤作動により放射性物質が生成され、施設内(管理区域内)に漏えいするとともに、排風ファンを稼働したことにより施設外(管理区域外)にも漏えいしました。
人の汚染・被ばく
ハドロン実験施設内で作業していた研究者等55名のうち33名が内部被ばくし、被ばくの実効線量は最大1.7ミリシーベルト(2名)でした。
なお、法令での報告義務は5ミリシーベルト超です。
環境への影響
本事象は、管理区域外へ気体状の放射性物質が漏えいし、隣接する核燃料サイクル工学研究所の敷地内モニタリングポストにおいて、空間線量に一時的な増加が認められたもので、通常値に比べてわずかな増加(*)であり、一般公衆への影響はないと考えられます。
なお、県の設置するモニタリングステーション(環境放射線常時監視測定局)は通常の変動内であることを確認しています。
通常値70から130ナノグレイ(1時間当たり)で安定的に推移しているところ、23日夕方に10ナノグレイ(1時間当たり)程度の一時的な上昇が確認されました。
- 23日午前11時55分ごろ、異常を知らせる警報が鳴動し、ビームは停止。
- 午後0時8分ごろ、実験担当者は警報の原因が分からないまま、手動で警報をリセットして実験を再開。
- 午後1時半ごろ、施設内で放射線量が通常の10倍に上昇。
- 午後2時26分、ビームの運転中止。
- 午後3時15分ごろ、実験担当者は「管理区域内であり想定の範囲内の汚染レベル」と判断して、排気ファンを作動させる。
- 午後3時32分、施設内の放射線量が低下したため、ビームの運転再開。
- 午後4時ごろから6時ごろにかけて、通常1時間当たり、70から130ナノグレイを示している値が、一時、10ナノグレイ程度に上昇。
- 午後5時半ごろにも排気ファンを作動させる。合計2回にわたり放射性物質が施設外に漏れたと思慮される。
- 午後11時30分、施設内の全員が退去完了。
- 24日午後6時すぎ、管理区域境界に設置された放射線監視モニターの数値が23日に上昇していたことが確認され、J−PARCセンターは施設外への漏洩を認知。
- 午後9時20分、J−PARCセンターは原子力規制委員会に連絡。
- 午後9時40分、J−PARCセンターは事故発生を県に通報。事故発生から県への連絡は33時間後でした。
茨城県や東海村は、今回の放射性物質の漏洩事故が、今後の研究開発に大きな期待を掛けるJ−PARCで起こったことに、大きなショックを受けています。原子炉とは違って、重大な事故は起こらないという安易な姿勢が、30人もの被爆者を出すという重大な事故に繋がりました。
また、連絡報告の遅れも大きな問題です。放射性物質の汚染や被曝が判明した時点で速やかに県や東海村には報告すべきでした。県と周辺自治体が機構と結んでいる原子力安全協定では、放射能漏れなどの際に連絡に時間の規定はありませんが、連絡報告体制の見直しが必要です。
テレビでの報道をみると、放射性物質の屋外への漏洩の原因となった排気ファンは、放射性物質のフィルター装置などは設置されていませんでした。こうした簡易な形式の排気ファンで良いのか、抜本的な安全基準の再検討も必要です。
(茨城県のHPより:2013年05月28日更新)
J−PARCハドロン実験施設における放射性物質の漏えいについて
概要:
平成25年5月23日(木曜日)午前11時55分頃に東海村の日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同運営する大強度陽子加速器(J-PARC)ハドロン実験施設において、ビームの取出装置の誤作動により放射性物質が生成され、施設内(管理区域内)に漏えいするとともに、排風ファンを稼働したことにより施設外(管理区域外)にも漏えいしました。
人の汚染・被ばく
ハドロン実験施設内で作業していた研究者等55名のうち33名が内部被ばくし、被ばくの実効線量は最大1.7ミリシーベルト(2名)でした。
なお、法令での報告義務は5ミリシーベルト超です。
線 量 | 人 数 |
不検出 | 22名 |
0.1〜0.5 | 19名 |
0.6〜1.0 | 9名 |
1.1〜1.5 | 3名 |
1.6〜1.7 | 2名 |
環境への影響
本事象は、管理区域外へ気体状の放射性物質が漏えいし、隣接する核燃料サイクル工学研究所の敷地内モニタリングポストにおいて、空間線量に一時的な増加が認められたもので、通常値に比べてわずかな増加(*)であり、一般公衆への影響はないと考えられます。
なお、県の設置するモニタリングステーション(環境放射線常時監視測定局)は通常の変動内であることを確認しています。
通常値70から130ナノグレイ(1時間当たり)で安定的に推移しているところ、23日夕方に10ナノグレイ(1時間当たり)程度の一時的な上昇が確認されました。