東京電力福島第1発電所の航空写真<GoogleMapより>
 5月28日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所の敷地内を視察しました。井手県議らはかねてから福島第1原発の現地調査を東電に要請していましたが、事故から2年2カ月を経てようやく実現しました。
 井手県議らは、事故対応の前線基地となっているJヴィレッジに集合。東電担当者から福島第1原発の事故処理の進捗状況や現地視察に当たって注意事項を聴取。東電が手配したマイクロバスで、20キロ離れた福島第1原発校内に移動しました。
 一行はまず、会議室で復旧作業の陣頭指揮を執る東京電力福島第一発電所・高橋毅所長から、1号機から4号機までの各原発建屋の状況、汚染水の処理問題への対応などについて詳細に説明を聴取しました。次に最も重要な施設である“免震重要棟”を視察。現在でも24時間体制で昼夜を分かたず業務に当たる職員、作業員の業務状況を具に視察しました。高橋所長は、棟内集中監視室で、現場のモニター画面を見ながら遠隔監視し、安全管理に努めていることなどを説明しました。
 その後一行は、構内視察専用のマイクロバスで、原子炉に冷却用の水を注水しているポンプや処理水の貯蔵タンク、原子炉から取り出された燃料棒を一定期間保管する“乾式キャスク”仮置場、冷却水からほとんど全ての放射性物質を除去できる“多核種除去設備(ALPS)”、処理済みの水を貯蔵する夥しい数のタンク類などを、順次車上から視察しました。
 また、4号機建屋の山側から燃料プールから燃料棒を取り出すための鉄骨の建造物の建設状況を視察。廃炉に向けた作業が進む4号機のは、鉄骨が折れ曲がり、分厚いコンクリートの壁面がスッポリと爆風で吹き飛んだ現場に、水素爆発の威力を実感しました。
 続けて3号機、2号機、1号機と順に海側から視察しました。3号機は建屋の両脇に構台が作られ、数台のクレーンが遠隔操作により、爆発で大きく破損した鉄材やコンクリート片などの撤去を行っていました。2号機は水素爆発を免れたため、外見からは大きな破損などは確認できませんでした。1号機はすでに建屋全体を取り囲む“建屋カバー”が組み上げられ、内部の状況を垣間見ることはできませんでした。
 いずれの原子力建屋も、津波のために破損した機器や車両などが、そのまま2年以上たった今でも放置され、復旧作業はまだまだ端緒についてばかりであることを物語っていました。
 さらに一行は、5、6号サービス建屋の緊急医療室、全電源喪失の直接の原因となった夜ノ森送電線鉄塔倒壊現場、事故対策の初動で冷却作業のために公明党の提案で投入された生コン圧送機“キリン”などを確認しました。
 今回の視察には、井手県議の他、高崎進県議(水戸市選出)、八島功男県議(土浦市選出)が参加しました。