
例えば、私の選挙区の日立市は人口19万ですが、基本的に大型焼却処分場を持ち、下水の普及率はほぼ100%です。1日300トンの処理能力を持つ日立市のごみ焼却施設は、平成9年度から12年度まで4年間をかけ、157億円の巨額を投じて建設されました。日立市にとっては市役所、市民会館などすべての箱物の中で、もっとも高額な施設です。毎年のゴミの改修費用、処分場の維持費だけでも20億円を超えます。下水処理の経費も含めると、まさに天文学的な経費がかかっています。
前置きが長くなりましたが、8月1日、井手よしひろ県議ら県議会防災環境商工委員会は、福岡県大木町を訪問。石川潤一町長から大木町の県境政策を直接伺い、意見交換を行いました。大木町は日立市を始めとする他の多くの自治体が行なっているような、高額な焼却施設の建設、下水道の整備などの政策を転換させました。つまり、「焼却処分に頼らずできるだけ分別をして、生ゴミだけを町内でリサイクルに徹して処分する。下水道を整備するのではなく、合併浄化槽の整備を進め、汲み取り回収に関してもリサイクル施設内での処分を行う」、というものです。
そのために、町の中心部に拠点施設「おおき循環センターくるるん」を整備しました。合併浄化槽の整備には町独自の補助制度も充実させ、その普及率は7割を超えました。
大木町は、福岡県の南部、筑後平野の中心部に位置する風光明媚な、農業が盛んな町です。人口は14500人、面積は18.4平方キロ。町の面積の14%が掘割という“水郷”でもあります。以前、生ゴミは隣接する大川市の清掃センターで焼却処分を行なっていました。また、し尿や浄化槽汚泥は海洋投棄されていました。しかし、海洋投棄が禁止されるようになると、抜本的にシステムを再構築する必要に迫られました。
そこで生まれたの大木町の循環のまちづくりのシステムです。まず、徹底した生ゴミの分別を行います。し尿や浄化槽の汚泥も合わせて、生ゴミは「おおき循環センターくるるん」でメタン発酵させます。発生たバイオガスで発電も行います。その残渣は有機液肥として、地元の農家が田んぼや畑に散布します。その田んぼや畑でできた安全で美味しい作物を町内の家庭や学校給食に、割安に供給します。
システムの中核「おおき循環センターくるるん」は、平成17年度から21年度の5年間、11億2000万円をかけて建設されました。国(農林水産省)の補助金を受け、町の負担は2分の1です。一般地域ではごみ処理施設は迷惑施設、地域住民から反対されることはあっても、歓迎される施設ではありません。しかし、大木町は違いました。町の中心部にくるるんを建設しました。なんと、レストランも併設した道の駅の隣地です。石川町長は住民と何度も話し合いをしたそうです。一般の焼却施設と比べて3分の1以下で施設が建設されました。
平成18年から生ゴミの分別回収が全町規模でスタートしました。バケツコンテナ方式と呼ばれるやり方で、全家庭にポリバケツを配布しました。そのポリバケツに入れた生ゴミを、町内150箇所に設定した大きなバケツに週に2回集め回収します。バケツコンテナ方式は配達・回収作業の手間がかかりますが、異物混入はほとんど見られません。この生ゴミの回収費用は、一般家庭は無料です。
この分別回収を徹底することによって、平成17年度燃やしていたゴミは3000トンありましたが、平成24年度には1300トン余りに減少しました。反対に生ゴミとして回収し、リサイクした生ゴミは平成24年度1200トンに達しています。ごみのリサイクル率は、平成17年度の14.9%から平成24年度には60.9%にまで46ポイントも上昇しました。さらに、ごみ処理全体の費用は、平成17年度の2億2851万円から平成24年度の1億9651万円に減少し、その差額は3200万円余りになりました。石川町長は「この浮いた3200万円で、町民から一番要望を強かった図書館を建設することができたんです」と語ってくれました。
今回の調査は、小さな町が下した大きな決断とその成果について、非常に参考となりました。

システムの中核「おおき循環センターくるるん」は、平成17年度から21年度の5年間、11億2000万円をかけて建設されました。国(農林水産省)の補助金を受け、町の負担は2分の1です。一般地域ではごみ処理施設は迷惑施設、地域住民から反対されることはあっても、歓迎される施設ではありません。しかし、大木町は違いました。町の中心部にくるるんを建設しました。なんと、レストランも併設した道の駅の隣地です。石川町長は住民と何度も話し合いをしたそうです。一般の焼却施設と比べて3分の1以下で施設が建設されました。

この分別回収を徹底することによって、平成17年度燃やしていたゴミは3000トンありましたが、平成24年度には1300トン余りに減少しました。反対に生ゴミとして回収し、リサイクした生ゴミは平成24年度1200トンに達しています。ごみのリサイクル率は、平成17年度の14.9%から平成24年度には60.9%にまで46ポイントも上昇しました。さらに、ごみ処理全体の費用は、平成17年度の2億2851万円から平成24年度の1億9651万円に減少し、その差額は3200万円余りになりました。石川町長は「この浮いた3200万円で、町民から一番要望を強かった図書館を建設することができたんです」と語ってくれました。
今回の調査は、小さな町が下した大きな決断とその成果について、非常に参考となりました。