佐久総合病院のドクターヘリを間近に調査 8月20日、茨城県議会決算特別委員会の長野県調査で、佐久総合病院を視察しました。佐久総合病院は農協系の病院、土浦協同病院などとは、いわば兄弟病院になります。調査の冒頭、伊澤敏統括医院長より挨拶をいただいました。
 佐久病院は昭和19年、農協の病院として発足しました。当時、長野県の南佐久郡23カ町村のうち13カ村は無医村。以来、農村地域の医療を守る活動を続ける中で、佐久総合病院は一貫して、「地域住民の要望」に沿った仕事をしようと病院運営を行ってきました。その結果、診療所から救命救急センターまでの第一線医療から高度の専門医療、看護専門学校や農村医学研究所、農村保健研修センターなどの教育・研究活動、巡回検診や人間ドックなどの保健活動、老人保健施設、在宅医療、訪問看護などの福祉活動など様々な活動を行ってきました。これは、「5:3:2方式」に端的に結実しています。病院の力を10とすると、佐久総合病院では入院医療5:外来医療3:公衆衛生(地域ケア、福祉も含む)2の割合で病院を運営するという考え方です。
 佐久総合病院の特徴は、在宅医療・福祉の取り組みとドクターヘリの運用など救急医療の充実に現れています。
 在宅医療・福祉活動は、高齢社会の中で地域ニーズが大きくなってきています。地域ケア科、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター・宅老所・小海診療所等を中心に住民の医療、及び介護サービスに取り組んでいます。
佐久総合病院佐久医療センター 平成22年の全国の都道府県別平均寿命は、男女とも長野県が日本一です。1人あたりの老人医療費は44位(平成22年)、平均在院日数は45位でした。「予防は治療に勝る」との基本的な考え方で、在宅・福祉活動に力点を置く佐久総合病院の姿勢が実績として現れています。
 その結果、そして最も注目すべき統計数字は在宅での死亡割合が全国1位なのです。自宅が終の棲家という至極当然な家族のあり方が、この地域では成り立っています。
 佐久総合病院のもう一つの特徴が、質が高く心あたたまる救急医療・高度先進医療の実践です。
 「住民の要望」の第一は、急病になった場合の対応。救命救急センターを中心に、24時間の診療体制で必要な時に適切な治療をモットーに、職員全員で行うより良いチーム医療をめざしています。
 佐久総合病院では、平成17年7月より、全国で10番目のドクターヘリ「信州ドクターヘリ」がスタートしました。丸8年が経過し、これまで2300回を超える出動があります。
 平成23年10月より「信州ドクターヘリ松本」が運航を開始し、長野県のドクターヘリは2機体制となりました。佐久総合病院は、「信州ドクターヘリ佐久」として、連携を取りながら、県内の救急医療の充実を目指しています。
 平成24年4月より、要請キーワード方式を取り入れ、より早い段階から現場での救急医療が開始できるよう務めています。佐久総合病院のドクターヘリでは、ドクターヘリの優れた機動性と迅速性を最大限に生かすことを目的に、救急隊が現場に到着し患者の状況を見て要請するだけではなく、119番通報時のキーワード方式による要請基準を設定しています。119番通報時の通報内容に予め設定されたキーワードがあれば、直ちに出動要請となる方式です。例えば、脳卒中の場合、1.突然、いびきをかいて、意識がはっきりしない。2. 突然、言葉が出なくなった、麻痺が出た、呂律が回らなくなった、顔のしわ寄せが出来なくなった。3.突然、激しい頭痛が起こった。4.突然、全身の痙攣が起こり、止まらない。などの通報があった場合は、ドクターヘリが要請されるという仕組みです。
 また、ドクターヘリ出動要請において、最終的にドクターヘリの要請が不要と判断された場合(オーバートリアージ)や出動途中で不要となった場合(キャンセル)のいずれにおいても、要請者は何ら責任を問われないことにもなっています。
 「地域住民の要望を実現する」との使命に貫かれた佐久総合病院の取り組みを学ぶ、有意義な視察となりました。