犬猫の“殺処分ゼロ”めざす
公明党の主張が数多く反映された改正動物愛護管理法(動物愛護法)が、9月1日から施行されます。改正動物愛護法に盛り込まれた“殺処分ゼロ”の取り組みについて、まとめてみたいと思います。
2011年度は17.5万匹を殺処分、茨城は全国ワースト1
犬猫の引き取り数と殺処分率全国の自治体で引き取られる犬猫は、減少傾向にあるとはいえ、年間22万匹を超えています(2011年度)。その8割程度(約17万5000匹)が殺処分されています。
引き取られる理由の多くは、「鳴き声がうるさい」「かわいくない」など、飼い主の身勝手と思えるようなケースが後をたちません。犬猫を無計画に繁殖させてしまった末、行政に引き取りを求める飼い主もいます。
そこで改正動物愛度法は、自治体の目標として「殺処分がなくなることを目指して」との文言を明記。飼い主や動物取扱業者にも、動物が命を終えるまで面倒をみる「終生飼養」の努力義務を課した上で、さまざまな対策を盛り込みました。
自治体の引き取り拒否を認める
例えば、自治体が引き取りを拒否できる措置が設けられました。具体的には、販売業者などが引き取りを求めた場合。飼い主が次々に犬・猫を買い換え、何度も引き取りを求める場合。去勢や避妊手術をせず生まれた子犬や子猫の引取を求める場合。犬や猫の高齢化や病気を理由に引き取りを求めた場合。他に育ててくれる人や動物愛護団体を探す努力をしていない場合。などは、自治体は引き取りを拒否できるとしています。
2011年度に群馬県高崎市に開設された高崎市動物愛護センターでは、正当な理由がなく引き取りを求める飼い主に、粘り強く説得し、引き取りを考え直してもらっている事例があります。引き取った場合も、積極的に新たな飼い主を探す取り組みを行っています。その結果、201年度に684匹だった犬猫の殺処分数は12年度に151匹と大幅に減っています。
販売規制の強化
安易にペットが捨てられることを防ぐ目的や、犬・猫の健康上の理由から、販売規制も強化されます。
●子犬・子猫の販売は当面、生後45日から
生後間もない子犬や子猫を親と引き離すと、ほえ癖、かみ癖などの問題行動を起こすとされています。このため、欧米主要国では、生後56日は親と一緒育てることを義務づけ、販売や移動を禁止しています。
一方、日本ではこれまで幼い動物の売買を日数で禁じる規制がありませんでした。そこで改正で、繁殖業者が生後56日を経過しない子犬と子猫を販売のために引き渡したり展示したりすることを禁止しました。
しかし、ペット販売への影響が大きい、などの意見も出たため、施行後3年間は生後56日を45日とし、その後49日とする激変緩和措置が設けられました。56日への変更は、施行後5年以内に科学的に適切なのかなどを検証。必要があれば、生後56日の実施を別に法律で定めるとしています。
一部に公明党議員が56日案に反対したとの一部マスコミに流されましたが、これは全く事実誤認です。(ご参考のため:自民党松波ケンタ氏のブログ「動物愛護管理法〜高木議員は「業界寄り」ではない」)
●ネット販売を規制(対面での説明を義務化)
ペットのネット販売が広がるなか「インターネットを通じて猫を購入したが、病気だった」「写真と実物が違う」などのトラブルが国民生活センターに寄せられています。センターの集計では、インターネットの動物販売相談が2009年度に323件と大幅に増加、その後も200件を超えています。
ネット販売の問題点として、一部で無登録業者が販売しているほか、トラブルの際、解決が難しい、とセンターでは指摘しています。
このため、改正法では業者がネットを含めペットを販売する場合、必ず顧客に直接、動物の状態を見せ、対面して飼育方法などを説明することを義務化しました。
この規制については、個人的にはまだまだ問題が多いと感じています。ネット販売、オークションは全面的に禁止すべきです。
飼い主の意識向上などが必要
動物愛護法改正によって動物愛護施策は一歩前進します。しかし“殺処分ゼロ”を実現するためには、乗り越えるべき課題がまだまだ多いのも事実です。
例えば、自治体で引き取りを拒否されても、飼い主が犬猫を不法に遺棄するケースが考えられます。
防止策の一つとして、ペットに飼い主のデータなどを登録するマイクロチップを装着する取り組みもありますが、普及はあまり進んでいません。改正動愛法の付則には、マイクロチップの装着義務化を検討することが定められており、議論を深めていく必要がります。
市町村の対応も課題だと思います。動物愛護の施策展開は、現状都道府県の所管です。政令指定都市や中核市は、その業務を市が行っています。しかし、市町村の大部分は動物愛護の担当者もいないのが現実です。これでは、地域での殺処分ゼロの施策を進めていくことができません。法や条例の改正によって、市町村の動物愛護への責務を明確にするべきです。
また、行政の取り組みだけでは限界があります。
動物愛護団体などと連携し、新たな飼い主を探す対策を進めたり、飼い主の意識や責任感を高める広報、啓発活動に力を入れていくことも求められます。
安易にペットが捨てられることを防ぐ目的や、犬・猫の健康上の理由から、販売規制も強化されます。
●子犬・子猫の販売は当面、生後45日から
生後間もない子犬や子猫を親と引き離すと、ほえ癖、かみ癖などの問題行動を起こすとされています。このため、欧米主要国では、生後56日は親と一緒育てることを義務づけ、販売や移動を禁止しています。
一方、日本ではこれまで幼い動物の売買を日数で禁じる規制がありませんでした。そこで改正で、繁殖業者が生後56日を経過しない子犬と子猫を販売のために引き渡したり展示したりすることを禁止しました。
しかし、ペット販売への影響が大きい、などの意見も出たため、施行後3年間は生後56日を45日とし、その後49日とする激変緩和措置が設けられました。56日への変更は、施行後5年以内に科学的に適切なのかなどを検証。必要があれば、生後56日の実施を別に法律で定めるとしています。
一部に公明党議員が56日案に反対したとの一部マスコミに流されましたが、これは全く事実誤認です。(ご参考のため:自民党松波ケンタ氏のブログ「動物愛護管理法〜高木議員は「業界寄り」ではない」)
●ネット販売を規制(対面での説明を義務化)
ペットのネット販売が広がるなか「インターネットを通じて猫を購入したが、病気だった」「写真と実物が違う」などのトラブルが国民生活センターに寄せられています。センターの集計では、インターネットの動物販売相談が2009年度に323件と大幅に増加、その後も200件を超えています。
ネット販売の問題点として、一部で無登録業者が販売しているほか、トラブルの際、解決が難しい、とセンターでは指摘しています。
このため、改正法では業者がネットを含めペットを販売する場合、必ず顧客に直接、動物の状態を見せ、対面して飼育方法などを説明することを義務化しました。
この規制については、個人的にはまだまだ問題が多いと感じています。ネット販売、オークションは全面的に禁止すべきです。
飼い主の意識向上などが必要
動物愛護法改正によって動物愛護施策は一歩前進します。しかし“殺処分ゼロ”を実現するためには、乗り越えるべき課題がまだまだ多いのも事実です。
例えば、自治体で引き取りを拒否されても、飼い主が犬猫を不法に遺棄するケースが考えられます。
防止策の一つとして、ペットに飼い主のデータなどを登録するマイクロチップを装着する取り組みもありますが、普及はあまり進んでいません。改正動愛法の付則には、マイクロチップの装着義務化を検討することが定められており、議論を深めていく必要がります。
市町村の対応も課題だと思います。動物愛護の施策展開は、現状都道府県の所管です。政令指定都市や中核市は、その業務を市が行っています。しかし、市町村の大部分は動物愛護の担当者もいないのが現実です。これでは、地域での殺処分ゼロの施策を進めていくことができません。法や条例の改正によって、市町村の動物愛護への責務を明確にするべきです。
また、行政の取り組みだけでは限界があります。
動物愛護団体などと連携し、新たな飼い主を探す対策を進めたり、飼い主の意識や責任感を高める広報、啓発活動に力を入れていくことも求められます。