長野県動物愛護センター 改正動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)が9月1日に施行されます。この改正では、動物の愛護や管理の一層の推進のために、動物の所有者の責務の追加や動物取扱業の適正化等が新たに定められました。(先のブログ「改正動物愛護法、9月1日より施行」を参照)
 茨城県においては、犬猫の殺処分頭数は、以前と比べて大幅に減少しているものの、年間約6000頭(平成24年度)と非常に多く、飼い主一人ひとりに動物を愛護する心を育み、正しい知識や習性を理解した飼育方法を普及することで、動物指導センターに持ち込まれた犬猫の譲渡や飼い主への返却などをすすめることで、殺処分頭数の減少をはかる必要があります。
 また、東日本大震災発生時の避難所における動物の取扱いが十分でなかったことや、移転等で犬猫を買い続けることができなくなってしまう状況が発生しました。さらに、屋外飼育の猫による隣人トラブル、特定動物による事故等の問題が発生しています。
茨城県動物指導センター これらの状況を踏まえ、茨城県では、茨城県動物愛護条例(茨城県動物の愛護及び管理に関する条例)の一部改正を検討しています。条例の改正に向け、広く県民の皆様のご意見を伺うため、茨城県動物愛護条例の改正案(茨城県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例の骨子案)へのパブリックコメント(意見募集)を8月8日まで行い、合計で101件のご意見をいただきました。今後頂いたご意見を元に、再度条例案の見直しを行い、12月県議会に改正案を提出する予定になっています。
(写真上:長野県動物愛護センター、写真下:茨城県動物指導センター)
 今回の条例改正のポイントは、
  • 県の責務の追加:
    県は、動物の愛護と適正な飼養に関する普及啓発のため、県民、動物を取り扱う者及び民間団体等と適切な連携に努めることを新たに規定します。

  • 動物を取り扱う者の責務を追加:
    動物を取り扱う者は、県が実施する動物の愛護及び管理に関する施策等への協力に努めることを新たに規定します。

  • 災害発生に備えた対策:
    動物の所有者は、地震等の災害時における動物の適正な飼養及び保管に努めることを新たに規定します。

  • 飼い猫所有者の遵守事項明確化
    飼い猫の所有者は、飼い猫の健康及び安全のため、室内飼養等(猫を室内で飼うこと)に努めることを新たに規定します。飼い猫を屋外で自由にさせる屋外飼育は、その猫が近隣の住宅等で糞尿をしたり、器物を傷付けたりなどの問題を引き起こすことがあります。また、屋外飼育の猫は、交通事故や他の猫から感染症に罹る可能性もあります。これらの課題を解決する猫の飼養方法として、室内等での飼育を新たに規定します。

  • 特定動物の飼育者の通報義務:
    特定動物(人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物)が逃げ出した場合、特定動物の許可を受けた者は、県へ通報をしなければならないことを新たに規定します。

  • 抑留した犬の生存機会の拡大:
    所有者への返還の機会を増やすため、条例で規定している抑留した犬の公表日数(現在は2日間)を4日間程度に延長します。
    県では、動物愛護条例に基づきけい留(繋がれていない)されていない犬の捕獲、抑留を行っています。抑留した犬は、その所有者から返還の申し出を待つために茨城県動物指導センターのホームページで情報を公表しています。しかし、抑留した犬の頭数に比べて、所有者からの返還の申し出が少なく、多くが殺処分されるつらい現実があります。まず、犬の所有者にけい留を徹底していただくことが大切です。その上で、茨城県動物指導センターでは、規定された日数より長く公表し、抑留した犬が所有者へ返還される機会を増やすように取り組んでいます。その実態に即して公表日数を延長します。
    また、所有者から返還の申し出がなかった犬の譲渡を推進するための規定を、新たに追加します。

 動物愛護条例の改正に関するパブリックコメントには、犬猫の殺処分自体を禁止する内容やその処分方法をガス処分から薬剤注射による方法に変更すること、県のみならず市町村の動物愛護に対する責務を明確にするべきだなどと意見が寄せられています。また、猫の室内飼養については、一部で強い反対意見もあるようです。さらに、マイクロチップの装着義務化を望む声も寄せられています。