ペットの同行避難、 大災害に備え具体的計画策定を
130831top 環境省は、大災害時にペットの犬や猫などを飼い主と一緒に避難させることを原則とし、自治体に体制整備やルール作りを促す「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(指針)」を作成しました。同行避難を明記した指針は初めてで今後、国の防災計画にも盛り込む予定です。
 公明党は同行避難について、収容動物の居場所確保や水、ペットフードなどの物資の備蓄などについて、あらかじめ防災計画に明記すべきと訴えてきました。今回の指針作成を高く評価したいと思います。
 ペットは多くの飼い主にとって家族同然のような存在です。東日本大震災の際には、ペットを自宅に置いたまま避難し、精神的にショックを受けた被災者も多くいます。飼い主と離れて放浪状態となったペットを保護する労力などを考慮すれば、事前に同行避難を取り決めておくことは重要です。
 飼い主にとっては家族同然の存在でも、臭いや鳴き声、動物アレルギーなどが原因で、避難所でトラブルが発生する場合も少なくありません。このため、大震災では他の避難者を気遣って、車の中やテントで寝泊まりした避難者が出ました。
 同行避難を円滑に行い、避難所でのトラブルなどを防ぐには、周到な準備が欠かせません。災害時にはペットもパニック状態に陥ります。さまざまな状況を想定した上で、円滑に同行避難ができるように、飼い主が普段からしつけや避難方法、経路の確認などを行っておく必要があります。
130831dog 避難支援に当たる自治体も、地域ごとに避難所の構造や運営の仕方などの事情が異なることを踏まえた上で、具体的な対策マニュアルや計画の策定を急ぐべきです。
 避難所内のペットの飼育場所、地域の獣医師会への協力要請、ペット同行の避難訓練の実施、保護したペットの所有者を特定するためのマイクロチップ装着の普及促進など、決めるべきことは多岐にわたります。
 環境省の調査では、東日本大震災の際、ペットを連れた避難者を受け入れた自治体の半数以上が同行避難についての方針を定めていませんでした。
 被災したペットを担当する部署や職員があいまいなまま、同行避難ができなかったり、対応に必要以上の時間を要した例が目立ちました。
 同行避難には、普段からの細かな取り決めや準備が欠かせません。マニュアル作成や体制整備について、飼い主や地域住民の声を反映させるため具体的な議論を進める必要があります。

茨城県ではペットの同行避難の体制整備を公明党が強く主張
 昨年(2012年)3月26日、茨城県防災会議が開かれ、東日本大震災を受けての県地域防災計画の見直しをお行いました。これには、井手よしひろ県議ら公明党の主張も随所に盛り込まれ、女性や障がい者、高齢者に配慮した避難所運営やペットの同行避難を求めた新たな体制づくりなどが盛り込まれました。
 また、昨年12月のは、大規模災害時に飼い主とペットがいっしょに避難(同行避難)できるよう、茨城県では各市町村の体制作りを支援するマニュアルをまとめました。
 このマニュアルでは、県が市町村に対し、飼い主と一緒に避難所に避難してきたペットを受け付け、必要に応じて飼育場所を用意することや、飼い主が不明のペットについても一時的に保護することなどを求めています。
 県も「動物救護本部」を設置して医薬品やペットフードを届けたり、ボランティアを組織して、ペットの飼育やけがの応急処置などを支援するとしています。
<参考>災害時におけるペットの救護対策ガイドライン(環境省)