9月4日、両親が結婚しているかどうかで、子どもが相続できる遺産に差を設けている民法の規定について、最高裁判所大法廷は「社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもを差別する根拠は失われた」と指摘し、「憲法に違反する」という初めての判断を示しました。明治時代から続いてきた相続に関する民法の規定は改正を迫られることになります。
現在の民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。これに対して、東京と和歌山のケースで、遺産相続の争いになり、ことし7月に最高裁判所の大法廷で弁論が開かれていました。最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は決定で「子どもは婚外子という立場をみずから選ぶことも取り消すこともできない。現在は社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもだけに不利益を与えることは許されず、相続を差別する根拠は失われた」と指摘し、「民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反している」という初めての判断を示しました。
この決定は、審理に加わった裁判官14人全員一致の極めて思い結論です。
大法廷は平成7年に「憲法に違反しない」という決定を出しましたが、その後、結婚や家族に対する国民の意識が変化している実情を踏まえ、今回、18年前の判断を全面的に見直しました。
欧米諸国は事実婚などの増加を考慮して差別規定を撤廃しています。規定を変更しない数少ない国だったドイツやフランスも法改正を行い、差別規定を撤廃しました。そのため、日本は国連などから再三にわたって法改正を勧告されてきました。
日本でも、事実婚やシングルマザーが増え、出生総数に占める婚外子の割合は増加しています。このため、内閣府の調査では、婚外子への不利益な扱いをすべきでないとの意見が増え、すでに6割を超えています。
国際社会の流れや国民意識の変化が大法廷の判断の背景にあったことは間違いありません。
また、決定では「話し合いなどで合意し、遺産相続が確定している場合、今回の判断が改めて影響しない」と指摘し、過去のケースについてさかのぼって争うことはできないとしています。
現在の民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。これに対して、東京と和歌山のケースで、遺産相続の争いになり、ことし7月に最高裁判所の大法廷で弁論が開かれていました。最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は決定で「子どもは婚外子という立場をみずから選ぶことも取り消すこともできない。現在は社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもだけに不利益を与えることは許されず、相続を差別する根拠は失われた」と指摘し、「民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反している」という初めての判断を示しました。
この決定は、審理に加わった裁判官14人全員一致の極めて思い結論です。
大法廷は平成7年に「憲法に違反しない」という決定を出しましたが、その後、結婚や家族に対する国民の意識が変化している実情を踏まえ、今回、18年前の判断を全面的に見直しました。
欧米諸国は事実婚などの増加を考慮して差別規定を撤廃しています。規定を変更しない数少ない国だったドイツやフランスも法改正を行い、差別規定を撤廃しました。そのため、日本は国連などから再三にわたって法改正を勧告されてきました。
日本でも、事実婚やシングルマザーが増え、出生総数に占める婚外子の割合は増加しています。このため、内閣府の調査では、婚外子への不利益な扱いをすべきでないとの意見が増え、すでに6割を超えています。
国際社会の流れや国民意識の変化が大法廷の判断の背景にあったことは間違いありません。
また、決定では「話し合いなどで合意し、遺産相続が確定している場合、今回の判断が改めて影響しない」と指摘し、過去のケースについてさかのぼって争うことはできないとしています。
婚外子差別を速やかに撤廃せよ
両親が結婚しているかどうかで子どもの相続に差を設ける規定は、115年前の明治31年に施行された民法で設けられました。当時の資料などによりますと、この規定は「法律上の結婚を重視しながら、結婚していない両親の子どもにも一定の相続を認める」という理由から作られました。
その後、改正すべきだとする声が高まり、平成8年には国の法制審議会が見直しを求める答申を提出したほか、3年前にも国が民法の改正案をまとめました。
また、この規定に対しては、国連の委員会から、「差別的だ」と勧告されるなど少なくとも10回にわたって見直しが求められています。
一方で、「制度を見直せば結婚せずに子どもを産む人が増える」とか「家族制度が崩れかねない」といった反対の意見もあり、改正は行われないままとなっています。
法律の番人である最高裁判所が、法律の規定そのものを憲法違反としたのは今回が9例目です。過去のケースではいずれも法律が改正されています。
最高裁判所の判断を受けて、法務省は内容を精査したうえで、民法の改正に向けた作業を進めることにしており、「憲法に違反する」と判断された民法900条の「いわゆる婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という規定を削除することを検討しています。
さらに、婚外子の差別は相続だけではありません。
例えば、出生届には「嫡出子」と「嫡出でない子」のチェック欄があります。また、同じ母子家庭でも、婚姻歴の有無で経済的な負担に差が出るのが「寡婦控除」だ。パートナーと死別や離婚した母親は所得税が控除されるが、未婚の母親には適用されません。今回の司法判断を契機に、こうした差別的な扱いも見直しが必要となります。
5日、公明党の法務部会は谷垣禎一法相に対し、速やかな法改正とともに、婚外子の差別的扱いを是正するよう強く要請しました。
民法の規定を巡っては、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、平成8年にすでに見直しを求める答申を出していることなどから、法務省は、今回は法制審議会に諮問せずに作業を進めたいとしています。早ければ秋の臨時国会にも改正案が提出されることになります。
両親が結婚しているかどうかで子どもの相続に差を設ける規定は、115年前の明治31年に施行された民法で設けられました。当時の資料などによりますと、この規定は「法律上の結婚を重視しながら、結婚していない両親の子どもにも一定の相続を認める」という理由から作られました。
その後、改正すべきだとする声が高まり、平成8年には国の法制審議会が見直しを求める答申を提出したほか、3年前にも国が民法の改正案をまとめました。
また、この規定に対しては、国連の委員会から、「差別的だ」と勧告されるなど少なくとも10回にわたって見直しが求められています。
一方で、「制度を見直せば結婚せずに子どもを産む人が増える」とか「家族制度が崩れかねない」といった反対の意見もあり、改正は行われないままとなっています。
法律の番人である最高裁判所が、法律の規定そのものを憲法違反としたのは今回が9例目です。過去のケースではいずれも法律が改正されています。
最高裁判所の判断を受けて、法務省は内容を精査したうえで、民法の改正に向けた作業を進めることにしており、「憲法に違反する」と判断された民法900条の「いわゆる婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という規定を削除することを検討しています。
さらに、婚外子の差別は相続だけではありません。
例えば、出生届には「嫡出子」と「嫡出でない子」のチェック欄があります。また、同じ母子家庭でも、婚姻歴の有無で経済的な負担に差が出るのが「寡婦控除」だ。パートナーと死別や離婚した母親は所得税が控除されるが、未婚の母親には適用されません。今回の司法判断を契機に、こうした差別的な扱いも見直しが必要となります。
5日、公明党の法務部会は谷垣禎一法相に対し、速やかな法改正とともに、婚外子の差別的扱いを是正するよう強く要請しました。
民法の規定を巡っては、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、平成8年にすでに見直しを求める答申を出していることなどから、法務省は、今回は法制審議会に諮問せずに作業を進めたいとしています。早ければ秋の臨時国会にも改正案が提出されることになります。