コメの収穫(ひたちなか市内) 環太平洋連携協定(TPP)交渉会合が、ブルネイで8月22日から31日まで開催されました。共同声明では一定の前進を強調したものの決着を急ぐ米国の強硬な姿勢が突出していました。
 日本政府は交渉で、農産物の重要5品目を関税撤廃の対象から除くよう求めています。主要5品目とは、コメ、麦、牛・豚肉、牛乳・乳製品、甘味資源作物(サトウキビなど砂糖の原料)です。この5品目の共通点は内外価格差が大きい、つまり国産より海外産の方が安いということです。「関税をかけないと国産を守れない」農産物なのです。
 コメは全国で作られ、水田が水を蓄える機能は国土保全に欠かせません。麦は、コメの転作作物として国が生産を奨励している作物です。牛・豚肉は、オーストラリアなど競争力が極めて強い国が海外にあります。牛乳・乳製品は、牛乳を除いて海外で作ってもあまり品質が変わらないとされます。甘味資源作物は南西諸島のサトウキビ、北海道のテンサイと、日本の南と北の地域経済を支えています。
 茨城県の主要5品目が関税がゼロになった場合の影響を試算していました。
【コメ】県内のコメ生産額は958億円ですが、その影響額は約半分(影響率49%)で469億円に達します。コメ生産量の約3割が輸入に置き換わり、その上、国内生産の価格が下落すると見られています。
【大麦・小麦】県内生産額9億円は1億円に減少。影響額は8億円(影響率89%)に上ります。
【牛・豚肉】茨城県は日本一の豚肉算出県。牛肉、豚肉を合わせると生産額は552億円。影響額は409億円(影響率74%)に達し、生産額は143億円に減少します。
【牛乳・乳製品】茨城県の牛乳・乳製品の生産額は151億円です。乳製品は鮮度が重視される生クリーム等を除いて、全て輸入品に置き換わり、飲用乳では、都府県の飲用乳の大部分が北海道産に置き換わってしまいます。結果、茨城県での生産は壊滅します。
【甘味資源作物】茨城県での生産はありません。
 茨城県の主要5品目の生産額は合計で1519億円です。関税がゼロになった場合の影響額は1037億円に達し、生産額は482億円に減少します。
 茨城県の関税がゼロになった影響額は1174億円と試算されていますが、主要5品目が関税自由化の対象から除外されると、影響額は137億円にまで縮小する計算となります。

関税がゼロになった場合の影響額試算
 全 国茨城県
農産物2兆6,600億円31%減1,113億円26.0%減
林産物490億円11%減8億円11.4%減
水産物2,490億円15%減53億円26.4%減
合 計3兆円29%減1,174億円25.8%減

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参考:TPPに参加した場合の茨城県農林水産物への影響について