9月20日、井手よしひろ県議ら、防災環境商工委員会は参考人を迎へ意見聴取を行いました。
「商店街活性化 今後の取り組みの方向性」をテーマに、青森市中心市街地活性化協議会タウンマネージャーの加藤博氏の意見は非常に興味深く伺えました。加藤氏は、青森市の老舗武田百貨店入社。昭和48年東北ニチイに出向し、昭和61年に脱サラして青森市新町商店街に婦人服専門店を開店しました。その後、商店街の活性化などに中心的の取り組み、平成12年商業ベンチャーに対し管理運営を指導する会社有限会社PMOを設立しました。
平成17年度、青森市は中心市街地活性化のために、「中心市街地活性化基本計画」を全国に先駆けて策定し、国から第一号認定を受けています。コンパクトシティを目指す、全国の地方自治体のモデルケースとして大いに注目されていました。
青森市は、雪に強い都市、高齢・福祉社会に対応した都市、環境調和型の都市、災害に強い都市、効率的で快適な都市をめざして、都市構造を三層に分け、それぞれのエリア特性に応じた土地利用による無秩序な市街地の拡大を抑制し、インフラ整備などで拡散させないように、コンパクトシティ化を目指し、街中の再生を推進しています。
活性化計画では、生活と居住を中心とした機能集約を目指し、以下の4つの具体的な目標を立てています。
この活性化計画の中間事業報告が、平成23年4月が公表されました。
それによると、平成13年、駅前の再開発事業で整備された複合施設「アウガ」(地下1階食料品を中心とする市場、1〜4階商業施設、5〜9階図書館などの公共施設)は年間600万人を集客する地域の核施設として機能を想定しました。しかし、アウガの売上は予測を大幅に下回り、売上は平成18年の28億5000万円をピークに減少を続け、平成20年には筆頭株主である青森市が金融機関に約8億円の債権放棄を要請し、平成23年には、空き区画7つの解消、地代賃借料の引下げ要請などによる再建計画が出しました。昨年度に初めて約932万円の黒字を計上しましたが、累積負債は約32億円に上っています。今年6月には、新経営再生計画を巡って市側と旧経営陣との間ですれ違いが生じ、旧経営陣を一掃する人事が行われました。
一方、平成22年12月、東北新幹線全線開通。「新青森駅」開業にあわせ、ウオーターフロントに、新たに複合施設「A-FACTORY」、ねぶたを年間通し体験できる「ねぶたの家ワ・ラッセ」が整備されました。ウォーターフロントの既存施設「八甲田丸」「青森県観光物産館アスパム」と合わせて、周遊型の観光集客を目指しています。
出典:青森市中心市街地活性化基本計画
この事業評価は非常に厳しい結果を示しています。井手県議はこの数値を元に、加藤氏に青森市の取り組みをどのように評価しているのか、率直に質問しました。その回答は以下の様なものでした。
商店街の活性化は一朝一夕にできるものではありません。不断の努力と創意工夫、商店街、商工会議所(商工会)、行政の連携など複雑な要素が関連しあっています。そこをつなぐ、やる気のある人材が何よりも必要なようです。
なお、加藤氏の講演のポイントは以下のとおりです。
「商店街活性化 今後の取り組みの方向性」をテーマに、青森市中心市街地活性化協議会タウンマネージャーの加藤博氏の意見は非常に興味深く伺えました。加藤氏は、青森市の老舗武田百貨店入社。昭和48年東北ニチイに出向し、昭和61年に脱サラして青森市新町商店街に婦人服専門店を開店しました。その後、商店街の活性化などに中心的の取り組み、平成12年商業ベンチャーに対し管理運営を指導する会社有限会社PMOを設立しました。
平成17年度、青森市は中心市街地活性化のために、「中心市街地活性化基本計画」を全国に先駆けて策定し、国から第一号認定を受けています。コンパクトシティを目指す、全国の地方自治体のモデルケースとして大いに注目されていました。
青森市は、雪に強い都市、高齢・福祉社会に対応した都市、環境調和型の都市、災害に強い都市、効率的で快適な都市をめざして、都市構造を三層に分け、それぞれのエリア特性に応じた土地利用による無秩序な市街地の拡大を抑制し、インフラ整備などで拡散させないように、コンパクトシティ化を目指し、街中の再生を推進しています。
活性化計画では、生活と居住を中心とした機能集約を目指し、以下の4つの具体的な目標を立てています。
- 多くの市民が賑わう中心市街地(歩行者通行量の増加)
- 多くの観光客と集客する中心市街地(年間観光施設入込客数の増加)
- 歩いて暮らしやすい中心市街地(夜間人口の増加。つまり中心市街地居住者増加)
- 中心市街地の商業の活性化(空き地、空き店舗率低減、小売業年間商品販売額増加)
この活性化計画の中間事業報告が、平成23年4月が公表されました。
それによると、平成13年、駅前の再開発事業で整備された複合施設「アウガ」(地下1階食料品を中心とする市場、1〜4階商業施設、5〜9階図書館などの公共施設)は年間600万人を集客する地域の核施設として機能を想定しました。しかし、アウガの売上は予測を大幅に下回り、売上は平成18年の28億5000万円をピークに減少を続け、平成20年には筆頭株主である青森市が金融機関に約8億円の債権放棄を要請し、平成23年には、空き区画7つの解消、地代賃借料の引下げ要請などによる再建計画が出しました。昨年度に初めて約932万円の黒字を計上しましたが、累積負債は約32億円に上っています。今年6月には、新経営再生計画を巡って市側と旧経営陣との間ですれ違いが生じ、旧経営陣を一掃する人事が行われました。
一方、平成22年12月、東北新幹線全線開通。「新青森駅」開業にあわせ、ウオーターフロントに、新たに複合施設「A-FACTORY」、ねぶたを年間通し体験できる「ねぶたの家ワ・ラッセ」が整備されました。ウォーターフロントの既存施設「八甲田丸」「青森県観光物産館アスパム」と合わせて、周遊型の観光集客を目指しています。
目標指標 | H17 | 目標 | H23 |
賑わい、街の楽しみづくり 歩行者通行量(人/日) | 59,090 | 76,000 | 48,010 |
観光客集客、交流の街づくり 中心市街地年間観光施設入込客数(人) | 696,312 | 1,305,000 | 690,942 |
歩いて暮らしやすい 中心市街地夜間人口(人) | 3,346 | 3,868 | 3,547 |
中心市街地の商業活性化 空き地・空き店舗率(%) | 10.7 | 8.8 | 16.4 |
中心市街地の商業活性化 年間商品販売額(百万円) | 68,553 | 68,553 | 59,318 |
この事業評価は非常に厳しい結果を示しています。井手県議はこの数値を元に、加藤氏に青森市の取り組みをどのように評価しているのか、率直に質問しました。その回答は以下の様なものでした。
- 青森市の全体の評価は、この数値の通りで大変厳しいものです。しかし、しんまち商店街の「逸品研究会」、「逸品お店回りツアー」、「一店逸品運動」などを展開しながら着実に成果が上がっている
- 評価目標それ自体が、国の施策の承認を受けるために水増しされている感がある。また、地域の実情にも合わない。例えば、通行量の調査を行うにしても、昔から通行量が多かった場所を選んでいるが、現実には人の流れは変る。現在は、測定する場所も変えて効果を測定している
- 5年という中間の評価で商店街の活性化は測れない。10年20年というタームでしっかり努力していきたい
商店街の活性化は一朝一夕にできるものではありません。不断の努力と創意工夫、商店街、商工会議所(商工会)、行政の連携など複雑な要素が関連しあっています。そこをつなぐ、やる気のある人材が何よりも必要なようです。
なお、加藤氏の講演のポイントは以下のとおりです。
- 平成24年度商店街実態調査報告書では、繁栄している商店街は前回調査と同じで1%である。しかしながら報告書の調査項目で、目を引いたのが、「繁栄している商店街」と「衰退している商店街」の格差である。
普通一般には、繁栄している商店街はハード面・ソフト面で事業実施・推進していると思われるだろうが、全く逆の結果である。このことは、その先を考えて見ると自ずと理解出来ると思われる。 - 例えばハード面で、繁栄商店街の駐車場整備率は3.4%であるのに対し、衰退商店街の同整備率は15.2%と上回っている。要するに空き地・空き店舗が発生し、「コインパーキング」が多く発生しているのである。この事象はシャッター街より再生が難しい!
- ソフト面で、繁栄商店街のサービス券・スタンプ・ポイントカード事業実施率が20.7%であるのに対し、衰退商店街は34.5%である。大型店がポイントカードを実施しており差別化が出来なくなっている。今や時代遅れなのである。
- 繁栄している商店街は「まちづくり会社」を設立し、過去のよき時代に繁栄していた頃の商店街が実施していた事業を実施・推進していく体制を整えている。
- 今回の調査で商店街の平均店舗数は、52.9店で、昭和60年度の平均店舗数85.7と比較すると約40%の減少である。
最近3年間の業種別店舗数の変化を見ると、「増えた」と回答した店舗では「飲食店(21.1%)」「サービス業(10.2%)の順である。一方、「衣料品・身の回り品等」は21.7%が「減った」という回答となっている。
また、空き店舗率は、14.62%と前回調査から3.8%増加している。オーバーストア・インターネット通販の増大理由が明白である。 - 注目するべきは、最近3年間の商店街への来街者数減少要因のベスト5は、1.魅力有る店舗の減少、2.業種・業態の不足、3.近郊大型店の進出、4.地域の人口減少、5.駐輪場・駐車場の不足である。駐車場不足が最大要因ではない。
- 以上を解決するには、「商店街リーダーの育成」しかないと考える。
大きく変化する環境の中で、多様化する価値観をもち、地域商業としての企画力・実行力・牽引力・影響力・連携力・合意形成力等を発揮していくことが期待される。
そのためには、やる気の有る人間同士の組織活動を展開する中でリーダーが育つ。商店街リーダーは、ほっといて出来るものではない。国が最大限のバックアップ・補助金を投入しても実施するべく事業と心得る。
新しい視点と行動が、地域商業を(商店街)を担う若手リーダーには、求められている。