奨学金が返せない!33.4万人が延滞、総額925億円
130923shogakukin_1 不景気や就職難によって収入が減少し、奨学金を返せずにいる人が年々、増加傾向にあります。若者の未来を切り開くはずの奨学金が人生に重くのしかかっている現実です。こうした状況を踏まえ、公明党は無利子奨学金の拡充や奨学金延滞金利の引き下げなどに取り組んでいます。
 例えば、こうした事例が挙げられています。都内に住むAさん(29歳)は、希望に胸を躍らせ入学した大学。勉学に励み、ゼミやサークルではリーダーとして皆をまとめる存在だった。多忙な日々にアルバイトをする時間は限られ、その上「親には甘えられない」と実家からの仕送りは求めませんでした。そのため奨学金を頼りにして、学生生活を送りました。
 卒業を控えた大学4年生の時、内々定をもらった企業に就職するか、大学院に進むかの選択を迫られました。進学を選べば、さらに奨学金を借りなければなりませんが、周囲からの期待もあり大学院へ進学することにしました。
 大学院のハードな勉強と積み重なる奨学金の重圧。「大学院を出て仕事に就けなかったら、奨学金の返済責任だけが残る」。今まで借りた金額をざっと計算すると、総額1500万円に達していました。ここから心身の疲弊が一気に加速、1カ月の入院を余儀なくされました。
 この遅れを取り戻せず、Aさんは大学院を中退。何とか企業就職を果たしましたが、その企業は過酷なノルマと膨大な残業で昼夜を問わず酷使する「ブラック企業」。すぐに退職してしまいました。
 日本学生支援機構によると、2012年度末現在、奨学金の要返済者約323万人のうち、33万4000人が返済を延滞しており、総額は925億円に上っています。支援機構が2011年度に行った調査では、延滞者の約46%が非正規雇用または無職となっています。年収は300万円未満が83.4%を占め、延滞理由は「収入が減った」が75.3%でした。
公明の主張で無利子枠拡大や金利引下げを概算要求に計上
130923okamoto こうした状況を踏まえ公明党は、今年行われた参院選の重点政策で無利子奨学金の拡充や奨学金延滞金利の引き下げなどを主張しました。5月には、公明党学生局が学生3610人への調査を基にした提言を下村博文文部科学相に提出し、奨学金制度の拡充を強く求めました。
 その結果、文部科学省の来年度予算概算要求では、奨学金の延滞金利を現行の10%から5%に引き下げたり、経済苦などで返済を猶予する期間を5年から10年に延ばす措置や、無利子奨学金枠を7万人増やす事業が盛り込まれました。
 このほか文科省では、本人の年収が300万円を上回るまで返還期限を猶予する所得連動型奨学金の対象を拡大する準備を進めています。
 今回の奨学金制度の拡充に関しては、岡本三成衆議院議員(公明党北関東比例)の活動が光りました。
 4月12日の衆議院予算委員会で、岡本議員は下村文部科学大臣に奨学金の拡充について質問。「諸外国では、給付する、つまり差し上げる物のみを奨学金と呼んでいます。将来返済しなければいけないのは奨学金とは呼ばない。それは、学生ローンと呼ばれています」と、給付型奨学金の充実を強く訴えました。8月6日には、文部科学省を訪問し、再び下村大臣に直接申し入れを行いました。
 岡本議員の質問後に文科省内に作られた「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」が、8月30日に中間とりまとめを公表しました。その中に「貸与型奨学金は無利子奨学金が本来の形であって、有利子奨学金はその補完的な役割を果たすべきものである。<略>原則に立ち戻り、無利子奨学金を基本とする姿を目指すべきである」と明記されました。
 公明党は、当面、全ての奨学金受給者の金利をゼロにしたいと考えています。
 青年は、未来そのもの。まさに、「明日を創るのは、青年の熱と力」です。従って、青年に光をあて、青年を全力で支援する事が、日本社会の希望ともなります。
 また、高等教育の機会を増やし、グローバルな人材を育てる事こそが、中長期的に日本の未来にとって最も重要な投資なのです。