9月26日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、JA茨城県中央会を訪れ、「平成26年度茨城県農業施策・予算についての要請」を受けるとともに、意見交換を行いました。これには、公明党から井手県議の他、磔進県議(水戸市選出)、八島功男県議(土浦市選出)、JA県中央会から秋山豊専務理事、寺山正史広報部長、岩田和之広報部次長が参加しました。
JA県中央会は、1.新規就農者の確保対策、2.農業の6次産業化を支援する「いばらき産地育成・販売力強化基金」の創設、3.TPPへの参加反対、4.飼料自給率の向上、5.消費増税への対策など計5項目の要請書を、9月18日に橋本昌知事に提出しています。
特に、JA県中央会よりは、親元で新たに就農する場合でも青年就農給付金の対象とすることや、自給率向上や農家所得増大を図る新たな基金創設、生産資材仕入れの際の消費税還付制度見直しなどを国に強く働き掛けることなどが、強く要望されました。
特に秋山専務理事は「農業後継者の育成は、単に農業問題だけに止まらず、地域社会の存続に係わる一大事。北海道を除けば日本一の農業県である茨城の農業を続けるためには、毎年何人の新規就農者が必要なのか、県は明確な目標を示すべきです。そして、その目標を達成するための施策をしっかりと展開してもらいたい。JAとしても全力を挙げて新規就農策に取り組んでいきたい」と語りました。
公明党からは新規就農者の拡大策や6次産業化の課題などについて質問し、活発な議論が交わされました。
この要望聴取や意見交換の結果を元に、10月県議会の代表質問、農林水産委員会、予算特別委員会での質疑などで県の対応を質してまいります。
本県販売農家数は70,884戸と全国1位の状況にあるものの、このうち農業後継者がいる世帯は、42,840戸(60.4%)に留まっている。
JAグループ茨城でも、県の施策に対応し、新規就農者や青年農業者の育成に取り組んでいるものの、本県の耕作農地面積123,900haが引き続き農地として活用され、加えて耕作放棄地21,120haが解消されるには、更なる新規就農者の確保や担い手経営体の育成・確保が喫緊の課題である。
現在、新規就農者の太宗を占める親元就農者が青年就農給付金(準備型)の対象とされていないことから、国に見直しを働きかけるとともに、育成に向け本県独自の支援策を講じていただきたい。
加えて、平成24年度に青年就農給付金(準備型)の対象となった就農希望者70名の県内定着が促進されるよう、経営力強化に向けた研修延長など新たな担い手確保策に取り組んでいただきたい。
また、(公財)茨城県農林振興公社、(公社)園芸いばらき振興協会、(公社)茨城県穀物改良協会の3団体統合が予定されている新組織においても、ワンストップ窓口として、担い手育成施策の充実・拡充を検討いただきたい。
2.いばらき産地育成・販売力強化基金の創設について
県は、県・市町村・JAグループ茨城が一体となった銘柄産地育成などの取組みにより、園芸作物が農業産出額の概ね半分を占めるに至っている。
一方、野菜需要のうち加工・業務用野菜の割合は、増加傾向にあり全国で過半を超えているが、そのうち国産割合は7割程度と、天候不順等に対応できる生産基盤を強化し、実需者から求められる一定の品質・数量、低価格での安定供給に適切な対応が出来なければ自給率の向上には繋がっていかない。
加えて、消費者の食の簡便化志向の高まりから生鮮野菜の購入は減少傾向にあり、サラダ等の加工調理食品の購入が増加している。
現在、JAグループ茨城では、加工・業務用産地への転換や新たな産地の育成に取り組んでいるところであるが、高品質で安全・安心な国産野菜の生産・加工・流通体制を県内に確立するなど、更なる取り組みが求められている。
ついては、県・JAグループ茨城が一体となり産地育成が進められるよう実需に合わせた試験・研究とマッチング、担当者の養成、天候不順による掛増し経費に対する助成措置など、支援策を講じていただきたい。
合わせて、これら自給率の向上と農家所得の増大を図る取り組みが継続するよう県とJAグループ茨城とが一体となり「いばらき産地育成・販売力強化基金」を創設し、運用果実等による安定した財源を確保できるようご支援いただきたい。
3.国益を守れないTPPへの参加反対について
TPPは、これまで我が国が諸外国・地域と締結してきた自由貿易協定や経済連携協定とは全く異なり、関税自主権の放棄と、国体をも揺るがしかねない外国企業が政府に損害賠償を請求できるISD条項、医療・医薬品、金融・保険、公共事業、検疫・原産地表示制度などの規制撤廃、改悪を強制するものであり、地域社会を崩壊させる恐れが強いことから、JAグループ茨
城は、県内農林水産業関係団体、県医師会と一体となって、政府の交渉参加に断固反対として取り組んできた。
ここまで政府・与党は、農林水産分野の重要5品目など聖域の確保を最優先し、確保できない場合は、脱退も辞さないものとする、としている。
ついては、政府が衆参両議院の農林水産委員会決議を遵守するよう県として強く働きかけていただきたい。
また、県と関係団体の意識共有が図れるよう対策本部を設置いただき、県内各種産業への影響試算、県民への周知など一体となった取り組みをお願いしたい。
4.飼料自給率の向上について
日本の飼料自給率は26%とほぼ横ばいで、そのうち粗飼料自給率は77%、配合飼料は12%と、飼料自給率の向上には、配合飼料の生産が課題となっている。
本県でも、コントラクター等の整備により稲WCSの定着が図られ、粗飼料生産の拡大が図られているものの、輸入トウモロコシの代替となる配合飼料の生産拡大は進んでいない。
ついては、水田の効率的活用、飼料自給率の向上、畜産経営を圧迫する円安に起因する飼料等の高騰対策として、生もみ発酵飼料(ソフトグレーンサイレージ=SGS)などの新技術について、試験研究を進めていただきたい。
5.消費税増税への対策について
消費者の食生活を守るためには、食料品・農産物等に対する軽減税率の導入が必要である。
これに加えて、農産物の生産・流通の特有な事業により、大規模農家など生産資材等仕入れに係る消費税の転嫁が難しい農業者の価格転嫁問題を解消するためには、これに伴う農業者の仕入税額還付申告の事務負担を極力軽減する簡易な還付制度への見直しも必要となる。
さらに、納税免税により仕入税額が価格に転嫁できない多くの免税農業者の実態を踏まえ、その税額相当分を補償する新たな仕組みの創設も必要である。
これらの実態を踏まえ、消費税が増税される場合の対策について、国に強く働きかけていただきたい。
また、医療機関における控除対象外消費税(損税)についても、診療報酬が非課税であることから、医薬品・材料等の仕入に係る消費税を、最終消費者である患者に転嫁することができず、実際に負担する消費税額は、診療報酬などに含まれた消費税相当額を大きく上回る額となっているため、病院経営をさらに圧迫させる大きな要因となっており、輸出企業のみ認められている輸出割戻し税(輸出免税)と同様な還付制度が必要である。
ついては、医療機関の損税について還付が受けられるよう制度の見直しを国に働きかけていただきたい。
JA県中央会は、1.新規就農者の確保対策、2.農業の6次産業化を支援する「いばらき産地育成・販売力強化基金」の創設、3.TPPへの参加反対、4.飼料自給率の向上、5.消費増税への対策など計5項目の要請書を、9月18日に橋本昌知事に提出しています。
特に、JA県中央会よりは、親元で新たに就農する場合でも青年就農給付金の対象とすることや、自給率向上や農家所得増大を図る新たな基金創設、生産資材仕入れの際の消費税還付制度見直しなどを国に強く働き掛けることなどが、強く要望されました。
特に秋山専務理事は「農業後継者の育成は、単に農業問題だけに止まらず、地域社会の存続に係わる一大事。北海道を除けば日本一の農業県である茨城の農業を続けるためには、毎年何人の新規就農者が必要なのか、県は明確な目標を示すべきです。そして、その目標を達成するための施策をしっかりと展開してもらいたい。JAとしても全力を挙げて新規就農策に取り組んでいきたい」と語りました。
公明党からは新規就農者の拡大策や6次産業化の課題などについて質問し、活発な議論が交わされました。
この要望聴取や意見交換の結果を元に、10月県議会の代表質問、農林水産委員会、予算特別委員会での質疑などで県の対応を質してまいります。
平成26年度茨城県農業施策・予算についての要請
茨城県農業協同組合中央会
会長 加倉井豊邦
1.新規就農者の確保対策について会長 加倉井豊邦
本県販売農家数は70,884戸と全国1位の状況にあるものの、このうち農業後継者がいる世帯は、42,840戸(60.4%)に留まっている。
JAグループ茨城でも、県の施策に対応し、新規就農者や青年農業者の育成に取り組んでいるものの、本県の耕作農地面積123,900haが引き続き農地として活用され、加えて耕作放棄地21,120haが解消されるには、更なる新規就農者の確保や担い手経営体の育成・確保が喫緊の課題である。
現在、新規就農者の太宗を占める親元就農者が青年就農給付金(準備型)の対象とされていないことから、国に見直しを働きかけるとともに、育成に向け本県独自の支援策を講じていただきたい。
加えて、平成24年度に青年就農給付金(準備型)の対象となった就農希望者70名の県内定着が促進されるよう、経営力強化に向けた研修延長など新たな担い手確保策に取り組んでいただきたい。
また、(公財)茨城県農林振興公社、(公社)園芸いばらき振興協会、(公社)茨城県穀物改良協会の3団体統合が予定されている新組織においても、ワンストップ窓口として、担い手育成施策の充実・拡充を検討いただきたい。
2.いばらき産地育成・販売力強化基金の創設について
県は、県・市町村・JAグループ茨城が一体となった銘柄産地育成などの取組みにより、園芸作物が農業産出額の概ね半分を占めるに至っている。
一方、野菜需要のうち加工・業務用野菜の割合は、増加傾向にあり全国で過半を超えているが、そのうち国産割合は7割程度と、天候不順等に対応できる生産基盤を強化し、実需者から求められる一定の品質・数量、低価格での安定供給に適切な対応が出来なければ自給率の向上には繋がっていかない。
加えて、消費者の食の簡便化志向の高まりから生鮮野菜の購入は減少傾向にあり、サラダ等の加工調理食品の購入が増加している。
現在、JAグループ茨城では、加工・業務用産地への転換や新たな産地の育成に取り組んでいるところであるが、高品質で安全・安心な国産野菜の生産・加工・流通体制を県内に確立するなど、更なる取り組みが求められている。
ついては、県・JAグループ茨城が一体となり産地育成が進められるよう実需に合わせた試験・研究とマッチング、担当者の養成、天候不順による掛増し経費に対する助成措置など、支援策を講じていただきたい。
合わせて、これら自給率の向上と農家所得の増大を図る取り組みが継続するよう県とJAグループ茨城とが一体となり「いばらき産地育成・販売力強化基金」を創設し、運用果実等による安定した財源を確保できるようご支援いただきたい。
3.国益を守れないTPPへの参加反対について
TPPは、これまで我が国が諸外国・地域と締結してきた自由貿易協定や経済連携協定とは全く異なり、関税自主権の放棄と、国体をも揺るがしかねない外国企業が政府に損害賠償を請求できるISD条項、医療・医薬品、金融・保険、公共事業、検疫・原産地表示制度などの規制撤廃、改悪を強制するものであり、地域社会を崩壊させる恐れが強いことから、JAグループ茨
城は、県内農林水産業関係団体、県医師会と一体となって、政府の交渉参加に断固反対として取り組んできた。
ここまで政府・与党は、農林水産分野の重要5品目など聖域の確保を最優先し、確保できない場合は、脱退も辞さないものとする、としている。
ついては、政府が衆参両議院の農林水産委員会決議を遵守するよう県として強く働きかけていただきたい。
また、県と関係団体の意識共有が図れるよう対策本部を設置いただき、県内各種産業への影響試算、県民への周知など一体となった取り組みをお願いしたい。
4.飼料自給率の向上について
日本の飼料自給率は26%とほぼ横ばいで、そのうち粗飼料自給率は77%、配合飼料は12%と、飼料自給率の向上には、配合飼料の生産が課題となっている。
本県でも、コントラクター等の整備により稲WCSの定着が図られ、粗飼料生産の拡大が図られているものの、輸入トウモロコシの代替となる配合飼料の生産拡大は進んでいない。
ついては、水田の効率的活用、飼料自給率の向上、畜産経営を圧迫する円安に起因する飼料等の高騰対策として、生もみ発酵飼料(ソフトグレーンサイレージ=SGS)などの新技術について、試験研究を進めていただきたい。
5.消費税増税への対策について
消費者の食生活を守るためには、食料品・農産物等に対する軽減税率の導入が必要である。
これに加えて、農産物の生産・流通の特有な事業により、大規模農家など生産資材等仕入れに係る消費税の転嫁が難しい農業者の価格転嫁問題を解消するためには、これに伴う農業者の仕入税額還付申告の事務負担を極力軽減する簡易な還付制度への見直しも必要となる。
さらに、納税免税により仕入税額が価格に転嫁できない多くの免税農業者の実態を踏まえ、その税額相当分を補償する新たな仕組みの創設も必要である。
これらの実態を踏まえ、消費税が増税される場合の対策について、国に強く働きかけていただきたい。
また、医療機関における控除対象外消費税(損税)についても、診療報酬が非課税であることから、医薬品・材料等の仕入に係る消費税を、最終消費者である患者に転嫁することができず、実際に負担する消費税額は、診療報酬などに含まれた消費税相当額を大きく上回る額となっているため、病院経営をさらに圧迫させる大きな要因となっており、輸出企業のみ認められている輸出割戻し税(輸出免税)と同様な還付制度が必要である。
ついては、医療機関の損税について還付が受けられるよう制度の見直しを国に働きかけていただきたい。