高額所得の高齢者は2割負担導入へ
厚生労働省は、9月25日の社会保障審議会介護保険部会に介護保険の見直し案を提示しました。
介護が必要な高齢者を社会全体で支える介護保険制度は、2000年からスタートしました。当初その総費用は3.6兆円ですが、利用者の拡大を受けて、2013年度には9.4兆円と、14年間で2.6倍に増えています。団塊世代が75歳に達する2025年には、様々な改革を行った上でも21兆円を超えると見込まれています。
政府は消費税の増税と合わせ、制度の抜本的な見直しも行っています。
その主な視点は、1.一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げる、2.食費や居住費についての補足給付の支給には資産を勘案する。3.特養は中重度者に重点化を図るとともに、デイサービスは重度化予防に効果がある給付への重点化を図る、4.低所得者の1号保険料(高齢者自身の保険料)は、軽減措置を拡充する、5.介護サービスの効率化・重点化に取り組む、などとなっています。
介護保険部会に示された見直し案によると、現在は一律1割負担となっている介護保険の自己負担割合を、一定以上の所得がある人については2割に引き上げることにしています。
年金収入のみなら年間280万円以上もしくは290万円以上の人が対象となる案を検討しています。
現在、検討されている対象者の基準は、収入から公的年金等控除や事業の必要経費などを差し引いた所得が、1.年間160万円以上、2.年間170万円以上――の2案です。公的年金等控除は最低120万円なので、年金収入のみなら年間280万円以上か290万円以上となります。1.の条件では高齢者全体の上位20%程度にあたる水準で、2.は住民税課税者の半数にあたる水準です。標準的な年金額や平均的な消費支出額を上回り、負担可能とみられる層を対象とした。逆に考えると1.の条件であれば、高齢者の内、8割は引き上げの対象とはなりません。

介護が必要な高齢者を社会全体で支える介護保険制度は、2000年からスタートしました。当初その総費用は3.6兆円ですが、利用者の拡大を受けて、2013年度には9.4兆円と、14年間で2.6倍に増えています。団塊世代が75歳に達する2025年には、様々な改革を行った上でも21兆円を超えると見込まれています。
政府は消費税の増税と合わせ、制度の抜本的な見直しも行っています。
その主な視点は、1.一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げる、2.食費や居住費についての補足給付の支給には資産を勘案する。3.特養は中重度者に重点化を図るとともに、デイサービスは重度化予防に効果がある給付への重点化を図る、4.低所得者の1号保険料(高齢者自身の保険料)は、軽減措置を拡充する、5.介護サービスの効率化・重点化に取り組む、などとなっています。
介護保険部会に示された見直し案によると、現在は一律1割負担となっている介護保険の自己負担割合を、一定以上の所得がある人については2割に引き上げることにしています。
年金収入のみなら年間280万円以上もしくは290万円以上の人が対象となる案を検討しています。
現在、検討されている対象者の基準は、収入から公的年金等控除や事業の必要経費などを差し引いた所得が、1.年間160万円以上、2.年間170万円以上――の2案です。公的年金等控除は最低120万円なので、年金収入のみなら年間280万円以上か290万円以上となります。1.の条件では高齢者全体の上位20%程度にあたる水準で、2.は住民税課税者の半数にあたる水準です。標準的な年金額や平均的な消費支出額を上回り、負担可能とみられる層を対象とした。逆に考えると1.の条件であれば、高齢者の内、8割は引き上げの対象とはなりません。
また、特別養護老人ホームなどの介護施設に入所する人への、食費や部屋代の補助に、高齢者の資産の多寡を考慮します。現在は、所得だけで判断して、費用を補助していますが、所得が低くても、一定の預貯金や不動産がある人は、補助が縮小されます。具体的には、単身で1000万円以上の預貯金がある人や2000万円以上の不動産資産のある人を対象にする案が示されています。
さらに、介護サービスも見直します。キーワードは効率化と重点化です。サービスを受ける対象を絞り込み、介護の必要性が高い人にサービスを集中させようという考え方です。現在、介護保険では、介護の必要度を7段階にわけて認定しています。要介護が1〜5の5段階、要介護5が最も必要度が高い人です。要介護より必要度が低い要支援が1、2との2段階に分かれています。改革案では、要介護の認定を受けた人向けの特別養護老人ホームへの入所要件を厳しくします。現在は要介護1以上の人が対象ですが、要介護3以上の人に限定します(現場では介護施設が不足しているために要介護3以上出ないとほとんど入所できないのが現状です)。
「要支援」の人を対象にした、重症化を防ぐ予防のためのサービスも見直します。身の回りの世話やリハビリなど、予防給付という全国一律のサービスをなくして、市町村が独自に手掛ける事業に段階的に移行するとしています。サービスのメニューや料金を自治体が自由に決めて、NPOやボランティアにもサービスの担い手になってもらうことで、介護の費用を抑えようと考えています。ただし、必要な財源は、これまで通り介護保険で手当てすることにしています。
介護保険料は、所得水準に応じてきめ細かな保険料設定を行い、所得の低い方の負担軽減を図る方向が示されました。現在、多くの自治体で特例第3・特例第4段階の設置や、本人課税所得層の多段階化をしている現状を踏まえ、標準の段階設定を、現行の6段階から9段階に見直すとしています。

介護保険改革の論点
介護保険をより充実するためには、高齢者でも資産や所得に余裕のある方に、その負担をある程度になってもらうことはやむを得ない判断だと考えます。反対に、基礎年金(国民年金)だけで生活している所得の低い高齢の負担は、さらに軽減する必要があります。
そして、今回の改革案で、大きな議論を呼んでいるのが、比較的症状が軽い“要支援”の人を対象にしたサービスの見直しです。予防給付をなくして市町村の事業に移すとしていますことを検討していますが、現状の市町村の力量を考えますと、サービスが低下するところが出てくる可能性があります。また、市町村間の格差が増大する懸念があります。
介護保険制度を将来にわたって維持するには、効率的な介護保険制度を作らなくてはなりません。そのためには、単に行政のみならず、ボランティアやNPO、そしてお元気な高齢者自身をもふくめた、地域を挙げたシステム作りが不可欠です。
さらに、そもそも介護が必要な状況にしないための、予防介護、予防医療の充実を一層図らなくてはなりません。
さらに、介護サービスも見直します。キーワードは効率化と重点化です。サービスを受ける対象を絞り込み、介護の必要性が高い人にサービスを集中させようという考え方です。現在、介護保険では、介護の必要度を7段階にわけて認定しています。要介護が1〜5の5段階、要介護5が最も必要度が高い人です。要介護より必要度が低い要支援が1、2との2段階に分かれています。改革案では、要介護の認定を受けた人向けの特別養護老人ホームへの入所要件を厳しくします。現在は要介護1以上の人が対象ですが、要介護3以上の人に限定します(現場では介護施設が不足しているために要介護3以上出ないとほとんど入所できないのが現状です)。
「要支援」の人を対象にした、重症化を防ぐ予防のためのサービスも見直します。身の回りの世話やリハビリなど、予防給付という全国一律のサービスをなくして、市町村が独自に手掛ける事業に段階的に移行するとしています。サービスのメニューや料金を自治体が自由に決めて、NPOやボランティアにもサービスの担い手になってもらうことで、介護の費用を抑えようと考えています。ただし、必要な財源は、これまで通り介護保険で手当てすることにしています。
介護保険料は、所得水準に応じてきめ細かな保険料設定を行い、所得の低い方の負担軽減を図る方向が示されました。現在、多くの自治体で特例第3・特例第4段階の設置や、本人課税所得層の多段階化をしている現状を踏まえ、標準の段階設定を、現行の6段階から9段階に見直すとしています。

介護保険改革の論点
介護保険をより充実するためには、高齢者でも資産や所得に余裕のある方に、その負担をある程度になってもらうことはやむを得ない判断だと考えます。反対に、基礎年金(国民年金)だけで生活している所得の低い高齢の負担は、さらに軽減する必要があります。
そして、今回の改革案で、大きな議論を呼んでいるのが、比較的症状が軽い“要支援”の人を対象にしたサービスの見直しです。予防給付をなくして市町村の事業に移すとしていますことを検討していますが、現状の市町村の力量を考えますと、サービスが低下するところが出てくる可能性があります。また、市町村間の格差が増大する懸念があります。
介護保険制度を将来にわたって維持するには、効率的な介護保険制度を作らなくてはなりません。そのためには、単に行政のみならず、ボランティアやNPO、そしてお元気な高齢者自身をもふくめた、地域を挙げたシステム作りが不可欠です。
さらに、そもそも介護が必要な状況にしないための、予防介護、予防医療の充実を一層図らなくてはなりません。