131013school 文部科学省は来年度から、小中高校生らの学力向上に向け、土曜日に授業を行う公立校への補助制度を設ける方針を決めいました。
 地域の人材や教員のOB、大学生などを講師にするなどし、月1回以上実施するとしています。地域と学校との連携を強化することも視野に入れています。講師への謝礼や教材費など土曜授業に必要な費用を補助して実施自治体を支援し、来年度から3年間で、すべての公立小中学校で「土曜授業」の実施を目指します。
 来年度は、全公立校の約2割にあたる計6700校に対する補助などを行う予定です。来年(平成26年度)予算の概算要求に計20億円を盛り込みました。
 文科省では週5日制の導入に伴い、学校教育法施行規則で土曜日を休業日としていました。「土曜授業」は「特別の必要がある場合」と、原則行わないこととしていたのです。今秋、この規則を改正し、自治体の判断で実施できるようにした上で、補助制度の創設で土曜授業を推進します。
 地域の会社員や公務員らに土曜日に学校に来てもらって、体験活動といった総合的な学習を行うことなどが想定されています。英語や補習的な学習も行い、幅広い学力向上につなげます。地域の人材を講師にすることで、教員の人件費や休日確保などの課題回避もできるとしています。人材を学校と結ぶコーディネーター役や、講師への謝金と教材費などの3分の1も補助します。補助対象は小学校約4000校、中学校約2000校、高校など約700校を予定しています。
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 平成24年度の公立校の土曜授業の実施状況は、小学校が8.8%、中学校が9.9%、高校が3.8%に過ぎません。
 また、文科省のアンケート調査によると、小中学校の土曜授業の必要性を聞いたところ、「必要がある」と回答したのは都道府県教委が17.0%、政令市教委が25.0%、市区町村教委が10.9%。「ない」と回答したのは都道府県教委が0%、政令市教委が15.0%、市区町村教委が30.4%でした。
 実は、教育委員会レベルでも土曜授業の認識が高まっているとはいえません。
 また、地域でスポーツクラブやサークルなどを運営している方々から、定着している活動の時間が取れなくなるのではないかとの心配の声も聞こえています。
 さらに、「土曜授業」が行われれば、教員も結果的に学校に来なくてはならず、その負担増も懸念されます。
 日本の義務教育は、基礎学力の低下が心配され、応用力の充実が望まれています。方向性としての土曜授業には賛成ですが、導入するからにはその目的を明確に定め、予算や体制をしっかりと整備する必要があります。
想定される土曜授業の内容
  • 海外経験を持つ商社社員が英会話を指導
  • 自治体職員が地域の歴史について説明
  • 地元の吹奏楽団が演奏を披露しながら楽器について解説
  • 理系の大学生が様々な理科実験を指導
  • 建築家が建築設計に数学が同う生かされているかを説明
  • 教員OBらが宿題を丁寧に指導