課題残る“準支援対象地域”での被災者支援
福島県内の除染作業 10月11日、東京電力福島第一原発事故の被災者を支援する「子ども・被災者支援法」の基本方針が閣議決定されました。この基本方針は、公明党の申し入れなどを踏まえて、当初案を9カ所訂正しました。
 一方、パブリットコメントに多く寄せられた支援法の対象を「放射線料量が一定基準以上地域」とすることは認められず、茨城県内自治体からも不満の声が上がっています。
 基本方針の基本的理念は、自主避難者を含む被災者が居住、移動、帰還のいずれを選択しても適切に支援することです。福島県東部の33市町村のみを「支援対象地域」に定め、それ以外に健康調査など個別の施策ごとには、柔軟に支援する「準支援対象地域」を設定します。
 修正された9項目には、公明党の主張した事故当時に福島県に居住、滞在していた人は、住民票の有無に関係なく、県民健康管理調査の対象にすることが明確になりました。また、自主避難者の住宅支援に関し、これから新たに自主避難する人にも避難先の公営住宅への入居を支援することになりました。18歳以下の子ども医療費無料化などの財源として、福島県の基金を復興庁と環境省がフォローアップすることなどを追記しました。
 今回の基本方針決定の中で、最大の課題は、支援対象地域が福島県内33市町村に限定されたことです。その他の準支援対象地域の人たちの支援をどういう基準で適用するかがあいまいです。多くの被災者が支援を受けられなくなる可能性があります。更に支援対象地域での具体的な支援策が動きださない限り、準支援地域での支援策は実行されないというタイムラグの発生する懸念もあります。
 一部地治体には、支援地域に指定されると、風評的被害を被ることがか心配だとの声もあるようです。県内自治体にあっては、あくまでも被災者の目線に立ち、準支援地域でも独自の支援策を展開すべきです。
子ども・被災者支援法の基本方針の要点
  • 福島県内の中通りと浜通りの避難指示区域などを除く33市町村を「支援対象地域」とする
  • 福島県民健康管理基金により、県内の子どもなどに個人線量計による外部被ばく測定、ホールボディーカウンターによる内部被ばく測定を実施する
  • 被災者の子どもの就学や住宅確保、就業などを支援。子どもや妊婦の住居などを優先的に除染する
  • 民間賃貸住宅を使った「みなし仮設」の入居期限を平成27年3月末まで延長。同年4月以降は代替的な住宅の確保などの状況を踏まえて適切に対応する